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【就活】会社や会社の人に年賀状を送ってはいけない!

 今年も終わりに近づいてきました。クリスマスの装飾がなされ、歳末助け合い運動が行われ、 その片隅では年賀はがきが販売されています。やる気に満ち溢れた若い人は余計なことを思いつきます。 「そうだ!会社に気に入られるために年賀状を書こう!絶対にダメです!会社や上司に年賀状を送ってはいけません。



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会社や上司に年賀状を送ってはいけない理由

 会社や上司に年賀状送ってはいけない理由はなんでしょうか。 「年賀状は日本の伝統だし送ったら喜ばれるんじゃないの?特に昭和生まれの上司には!」 ・・・確かに喜ばれます。しかし一度安易な気持ちで年賀状を送ってしまうと、取り返しがつかない事態を引き起こします

 学生時代は年賀状の代わりに「あけおめメール」を送ったり、ラインやツイッター、フェイスブックなどで「あけましておめでとうございます」と、 挨拶するだけで済ませることが多かったと思います。それまで友達に送っていた年賀状もパッタリやめて、 メールやラインに切り替えて簡略化、省エネ化に貢献してきたことでしょう。

 しかし、たった一度でも会社や上司に年賀状を送ってしまうと、一生何が起きても毎年必ず1月1日に年賀状が郵便で届くように手配しなければなりません

 いくら時代が変わって年賀状が時代遅れになっても、いくらめんどくさくても、いくら仕事が忙しくて年賀状を書く暇がなくても、 決して年賀状を出すのを辞めることはできません。身内に不幸があったら喪中はがきも出さなければなりませんし、 異動で部署が変わっても、子会社に出向しても、一度年賀状を出した相手には、毎年必ず年賀状を書かなくてはなりません

 学生時代と変わって社会人生活では、年賀状は「今年はめんどくさいしいいや!」などとやめるのは決して許されません。 自分は送らなかったのに上司からは届いてしまった場合なんて悲惨です。 「なんで今年は年賀状をくれなかったんだ?」と非難の嵐です。

 送る年賀状が1通で済めばいいのですが、会社や上司に一度でも年賀状を送ってしまうと、1通では済まなくなります。 上司は1人だけではありません。直属の上司は係長だったり、課長だったりですが、その上には次長や部長がいて、本部長がいて、 取締役がいます。上司は異動でコロコロ変わりますし、自分の異動でもやはり上司は変わります。

 年賀状はその全員に出さなければならないのでしょうか?・・・そうです。一度でも年賀状を送ってしまうと、全員に年賀状を出さなければならなくなります。 「あいつには年賀状を出したくせに、なんで俺にはくれないんだ?」などと言われてしまいます。 誰かに年賀状を出したせいで、年賀状を出さなかった相手に怒られるのです。

 サラリーマンは特に大企業になれば大企業になるほど、めんどくさいしきたりがいっぱいです。 会社のおじいさんたちは、年賀状1通をネタに若者に説教をしたがります。 一度でも年賀状を送ってしまえば「手書きの一言がない」「字が下手だ」「なぜあいつには出したのに俺には出さない?」 「今年はなぜ送らなかった?」などとめんどくさい説教の機会を自らわざわざ与えることになります。

 上司の身内に不幸があったのに、毎年のクセでうっかり年賀状を送ってしまった時なんて何を言われるかわかったものではありませんね。 とにかく年賀状はやっかいです。一度でも送ってしまうと今後永久に送り続けなければならないからです。

 しかし、こういった面倒事を引き起こさない魔法があります。

 そうです。そもそも年賀状を送らなければいいのです。

 

総務部が年賀状を送るなと文書を発行する

 実は、会社や上司年賀状送らないことは、労働組合が会社に毎年申し入れしています。 私の会社でも年末になると総務部からメールや文書が届きます。そこには「会社や上司などに年賀状を送らないように」書いてあり、 「部下に年賀状を求めてはいけない」とも書かれています。

 過去にどんなトラブルが起きたかというと、やはり上記のようなトラブルです。1月1日の元旦からこういったトラブルが続出するので、 そもそも年賀状を送らないことがルール化されているのです。

 年賀状1つをとってもパワハラの温床となり、社内の人間関係がギクシャクし、年明けから重い気分で仕事を始めなければならなくなります。 毎年年賀状トラブルの相談がもちかけられてめんどくさくなった総務部と労働組合が一致して、 年賀状なんかやめちまえ!というわけです。

 会社や組合が年賀状を送るなっていうんだから仕方がない。別に上司を尊敬していないわけではないし、 街頭の年賀状販売員に「日本人として年賀状は常識ですよ!」などと言われてるように感じても、 年賀状を送ってはいけないって言われているんだから仕方がない。

 しかし、たった一度でも上司や先輩社員に年賀状を送ってしまった人は例外です。 いくら総務部や組合が送るなと言っても、もう取り返しはつきません。 嫌味や悪口を言われないために、わざわざ説教のネタを毎年送り続けなければなりません。

 このように社会のめんどくさいしきたりを知らずに学生が年賀状を送ってしまうことは往々にしてあります。 新入社員が張り切って「年賀状の準備をしなきゃ!」と「年賀状を送りたいので住所を教えてください」などと言ってしまうのは悲惨なことです。 何しろ永遠に年末は年賀状マシーンになることが確定する瞬間なのですから。

 実際、年賀状を送らなくても人事査定には何の影響もありませんし、送ったところで人事査定がよくなることもありません。 ただただめんどくさいお説教のネタを提供し、年末の貴重な時間が年賀状に奪われるという、 なんのメリットもない行事なのです。

 

お歳暮やお中元も同じ!会社や上司に贈ってはいけません

 年賀状の他に、お世話になった人へはお中元やお歳暮を贈りましょうと、テレビCMやコンビニの店内放送でよく言われています。 しかし年賀状同様、お歳暮やお中元も決して会社や上司に贈ってはいけません

 年賀状はまだ1枚52円ですし、贈る相手が10人になったところで520円です。プリンタに自動で印刷して、 一言手書きでコメントを書くくらいの労力と520円で済みます。まあ、手書きのコメントが一番めんどくさいのですが。 しかし、お歳暮やお中元はそうもいきません。

 お歳暮やお中元の相場は3000円です。さて、上司1人に贈る、会社に贈るだけで3000円かかります。

 「1人なら安いもんだ。デパートで発送を依頼すれば手間もかからないし。」なんて思うのは早計です。 上司はコロコロ変わります。年賀状の項でも述べたように、上司が変われば前の上司に贈らなくていいかというと、そうではありません。 「あの人には贈ったのに俺には贈らないのか?」と非難するおじいさん連中もたくさんいます。

 課長にお歳暮を贈れば、同時に同じ部署にいる人全員に贈る必要がでてくるでしょう。部署だけではありません。 課長と仲の良い他部署の人、部長や名ばかり部長など、「じゃあ俺にも」と要求してくる人はたくさんいます。 誰かに贈ってその人に贈ってないことがバレたら、「お前は俺の世話にはなってないもんな!」などと嫌味を言われることは確実です。

 さて、これだけでいったい何人の人に3000円のお歳暮・お中元を贈らなければならないのでしょうか。

 それだけではありません。会社では必ず異動があります。上司も変われば、自分自身が他部署に異動したり、 グループ会社に出向したりします。また何人もお歳暮・お中元を贈る相手が増えるわけです。 夏と冬にいったい何万円の支出が発生するのでしょうか

 出費が雪だるま式に増える以外にも、お歳暮やお中元、年賀状を送ってはいけない理由がまだあります。

 受け取る側のことを考えたことはあるでしょうか

 年賀状を書くのも自分の手間暇、お歳暮やお中元を贈るのも自分のお財布だけをみているようでは視野が狭いです。 同じ手間暇、同じ出費を相手にも強制するのが年賀状、お歳暮、お中元です。 新入社員や学生がせっせと年賀状を書く暇があったとしても、上司もそうとは限りません。

 なぜなら上司には家庭があり、仕事もあり、特に課長や部長クラスの中間管理職は忙しすぎるのです。 そんな人が年賀状をもらってどう思うか想像してみれば、年賀状も、お歳暮も、お中元もためらうはずです。

 総務部や労働組合が年賀状を禁止するのも、こういった事情があるからです。 何も新入社員が苦労する、平社員が苦労するといった理由だけではありません。 上司である課長や部長に年賀状が山のように届いて、本来仕事をしてほしいのに年賀状の一言コメントを書くのに時間を取られ過ぎることを嫌っているのです

 新入社員ですら年賀状は禁止されているのに、特に会社と何の関係もない就活生が安易な気持ちで年賀状を出すのは絶対にやめましょう。

 

年賀状は伝統でもなんでもない

 意識高い系の学生はこう言うでしょう。「年賀状日本の伝統だし、お世話になった人に感謝の意を伝えるためにも年賀状は必要なんじゃないかな

 それは勘違いです。そもそも庶民が年賀状を出すようになったのは明治20年代ですから、今から130年ほど前くらいからの文化です。 なんと私の通っていた小学校(明治5年)や高校(明治6年)より若い文化なのです。

 確かに天皇や将軍、大名などが臣下に年賀状を送る文化は大昔からあったようです。 しかし基本的には貴族のたしなみであり、文字も知らない一般庶民が年賀状など出しようがありません。

 江戸時代に入って寺子屋で学び、識字率が高まったとは言っても村で暮らしているのに村の人に年賀状を送る必要などまったくなかったわけです。 わざわざ飛脚を呼んで「隣の家に手紙を届けてくれ」だなんて言わないわけです。「直接言えよ」って話です。

 明治時代、日本の工業化にともない都会に出て働く人が増え、故郷を思って書いたのが年賀状です。 これは郵便制度の導入(明治3年)と、年賀状の普及(明治20年代)にタイムラグがあることからもわかりますね。

 ましてや会社に勤めるサラリーマンは、年明け早々に正月休みが終わり、出勤するわけです。そこで会社の人に会います。 というか、お友達やご近所の人たちに比べて毎日会うわけですから、年賀状を出す意味などまったくないわけです。

 年賀状はしいて言うなら、皇族や貴族の伝統ではあったとしても、庶民の文化ではありません。 新嘗祭にも天皇誕生日祝賀にも参加しないくせに、年賀状だけは日本の伝統だなんて都合が良すぎますね。 年賀状は庶民の伝統ではありません

 

内定先に年賀状を出すな

 内定先に年賀状を出してはいけません。 一部で「え、内定先に年賀状出してないの?」などというトンデモ広告が出されており、 内定先に年賀状を出すのがいかにもマナーかのような風潮をつくろうとしています。

 ですが、その必要はないどころか、むしろ迷惑です。 トンデモ創作マナーと言わざるを得ません。そもそも、いまどき会社関係で年賀状を出すこと自体稀です。

 年末年始の負担が増えるばかりか、一度送ってしまったら一生送り続ける羽目になります。

 そして、従業員間、特に上司への年賀状は労働組合が自粛するよう呼び掛けています。 同時に総務部も、労働組合と合意の上で年賀状を出さないように呼び掛けるのは前述の通りです。

 特に内定者からの年賀状はむしろ迷惑にすらなります。 年賀状には個人情報が載っていますし、会社の業務上必要な書類ではありません。 結局シュレッダーにかけるしかないのです。

 「年賀状を送る」という非効率極まりない行為自体、労働組合をはじめ会社の人事部等が合意して、 なくしていこうとしているものです。それに逆行した「創作マナー」は信じないようにしましょう。

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著者:村田 泰基(むらた やすき)
 合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。 その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、11年間に渡り学生の就職活動を支援している。 →Xのアカウントページ