なぜiPhoneが人気なのか|日本企業の大失敗
今や誰もが持つようになったスマートフォンですが、スマホのなかでも特に人気なのはiPhoneです。 日本ではiPhoneが非常に人気で、見渡してみればそこらじゅうにiPhone利用者が目立ちます。 MY就活ネットの利用者でも、スマートフォン利用者の65%がiPhoneです。特に女性はiPhoneが70%と非常に人気で、 就活女子の70%がiPhoneを利用していると言えます。
なぜAndroidではなくiPhoneなのでしょうか。iPhoneが人気の理由を探ってみましょう。
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世界ではiPhoneよりAndroid
日本では若者の60%以上がiPhoneを使う一方で、海外ではAndroidのほうが人気なことが多いです。 例えばイタリアではAndroidのシェアが70%、iPhoneのシェアは14%です。ドイツではAndroidが75%、 iPhoneが16%、スペインではAndroidが90%、iPhoneが7%というように、世界では圧倒的にAndroidが人気です。
というのも、AndroidはOSをGoogleが開発しています。スマホメーカーはスマホの本体をつくり、Androidをインストールするだけでスマホを作れるのです。 OSの開発は大変すぎますから、いちいち自社でOSを開発するよりGoogleのAndroidをインストールさせてもらったほうが楽なのです。
しかも、Androidは無料でメーカーに提供されています。 そのため世界的にはAndroidを搭載したスマホが大量に出回っています。
一方でアップル社のiOSは、iPhoneしか搭載することができません。アップル社はOSを他のスマホメーカーに売らないのです。 そのためiOSを使える人は、iPhoneを買った人だけです。
こう考えると、あらゆるメーカーがAndroidを搭載して売っているのに対し、iPhoneはアップル社だけが売っているのです。 多数のAndroid対アップル社のiOSの戦いで、数の多いAndroidがシェアで圧倒するのは当然とも言えます。
しかし、日本ではソニーやシャープ、富士通、京セラ、HTC、サムスン、LGなど名だたるメーカーがAndroidスマホを販売しているにも関わらず、 これらが束になってもiPhone1台に勝てないのです。
いろんな企業がAndroidを搭載したスマホを販売している一方、iPhoneはOSもデバイスもアップル社が製造していますから、 他のどのスマホメーカーより売れているのは確かです。しかし、なぜ日本ではiPhoneがほぼ独占とも言えるほどの圧倒的なシェアを獲得しているのでしょうか。
海外でAndroidが流行った理由はわかりやすいです。
まず、Androidは安く、iPhoneは高いからというのが1つの理由です。日本でもそうですね。Androidスマホはすぐ値引きされ、 「実質0円」「一括0円」という安さでAndroidスマホを購入できます。一方でiPhoneは値引きがあまりありません。 これはブランド戦略の一環で、iPhoneはブランド価値を維持するために大幅な値引きをしないのです。
そのため海外では、iPhoneは高級品という扱いで、安価で手に入るAndroidのほうが利用者が多いのです。
もう1つの理由は、Android搭載端末の方が性能が良いことが多いというものです。 アップル社も昔からパソコンをつくってきたメーカーですが、どちらかというと「OS屋さん」であり、 「OS屋さんがパソコンも作っている」というイメージです。
対するAndroidスマホのメーカーは、Windowsを搭載したパソコンを作ってきたメーカーです。 Windowsはどのメーカーのパソコンにも搭載できるOSですから、自社のパソコンを売るにはOSではなく、 パソコン自体の性能で勝負するしかありませんでした。そのためAndroidスマホのメーカーは性能勝負が得意なのです。
安くて性能が良いのですからAndroidが売れるのは当然とも言えます。しかし、日本ではそうではありません。
日本でもAndroidのほうが便利
日本でも実は、Androidのほうが便利です。
というのも、日本ではガラパゴスケータイ(ガラケー)時代に培われた日本独自の機能が充実しているからです。 例えば赤外線通信、おサイフケータイ、Felicaといった機能です。 これらはAndroid標準の機能ではありませんが、スマホの本体のメーカーであるソニーやシャープ、富士通などが日本用に搭載している機能です。
お友達の携帯電話番号・メールアドレスを電話帳登録する際、日本では古くから赤外線通信が使われていました。 そのためAndroidスマホには赤外線通信の機能が装備されています。
おサイフケータイも日本独自の機能で、ケータイをかざすだけで買い物ができる優れものです。 今ではおサイフケータイよりクレジットカードの「iD」をスマホにインストールして使う方が多いと思いますが、 これもアメリカ基準でアップル社が作っているiPhoneではできないことです。
Felicaも日本独自の機能で、かさばりがちな会員カードをケータイにまとめることができる優れものです。 マクドナルドのクーポンなど、Felicaを利用すればいちいち広告を切り取って持っていく必要もなく、 非常に便利ですが、iPhoneにはない機能です。
スマホで電車に乗れる「モバイルSuica」もAndroidスマホなら使えますが、iPhoneでは使えません。 モバイルSuicaにオンラインでチャージすれば、いちいちチャージするのに券売機に並ぶ必要もありませんし、 コンビニの買い物もタッチするだけで済みます。
このように、Androidスマホは日本のメーカー・あるいは海外メーカーが日本向けに作っているため、 日本独自の便利な機能がしっかり搭載されています。
一方でアメリカ基準でアップル社が作っているiPhoneは特に日本向けの機能はついていません。 赤外線通信も、おサイフケータイも、Felicaも使えません。 それでもiPhoneは日本でスマホ市場を独占するほど大人気なのです。
(追記)
近年ではiPhoneも日本向け製品にはFelicaを搭載しているので、おサイフケータイもモバイルSuicaも使えます。
日本でiPhoneが人気の理由
日本でiPhoneが人気な理由は、 まともなスマートフォンがiPhoneしかなかった時代が2年も続いたからです。
iPhoneはアメリカで2007年に販売開始されました。翌年の2008年には日本で、ソフトバンクからiPhoneの販売が開始されました。
一方でAndroidはアメリカで2008年には販売が開始されていたにも関わらず、日本では2010年になるまでAndroidの販売はされなかったのです。
この2年間で宣伝のうまいソフトバンクは、「スマートフォン=iPhone」というイメージを作り上げてしまいました。 スマートフォンの洗練されたオシャレ感を、iPhoneに独占させたのはソフトバンクでした。
2010年になってAndroidが日本で販売され始めても、「スマートフォンとAndroid」と言われたくらい、 スマートフォンはiPhoneを指す言葉になってしまっていたのです。
なぜ日本ではAndroidが出遅れたのでしょうか。
これは、日本の携帯メーカー・携帯キャリアがともに、「スマートフォンは日本では流行らない」と思っていたからです。
私も当時はスマートフォンなど流行らないと思っていました。赤外線通信が使えないiPhoneはアドレス交換が面倒ですし、 おサイフケータイもFelicaも使えないなんて不便すぎると思っていましたし、今でもそう思っています。 さらには画面がむき出しなので壊れやすく、ポケットの中で誤動作を起こしそうですし、画面を指で触るなんて指紋がついて汚いです。
しかし、「日本ではスマートフォンは流行らない」という考えは誤りでした。
なぜかというと、日本独自の便利な機能は、機能が複雑すぎてわかりにくく、皆が使いこなせていなかったからです。 赤外線通信はともかく、おサイフケータイのようなクレジットカード機能は、そもそも借金を嫌い、 クレジットカードを怖がる日本人にはあまり根づいていません。
またFelicaもそれほど普及率は高くなく、結局みんなプラスチックや紙でできた会員カードを使っていました。 携帯電話の中に会員カードが入っていると言われてもいまいちピンと来ず、またケータイで会員登録などしようものなら、 要らない広告メールが大量に来ることになるため、嫌がってFelicaを使わなかったのです。
実はちゃんと設定すれば迷惑メールに悩まされることもなく、おサイフケータイも「小銭を探す手間」を省ける非常に便利な機能です。 しかし、当時の日本人にとってケータイでやりたかったのは「電話」と「メール」であり、 クレジットカード機能も会員カード機能も赤外線通信も、特に欲していなかったのです。
携帯メーカーがイノベーションに燃えて、良かれと思ってケータイに機能をつけすぎたがために、 ケータイが複雑になりすぎて「ガラケー」と化し、利用者の希望に沿っていない携帯電話が出来上がってしまったのです。
しかし携帯電話市場は、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社の独占で、メーカーも高度経済成長期を経験した、 「良いものを作れば売れる」と信じている企業ばかりでしたから、利用者の需要をしっかりと分析できていなかったのです。
ガラケーこそ正義だと思っていたせいで、iPhoneが販売されてもあまり注意しなかったため、 いつの間にかiPhoneに一気にシェアを奪われてしまったのです。
iPhoneはカテゴリーキングとなった
一度市場を制圧すると、なかなか人気が落ちません。これを経済学用語で「カテゴリーキング」と言います。
例えばパソコンといえばWindowsが当たり前です。カフェならスターバックス、 スマホならiPhone、検索エンジンといえばGoogle、ネット通販ならAmazonという具合にです。
パソコンのOSにしてもカフェにしても、代替となるものはあります。 ですが、「〇〇といえば××」という認識をいったん獲得すると、 多少性能が上回る製品が出てきたとしても、同じカテゴリーに属する製品ならすべて「××のまがいもの」という印象を与えます。
ソニーのウォークマンも「CDを再生するポータブル機」では最後までカテゴリーキングでした。 CDを持ち歩いて再生することに関しては、ウォークマンが市場を切り開き、 「CDを再生するポータブル機といえばウォークマン」という認識を生み出したからです。
iPhoneの場合も同様で、特に日本ではスマートフォンはiPhoneしかない時代が2年も続きました。 アップル社がすごいものを作ったのも理由の1つですが、日本でiPhoneをカテゴリーキングにしたのは、 独占販売したソフトバンクの戦略勝ちと言えるでしょう。
今でも「ソニーのiPhoneください」と店頭で言われることがあるほど、 「スマートフォンといえばiPhone」という認識を生み出したからこそ、iPhone人気が落ちない理由です。
ハーディング効果
行動経済学の理論で「ハーディング」というものがあります。 「他の人が買っているからいいものなんだろう」という心理が働くほか、 「前にも買ったから」というだけの理由でなんとなく買ってしまう現象です。
人間はモノを買うとき、それが本当に正しい選択なのかと深く考えるのが苦手です。 携帯キャリア3社の料金プランを比較するのもしんどいのに、格安SIMまですべて比較している人はいないでしょう。 家を借りるときも、仲介手数料や礼金の高さに辟易しながらも、そのままなんとなく支払ってしまいます。
人間の脳には「めんどくさいことを考えるのをやめる」機能が備わっていて、 「みんなが買っている」「前にも買ったことがある」ことを根拠に、 「自分の選択は正しい」と思い込むことで、めんどうな思考を回避しているのです。
前述のカテゴリーキングもこの理論と合致します。 「スマートフォンといえばiPhone」という空気がすでに出来上がっていますので、 他のスマホと性能の差がわからなくても、まためんどくさくて性能表を見なくても、 「iPhoneを買えば大丈夫だろう。みんな買ってるし」と近道をするわけです。
ハーディング効果は、同じ経験をしている人も多いと思います。
毎日自販機で120円の缶コーヒーを買っている人だって、その「120円」という価格設定に疑問を抱かないはずです。 だって、「いつもその値段で買っているのだから間違いではないはずだ」というわけです。 でもよく考えてみれば、その120円はあなたが決めた値段ではなく、メーカーが勝手に設定している値段ですよね。
このような心理をうまく利用して、iPhoneは値段が高くなっても、 いくら性能でギャラクシーに追い抜かれようと、売れ続けるのです。
iPhone人気はカタイ
iMacに始まりiPod、iPhone、MacBookとヒット作を生み出してきたアップル社ですが、 スティーブ・ジョブスの死去とともに迷走を始めたと言われることもあります。 しかし、日本ではiPhone人気はしばらく終わらないでしょう。
というのも、日本人には「横並び」をよしとする気質があるからです。
まず、女性の間で「おしゃれなもの」とされると、女性みんながiPhoneを持たなければならないような同調圧力がかかります。 特にスマートフォンのような「スペック」のわかりにくいものですと、 ライトユーザーな女性は「とりあえず皆が使っているのを買おう。オシャレだし。」とiPhoneを選びがちです。
すると今度は「恋人とお揃い」を求めます。以前からケータイには「カップル割」のような、 恋人同士でケータイを買うと割引が適用されるサービスがあったように、「恋人とお揃い」が好まれます。 そのため彼氏である男性もiPhone人気に巻き込まれていきます。
そして、「モテようとする男性」も少なからずいるのも確かです。 スタバでMacBookを開き、iPhoneを使いながら何かをやっている男性の大半はこれでしょう。 iPhoneファンの女性にモテようとしてiPhoneを使うのです。
そもそも日本でパソコンのマックが売れ始めたのも、iPodの登場からです。
それまではWindows95、Windows98、WindowsXPと、マイクロソフトのウィンドウズを使うのが当たり前でした。 仕事で使うソフトウェアはマイクロソフト社が有利な市場を築いていたからです。 ウィンドウズ利用者が多いために、たいていのゲームやソフトはウィンドウズ専用で作られていましたし、 アップルのマッキントッシュを使うのはコアなファンか、デザイナーくらいでした。
しかしiPodやiPhoneが普及したために「じゃあパソコンもマックでそろえよう」という人が増え、 アップル社のパソコンが普及し始めました。iTunesなどのサービスも相まって、 ようやくアップル社がシェアを拡大し始めたところです。
「おしゃれなイメージ」を独占し、特に女性の人気を得たアップル製品は今後も利用者を呼び続け、 ジョブス時代ほどの画期的な製品が発表されなくてもしばらくはアップル人気が続くと思われます。
次にiPhone、iPod、MacBookを超える画期的な製品はマイクロソフト社が開発するのでしょうか。 それともGoogleでしょうか。はたまた新しいベンチャー企業でしょうか。 今後のイノベーションに期待したいですね。
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著者:村田 泰基(むらた やすき)
合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。
その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、11年間に渡り学生の就職活動を支援している。
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