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大企業病とはなにか

 大企業病とは何でしょうか。大企業は就活では魅力的に映りますが、 実はその会社が大企業病という、会社が倒産しかねない重病にかかっている場合もあります。 大企業や大手企業、老舗企業がかかりやすく、代々サラリーマン社長が続いている会社にありがちな病気です。 

 

大企業病とは?

 大企業病とは、一般的には、組織が大きくなりすぎ、円滑なコミュニケーションが取れず、 仕事の古いやり方に固執し経営が非効率的な状態を指して言います。

 組織が大きい会社は、決定事項はなんでもかんでも「稟議」にかける必要があります。 例えば客先と契約を交わすとき、担当者は契約書に紙を1枚添付して、右端に自分のハンコを押して回覧に回します。 課長補佐や係長がハンコを押し、課長がハンコを押し、部長がハンコを押し、本部長がハンコを押し、 契約書が返ってきてようやく客先と契約交渉ができます。

 課長補佐や課長、部長、本部長が毎日会社にいるとは限りません。特に本部長のハンコも必要な書類だと、 書類が返ってくるまで2週間かかる場合もあります。円滑なコミュニケーションが取れないのです

 無駄な会議が多いのも大企業病の特徴です。「定例会議」と呼ばれる、 毎月1回、毎週1回などのように定期的に行われる会議はほとんど意味がありません

 本来、会議は何か意思決定をするために行われ、全体への指示事項を伝達するために行われるものです。 しかし会議を定期的に行ったところで、決定事項が定期的に湧いて出てくるわけではありませんし、 指示事項を伝達するのに毎月1回、毎週1回の会議を待つ意味もありません。

 会議の日がやってきても特に決定することもなければ、伝達する指示事項があるわけでもなく、 「先月は○○件の契約がありました」「メールでも送りましたが、先週こんなことがありました」 「毎月の受注目標は達成していますが、気を抜くと来月は受注できなくなるかもしれません。気合いを入れて頑張りましょう。」

 などと、単なる報告会になったり、どうでもいい説教が始まったりします。 しかし大企業病にかかっていると、こういった会議を辞めることができません。なぜなら、 昔からの伝統の会議だから誰も「会議を辞めよう」と言い出せないためです。

 そして、権威主義的になるのも大企業病の特徴です。 大企業であれば大企業であるほど組織が大きくなりますので、1人の課長の下に何人も部下がいたりします。 1つの部にいくつもの課があり、1つの本部にいくつもの部があるのです。

 「課長がエライ」「部長がエライ」というのは、社内では確かにエライのですが、 皆が皆、気を遣うようになるため、やたらエライような雰囲気になります。

 部下は出世のために課長に気を遣い、課長は部長に気を遣い、部長は本部長に気を遣います。 これが当たり前になっていき、部下が上司に意見を言うことができなくなります。 つまり「風通しが悪い会社」ですね。

 さらには「課長はエライ」「部長はエライ」「本部長はエライ」が独り歩きして、 上司は仕事をしなくなります。本来管理職は経営者的な立場であり、どうすれば売れるか、 どうすれば儲かるかを考えなければなりません。

 しかし大企業病にかかった会社では、それも部下に丸投げします。 上司が部下に「どうすれば売れるか考えろ!」というわけですが、それは本来管理職の仕事であり、 権限のない平社員に考えさせたところで実践できませんし、風通しも悪いので意見など出ません。

 出世争いも厳しいです。組織が大きいとポストも多いのですが、それ以上に平社員が多いわけです。 出世の人事は上司の評価によりますので、自分の上司や将来エラくなりそうな人と仲良くならなければ、 出世はありません。こうして派閥ができます

 無駄な会議、無駄な争い、仕事をしない管理職、意見を言えない平社員と、経営が硬直化して効率が悪くなるのが、大企業病なのです。

 

大企業病の弊害

 大企業病にかかると、景気の変動に弱くなります

 組織が小さければ、平社員が部長と日常会話ができます。様々な提案をすることもできますし、 それが新規事業につながることもあります。現場の最前線で働いている平社員から、 業界の実情について、上位者がヒアリングすることもできるのです。

 しかし組織が大きく大企業病にかかっていると、そうもいきません。まず、平社員は部長と話す権利がありません。 課長と話す権利すらない場合も多く、平社員が会話して良いのは係長や課長補佐だけだったりします。

 非効率なやり方を続け、方針転換ができないために、景気の変動に対応できず、倒産していく企業も多いです。 例えば戦前の財閥の1つである鈴木商店は、一時期は三菱財閥すらも超えた総合商社でした。 しかし、次々に投資して次々に事業を拡大していくスタイルを変えることができず、世界恐慌のあおりを受けて倒産しました。

 写真フイルムの二大巨頭であった富士フイルムとコダックは、方針転換できた富士フイルムと、 方針転換できなかったコダックで明暗が分かれてしまいました。

 いずれやってくる危機のことを考え、方針転換や新規事業、新たなビジネスモデルを考えるにあたって、 大企業病は大きな弊害となります。こういった重大な決断をする際、意見も言えず、何も決まらない会議ばかりやっている会社では、 結局決断が遅れて倒産したり、衰退したりするのです。

 

就活生の大企業病

 就職では大企業が人気ですが、大企業なら安心というわけではありません。

 就活生の大企業病は、大手病とも呼ばれますが、 大企業、大手企業、有名企業にしか興味がないという状態を指す言葉です。

 大企業は人気が高く、学歴や処理能力など求められる能力も高い上に、気が合う面接官が現れるという運も必要です。 大企業に絞って就活をするのはそれだけで危険なものですが、問題はそれだけではありません。

 大企業が、大企業病にかかっている可能性もあるからです。

 バブル崩壊を乗り切っていたら安心かというと、そういうわけでもありません。 運よくたまたま生き残ってきた会社は無数にあります。 第一志望のその会社、大企業病にかかってはいないでしょうか?

 その道一筋何十年といった会社は大企業病のおそれが強く、次の不景気で倒産する可能性が高いです。 ビジネスモデルを変え、新製品を産みだし、時代の変化に対応してきた会社ならともかく、 売れ筋商品が昔から変わっていない会社は危ないでしょう。

 他にも国の政策に依存している会社大企業病の可能性が高いです。 公共事業で成り立っている会社や、国の保護のもと独占的に事業を行っている会社などは、 「景気対策や新製品の開発などしなくても国が助けてくれるだろう」という甘い考えが蔓延しています

 電力やガスなどは確かに国の保護がなければならない事業ですが、それでも電力の自由化が行われるように、 いつ国の政策が変わるかわかりません

 公共工事の「談合」も、元は国にメリットがあり、黙認どころか積極的に国が利用していた慣習でした。 「鶴の一声」と言って、談合組織のドンに「この工事は○○にやらせてやってくれ」と行政側が指示することも多かったのです。 しかし今では談合は完全にアウトであり、公共工事専門でやってきた会社は次々に倒産しています。

 高速バスも国の規制のおかげで利益を確保できていましたが、今は過当競争にさらされています。 JTの民営化やTPPなどで農業の世界でも厳しい競争が始まっています。JA全中の解体が決まり、 JA共済、農林中金、全農連もどうなっていくかわかりません。 独占禁止法違反を繰り返している医師会もいずれは制裁を受けるでしょう。

 ではどのような企業が良いのでしょうか。

 大企業病にかかっていないと考えられる会社は、ベンチャー企業だけではありません。 もちろんベンチャー企業は組織が小さい分、小回りも効くし風通しも良く、景気の変動にも敏感です。 しかし、大企業だからといって迅速な判断、意見の吸い上げが不可能なわけではありません。

 パナソニックは家電事業の不振を、リビングやホームエンターテイメント事業でカバーし、 見事にV字復活を見せています。

 富士フイルムは写真フイルム事業の縮小を見越して、フイルム技術を活かした新規事業をいくつも興し、 「第二の創業」を実現しました。

 日立造船は造船技術を応用して様々な事業を興し、今では景気と為替に多大な影響を受ける造船事業を辞めてしまいました。

 商社やメーカー企業はいくつものグループ会社を設立し、関連事業を興すことで景気の変動にも耐えています。 グループ企業をいくつももっていると、1つの会社が不調になっても、好調な会社に人材を移すことで、 誰もクビにせずに雇用を流動化し、固定費をコントロールできるのです。

 真に経営の安定している会社とは、電力でもガスでもなく、方針転換ができる企業でしょう。

 

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