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パナソニックの新規事業「家事代行」

 パナソニックが驚くべき新規事業を発表しました。 それは家事代行です。

 電機メーカーのイメージは強く、電気製品を作って売る「家電屋さん」が、 家事代行事業に乗り出すというのです。電機メーカーからはかけ離れた新規事業かと思います。 果たして「家事代行」は儲かるのでしょうか。 

 

家事代行はブルーオーシャン

 家事代行サービスを行っている事業者は多いです。 ネットで「家事代行」と検索するといろんな会社のホームページが出てきます。 しかし、それほど家事代行が普及しているとは思えませんね。

 というのも、名も知らぬ会社に家事をさせるなんて怖くてできないのです。 知らない人を家に上げるわけですから、信頼できる業者かどうか判断がつかず、 家事代行サービスを利用できない家庭も多いと思います。

 しかし、実はみんな家事代行サービスを利用したことがあります。

 ヨドバシカメラやビックカメラなどの家電量販店でエアコンを買った時、 冷蔵庫を買った時、照明設備を買った時、自宅まで運んでもらって設置してもらった経験はないでしょうか。 これも家事代行の一種です。

 そして、家電量販店ではパソコンを購入すると、パソコンの初期設定を代行するサービスのチラシが置かれていて、 何千円もかかるようなメニューを見たことがあると思います。 これも家事代行の一種です。

 ヨドバシカメラやビックカメラなどの有名な家電量販店の家事代行サービスは使えるのです。 ここにはやはり、店の名前というブランドが左右しています。 「エムワイサービス」などという謎の家事代行業者は怖くて使えませんが、 「ヨドバシカメラ」なら「じゃあお願いしようかな」と思うわけです。

 家事代行はなかなか大企業は実行していない事業です。 これほどの有名企業で家事代行事業を立ち上げるのはパナソニックくらいでしょうか。

 ライバルが少ないわけではありませんが、パナソニックは圧倒的なブランド力で、 家事代行業界を一変させると思います

 

パナソニックの家事代行業

 パナソニック家事代行は、電気設備に限りません。 もちろん照明器具の交換やコンセントの増設など、電気屋さんならではのサービスもあります。

 しかし、注目すべきはエアコンや台所の掃除、網戸の張り替え、水漏れの修理、ウッドデッキ設置などの、 家事から工事までのあらゆる家庭用サービスをカバーする点です。

 まさに「白物家電の会社」からは想像もつかないような新規事業です。 しかしこれは、突然思いついた事業ではありません。 実はパナソニックは、以前から家事代行サービスを試験的に開始していました。

 子会社である「パナソニック ホームエンジニアリング」が「PROIE(プロイエ)」というサービスを展開していました。 現在は東京都杉並区など一部の地域に限られていますが、 壁紙の張り替えやコンセントの増設など様々な家事代行を行っているようです。

 おそらくこの事業がうまくいっており、家事代行事業を拡大しようというところでしょう。

 試験的に行って成功しているはずのビジネスですから、まったく畑違いの新規事業とはまた異なりますね。

 また、「世界を相手にしているパナソニックにしてはスモールビジネスだな」という印象があるかもしれません。 しかし家電メーカーとしては一貫した理念にマッチしたパナソニックらしいビジネスです。

 そもそも家電はなんのために生まれたのでしょうか

 奥さんを楽にさせるためです。産業革命から始まる機械化のほとんどは、奥さんのために作られたものです。 特に洗濯機掃除機はその最たる例ですね。 電子レンジや炊飯器、電気ポットなど、パナソニックは家事を楽にするための会社なのです。

 そしてついに家電だけでなく他の分野でも家事を楽にするビジネスが生まれました。 それが家事代行なのです。

 

家事代行の将来性

 家事代行事業の将来性あると思います。

 コンセントの増設は電気系の資格が必要で、一般消費者が自分でできるものではありません。 水漏れの修理も普通は業者を呼びますね。 それ以外の壁紙の張り替え、エアコンの掃除、台所の掃除、網戸の張り替えなどは自分でもできそうです。

 しかし、自分でできるとはいっても非常にめんどくさいのが正直なところです。 壁紙を張り替える人はめったにいませんし、網戸の張り替えをやったことのある人もほとんどいないと思います。 エアコンの掃除も必要ではありますが、あまりやりません。

 台所など油汚れがこびりついて、ちょっと掃除したくらいでは全く改善されません。 特によく料理をする人の台所は大変汚れており、 換気扇などベトベトになっている家が多いのではないでしょうか。

 昔はそれでも、専業主婦という、家事のプロがいました。 掃除に関しては専業主婦が念入りにやってくれて、 きれいな家を保つことができていました。

 網戸の張り替えや壁紙の張り替えも、お父さんが日曜大工で行うことも多かったでしょう。 しかし今は網戸の張り替えや壁紙の張り替えを自分でやっている人が少ないように思えます。

 というのも、皆が忙しくなったためです。 仕事が忙しいのはもちろんのことですが、余暇を楽しむという文化が生まれました。 ただお酒を飲むだけでなく、買い物にいったり、ゲームをしたりと、 やることが増えて忙しくなったのです。

 また共働き世帯も増えました。女性を専業主婦にさせておく金銭的余裕がない場合の他、 女性の社会進出もあり、家事のプロが家庭からいなくなったという事情があります。

 もともと家事は時間を食うものであって、働いたり遊んだりするのに、 家事は邪魔になってしまうものです。それでも何年も住んでいたら壁紙は汚れますし、 網戸は破れますし、台所は油まみれになりますし、水漏れも発生します。

 自分でやるには時間がかかりすぎる、めんどくさいという気持ちになることは間違いありません。 ますます自分でできる人は減っていき、誰かにやってもらえたらいいなという時代になっていきます。

 今後、家事代行サービスは普及していくでしょう。

 

家事代行の問題点

 家事代行問題点は、他人を家に招き入れるという不安感です。

 昔と違い、家には鍵がかけてあり、誰でも家に出入りする時代ではありません。 そもそも家に他人があがること自体イレギュラーです。 友達と遊ぶときもたいていは外で遊びます。

 全くの赤の他人に「家事をやってくれ」と家を任せることはできません。 本当に家事ができるのか、どれくらいのレベルで家事をしてもらえるのか、 もっと言えば家財を盗まれたりしないか、家を傷つけられたりしないかなど、信頼上の問題が山積みです。

 しかしこの点は、有名企業のブランド力カバー可能です。 パナソニックは家庭と密接な関係にある企業です。 いくら海外製品が安いとは言っても、一度もパナソニック製品を買ったことがない人はいないでしょう。

 松下電器の時代から、街の代理店にお世話になっている人も多いと思います。 照明設備の設置、エアコンや洗濯機の設置など、やってもらったことのある方は多いです。 パナソニックの人なら、家に来てもらっても問題ないのです。

 パナソニックの家事代行は、もともとあったサービスがさらに充実したようなものです。 信頼性については申し分ないでしょう。

 しかし、家事代行はまだ一つ問題点を抱えています。

 それは日本人の意識です。

 日本人は「物」にはお金を払いますが、「サービス」に対してお金を払うという感覚があまりありません。 飲食店の原価を調べてみたり、物の仕入値を調べてみたりしますが、 「人件費」や「サービス料」を考えることは稀です。

 特にパソコンの初期設定に8000円かかると言われると、憤慨する人が多く見受けられます。 一時期2ちゃんねる掲示板でも話題になりましたが、「高すぎる」というのです。 高すぎると思う理由は、「物を売っているわけではないから」です。

 しかしそれほど妥当性を欠いた価格設定ではありません。パソコンの初期設定を行うには、 人を一人派遣しなければならないのです。社員の出張に往復で3時間かかったとしましょう。 企業は3時間分の給料を支払わなければなりません。

 企業は社員に対して給料を支払うだけでなく、保険料や厚生年金などの負担もあります。 社員1人を雇うのに給料の2倍のお金がかかると言われます。 つまり、半日出張するだけで給料の6時間分がかかるのです。

 時給が仮に1000円だとすると、6時間で6000円です。 それだけでは会社に利益が残りません。会社の利益分も払ってもらわなければ黒字になりません。 そこで「知識料」を取るのです。

 パソコンの初期設定がわからない人のために、初期設定という知識を売る。 これが8000円から人件費を引いた2000円です。 しかし日本人はそれには納得しません。

 「原価はタダだろう!」と怒るのです。「知識はタダ」という認識です。 物にはお金を払いますが、知識にはお金を払わないのです。

 この障壁はけっこう大きいものです。日本人は「ぼったくられている」と感じてしまうのです。 この障壁を取り除かない限り、家事代行業はまだまだ厳しい環境にあると言えます。