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インダストリー4.0とは

 インダストリー4.0とは、ドイツで宣言された第4次産業革命のプロジェクト名です。 産業革命は市場によって達成されてきたものですが、ドイツでは政府が主導し、産官学の連携で産業革命を起こそうとしています。 もちろんドイツだけではなく、アメリカもIoTを進めていますが、インダストリー4.0とIoTは似たもの同士です。

 さて、最近メディアで「インダストリー4.0」「IoT」「ビッグデータ」「人工知能」を耳にすることが増えてきましたが、 果たして「インダストリー4.0」「IoT」とはいったい何なのでしょうか。 

 

インダストリー4.0とは?

 インダストリー4.0とは、第4次産業革命のことです。では、第3次までの産業革命とはどんなものでしょうか。

 第1次産業革命は、イギリスではじまったあの産業革命です。ジェームス・ワットの蒸気機関に始まり、織機・紡績機など、 産業の機械化が急速に発展していきました。安価な綿織物を、産業革命が起きていない国々に売ることでイギリスは大儲けし、 一躍世界の覇者となりました。いわゆるパックス=ブリタニカの時代ですね。

 第2次産業革命は、アメリカのフォードの自動車の大量生産に始まります。自動車を発明したのはドイツのダイムラーでしたが、 大量生産を実現したのはアメリカで、その圧倒的な安さで世界の市場を席巻しました。二度の大戦を経て本土に被害を受けなかったこともあり、 アメリカは世界の覇者となりました。いわゆるパックス=アメリカーナの時代ですね。

 第3次産業革命も、アメリカIT化・自動化に始まります。それまでの重厚長大産業から、短小軽薄産業にシフトし、 さらにはIT化・自動化により工場の生産ラインを効率化しました。こうして効率的な生産体制が出来上がり、 アメリカの覇権を確固としたものとしました。

 第4次産業革命こそドイツの目指すもので、工場のスマート化を行うものです。単に自動化するだけではなく、 工場設備をインターネットに接続し、在庫管理、生産管理を人工知能を使ってブラッシュアップし、 さらには自動車から香水、飲料水まであらゆるものをオーダーメイドの受注生産とし、それを全て自動で生産するという世界です。

 第4次産業革命のキーワードとなってくるものは「インターネット」「人工知能」「センサー」です。

 インターネットでお客さんが注文をすると、人工知能に注文が送られます。 人工知能が必要な材料を計算し、工場の機械に取り付けられたセンサーが材料の在庫を管理し、 ロボットが自動で製品をつくり、ドローンでお客さんのところに運びます。

 このように、徹底したIT化・自動化を推し進め、人ではなく人工知能を使って工場の最適な動かし方を追求し、 ベルトコンベアの生産ラインではなくロボットが人工知能の指示を受け、自動で製品を製造するスマートな工場を、 ドイツは目指しているのです。

 さらには工場同士をインターネットで接続し、材料が足りなくなったら材料メーカーの人工知能に発注をかけます。 工場設備に取り付けられたセンサーのデータを分析し、機械が故障する前に機械メーカーが修理にやってきます。

 このような工場の究極的な効率化インダストリー4.0の目指すところです。

 工場のスマート化をドイツ主導で推し進め、工場と工場、工場と人工知能を接続するプロトコルを産み出し、 「工場のスマート化」そのものを世界に売り出そうという寸法で、アメリカに代わって世界標準になろうという、 ドイツの国家的経済戦略が、インダストリー4.0なのです。

 

IoTとは?

 IoTとはアメリカがやはり政府主導で、産官学の連携で進める産業革命です。 インダストリー4.0工場のスマート化ですが、IoTモノとモノをインターネットでつなぐことを指します。 IoTとは「Internet of Things」の頭文字で、まさにモノのインターネットですね。

 ドイツがインダストリー4.0を推進するのを黙ってみているアメリカではありません。アメリカはアメリカで、 名だたるIT企業群と産業、大学、政府が集まり、産業同士、工場同士、人工知能、製品同士といった、 あらゆるモノをインターネットでつなぐのがIoTの考え方です。

 例えばグーグルのように、ある人の検索ワードを蓄積して、その人が興味をもっているものを調べ、 その広告を表示するというビジネスモデルがこれに当てはまります。これをさらに発展させ、 医療分野、農業分野などあらゆる産業をスマート化し、人工知能やロボットで効率的な未来をつくろうというものです。

 医療分野では人工知能が医学書・医療雑誌の情報を収集し、患者の携帯電話から患者の異常を収集し、 そのビッグデータを分析してどんな病気なのか、どんな治療法が有効なのか、医者にアドバイスをします。

 農業分野では人工知能が最適な栽培方法を考案し、ビニールハウスの中の温度、湿度を管理し、 自動で畑を管理してくれます。農業にかかる重労働が軽減されて、 なおかつ毎年豊作の連続です。

 これらをすべてインターネットに接続することで、世界情勢に沿った最適な生産量、 生産方法を人間よりはるかに速いスピードで計算し、工場を最適化していくのがIoTの考え方です。

 第2次産業革命、第3次産業革命もそうだったように、第4次産業革命もアメリカが担いたいわけです。 アメリカも産官学の総力戦でドイツに対抗し、世界標準のプロトコルをつくろうとしています。

 実は、インダストリー4.0もIoTも目指すところは同じで「生産の効率化」なのです。

 

インダストリー4.0やIoTは長期的な世界的戦略

 インダストリー4.0IoT長期的な世界的戦略です。 というのも、第4次産業革命はすぐに実現できるものではないからです。 これらの実現には問題が山積みです。

 まず、工場や産業のスマート化は国中が、世界中がいっせいに行う必要があります。 自社工場がスマート化しても、取引先がスマート化していなければ、 誰も自社工場を使いこなすことができません。1社だけスマート化してもあまり効果はないのです。

 工場設備をいっせいに取り換えるとなれば、莫大な設備投資が必要となります。 世界的に儲かっている今なら良いものの、いずれ不況はやってきます。 そんなときにECBというとんでもない中央銀行を抱えてしまったEU圏内で、 国家レベルの大規模な設備投資ができるのか、疑問が残ります。

 次に、雇用の問題があります。インダストリー4.0にもIoTにも名だたる大企業が参画していますが、 目指すところは「生産の効率化」なわけです。効率化といえば聞こえはいいですが、 生産の効率化は、要は従業員の削減です。

 一説には「人工知能やロボットに仕事を奪われた人たちは、もっとクリエイティブな仕事に就くから雇用問題は発生しない」 と言われますが、問題はそんなに単純ではありません。これについては後述することとします。

 そしてビッグデータを収集する困難さがあります。インダストリー4.0やIoTは、単に工場をスマート化するだけではなく、 製品にセンサーを組み込んで、製品が顧客の手元にうつったあとも情報収集を続けることが前提となっています。

 これほど個人情報の保護が求められる時代に、顧客から有効なデータを集められるでしょうか。 お金になるビッグデータをハッカーから守る暗号化技術も必要ですし、 そもそも顧客がデータの収集に同意してくれるかという問題もあります。

 楽天がブラウザのcookie情報を使ってビッグデータを収集しようとしたとき、日本の市民からは猛反発を受けました。 日本国内の情報収集でさえ苦労しそうです。特に儲けることを悪くとらえる日本人には、 ビッグデータの収集に嫌悪感を抱く人がとても多いと思います。

 しかし、これらの課題をクリアした先には、なんでも自分に合ったオーダーメイドの商品を手に入れられ、 1人1人に「IT秘書」がつき、便利で快適な生活が待ち受けているのです。

 日本も早々に車の自動運転に限らず、あらゆる分野でスマート化の障壁となるものを取り除き、 法改正や新制度の導入が必要でしょう。産業革命自体、アメリカやドイツにまかせっきりでは、 新たなプロトコルも、またしても欧米に奪われてしまうことになります。

 

インダストリー4.0やIoTで失業率増加!?

 インダストリー4.0IoTの最大の懸念事項は、雇用問題です。 インダストリー4.0やIoTの実現した世界では、間違いなく失業率が増加していることでしょう。

 インダストリー4.0IoTの目指すところは産業のスマート化であり、 要は従業員の削減であるところは前述しました。なにしろ工場のラインを職人の代わりに人工知能、 ロボットに任せるのですから、少なくとも職人の仕事は失われます。

 工場の職人だけでなく、オフィスで働く生産管理、設計、経理、法務、事務などの様々な職種にも影響を与えます。 これらはいずれ人工知能やロボットに仕事を奪われてしまうでしょう。というのも、 すでに人工知能の能力は人間に追い付きつつあるからです

 第4次産業革命の時代に生き残っていけるのは、おそらくビッグデータを分析するエンジニアスマート工場をつくるエンジニアソフトウェア会社のエンジニア研究開発商品企画、そして営業でしょう。

 設計や生産管理は、人工知能の採用でグッと人を減らすことができます。経理や法務も同様です。 事務に至ってはこの中で一番最初に削減されてしまうところでしょう。

 インダストリー4.0、IoT促進派の人たちは、雇用問題についてあまり深く考えていません。 「もっとクリエイティブな仕事に就くようになるから、雇用は拡大する可能性もある」などと述べる始末です。 残念ながら雇用が拡大するわけがありません。雇用を減らすのが効率化の主目的なのですから。

 一時的には工場労働者やオフィスのホワイトカラーの大勢が失業し、貧富の差が拡大することでしょう。

 しかし、そうなって困るのは企業も同じです。

 いくら工場を効率化したとしても、商品を買ってくれるお客さんがいなくなってしまったら、商売あがったりです。 どうしてもお客さんは必要ですし、従業員が仕事を失っていくのを黙って見過ごすわけにはいきません。

 これこそ産官学の官、つまりは国家の出番です。どのような政策をもって工場のスマート化の中、 雇用を確保していくか。インダストリー4.0、IoTを進める中で最も注意しなければならない部分です。