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出世したくない若者が増えている|だって良いことないし

 出世したくない若者が増えています。マイナビニュースによると、 「出世したくない人」が59.2%と、「出世したい人」の40.8%を上回ったとのことです。 これまで日本のサラリーマンは出世を目指して頑張ってきましたが、今の若者にとって、出世はそれほど魅力的ではないようです。

 なぜ若者は、出世したくないと思うようになったのでしょうか。 ここでは出世のメリットとデメリットを検証し、出世の是非を問います。



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出世するメリット

 出世するメリットはなんでしょうか。 「出世したい理由」として挙げられているのは、一番が「年収が上がるから」で、出世したいと思っている人の80%の理由が給料だそうです。

 確かに出世すれば年収は上がっていきます。平社員の年収が400万円~600万円程度なのに対して、課長で800万円、部長で1200万円、理事で1500万円、 本部長で2000万円と、出世すると急激に年収が上がります。一部上場企業の取締役の年収はおよそ3000万円ほどですので、 確かに平社員の若者にとって高い年収は魅力的でしょう。

 また会社内の地位が上がることで、部下が増えます。単純に自分の指揮命令できる範囲が広がると、 自分の権力に酔いしれることができます。出世すればするほど会社内で偉そうにできるのです。

 出世のメリットはそれだけではありません。肩書が得られるというメリットがあります。 自己紹介するときに「課長をやっています」「部長をやっています」という方がステータス性があります。 堅実に会社で働き、出世街道を走っているエリートという印象を与えることができるのです。

 肩書のステータス性は、なにも自慢するときにだけ使えるものではありません。 住宅ローンを組むときや、車を買うのにローンを組むときなど「与信」に影響します。

 銀行が人にお金を貸すとき、その人の「属性」が重視されます。年齢、年収、勤続年収、役職などですね。 返済能力があるかどうか、属性で判断するのです。

 確かにお金を借りずに済むなら借りないに越したことはないのですが、万一必要になった際の保険として、 融資を受けるのに有利な属性でいると便利ですね。

 

出世するデメリット

 出世するデメリットはなんでしょうか。 実は出世するデメリットはたくさんあります

 まず、年収が増える一方で、仕事が増えます。実務を離れて楽をしているように見えるのですが、 頭を使う仕事が増えているのです。どうやって利益を出すかを常に考えながら働かなければなりません。 他部署との調整、経営的な企画立案、部下の管理、教育など仕事はたくさんあります。

 責任が重くなるのも出世のデメリットの一つです。部下の失敗は自分の失敗になります。 何か悪いことが起きた時、誰かが責任を取らなければなりません。平社員は責任を取れません。 というのも、平社員は課長の指示で動いているからです。平社員の活動は、課長の責任になるのです

 平社員が粗相をおかさないように管理する必要もありますし、それでいて平社員を教育しなければなりません。 的確に指示を与えて常に成功させることが、課長の重要な課題です。

 さらにその課長に指示を出して常に成功させ、課長の責任を取るのが部長です。 課の目標未達は課長の責任でもありますが、部長の責任でもあります。 経営が低迷した際、課長は部長に叱られますが、課長はそれ以上の出世がなくなるか、怒られるだけで済むのに対し、 部長は左遷されます

 実は課長や部長といった中間管理職は特にストレスのかかる役職です。部下の行動に責任を持たなければなりませんし、 上司からの圧力にも耐えなければなりません。特に部下にあれこれ指示をするのは、部下に嫌われやすいですから、 部下に嫌われて上司にも圧力をかけられるという非常にしんどい立場なのです。

 さて、ここまでですでに十分、出世するデメリットが見えてきました。 しかし出世するデメリットはまだまだあるのです…

 上司のいないくらい出世するには途方もない道のりです。 まず課長になる段階で出世争いがあります。自分の入社年度から前後2~3年の社員と課長の席を争うわけですが、 まずはここで勝ち抜かなければ課長にはなれません。

 そして、課長になったら部長を目指しますが、今度は課長同士で部長の席を争います。 課長は、それまでの出世争いに勝ってきた人ばかりですから、精鋭ぞろいです。 精鋭たちの中で1位にならなければ部長にはなれません。

 部長になったら今度は理事をめざし、理事になったら取締役を目指します。 このように何度も何度も出世争いを繰り返し、部下には嫌われ、上司には叩かれ続けてようやく上司のいない取締役になるのです。

 ここまで来るのに多大なストレスと労働時間が費やされます。そこまで苦労して1200万円、1500万円の給料を得られる保障もありません。 どこかで上司に嫌われて出世が止まってしまう人の方が多いのです。中途半端に中間管理職にとどまるくらいなら、 そもそも出世したくないと思うのも無理はありません。

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出世とワークライフバランス

 出世ワークライフバランスは両立が非常に難しいです。というか無理でしょう。 課長以上の管理職になると、定時で帰る人が増えますが、管理職は定時でフリーになるわけではありません

 管理職の仕事は、経営について考えることです。考えたうえで立案して実績を出さなければなりません。 経営について考えるのは、会社でも自宅でもできることです。つまり、 家に帰っても会社のことを考えなければならないのです

 部下や上司からいつ電話がかかってくるかわかりませんし、携帯電話は手放せません。 土日だろうがお盆・正月だろうが関係ありません。常に会社の経営について考えていなければなりません。 ワークライフバランスなどあったものではありません。

 官僚も言うセリフですが、「ワークライフバランス?何を言っているんだ!ワークはライフだ!」というわけです。

 もらっている給料以上に会社に貢献する時代は終わりました。というのも、会社も社員の雇用を守れずリストラしたり、 契約社員を雇ったり、派遣社員を受け入れたりするからです。 雇用が保障されない以上、自分の人生を削ってまで会社にサービスしてやる必要もありません。

 若者の間ではこの考え方が顕著で、出世したくない理由のトップが「ワークライフバランスのとれた生活をしたいから」です。 せっかくお金を稼いでも、お金を使うことがなければ何の意味もないのです。 仕事と私生活は切り離して、楽しむときは楽しみたいものです。

 しかし私生活を楽しもうと思うと、中間管理職などやっていられません。 若者は、辛そうな課長や部長をみて、「ああはなりたくない」と思うのです。

 一度しかない人生ですから、ワークライフバランスを重視して出世を嫌がるのも不思議な話ではありません。

 

出世しても大したメリットがない

 出世しても大したメリットがないのが現実です。 今やステータスを自慢する時代でもなくなってきていますし、会社で課長や部長をやっていても、 会社の外では「ただの人」です。

 融資を受けるにも、特に会社の役職がなくても住宅ローンは組めます。 マイホームを買う人はだいたい課長補佐クラスで、要は平社員です。 住宅ローンは特に融資の中でも審査がゆるいほうですから、課長だから、部長だからといって大きな差異はありません。

 さらに言えば、課長になる直前の課長補佐課長では、年収は課長補佐のほうが高いことが多いです。 というのも、10年も働けば基本給もかなり上がり、連動して残業代も増えます。 課長補佐は基本給に加えて残業代がつきますが、課長以上の管理職に残業代はありません

会社の役職|どれが偉くて何歳で就任するの?

 そのため課長補佐のほうが給料がよかったという事態すらよく起きるのです。

 平社員の立場から見れば、管理職は「偉そうにしている人」に見えます。しかし、いくら管理職でも部下に嫌われて平気なわけではありません。 あえて人に嫌われるのが好きなんて人はほとんどいないでしょう。課長や部長も同じ人間です。 あなたが課長になったとして、部下に嫌われて平気でしょうか。平気ではないと思います。

 しかし、出世を目指すと上司のご機嫌をうかがわなければなりません。 部下に好かれて上司に嫌われるか、部下に嫌われて上司に好かれるか・・・ 出世を目指すなら部下に嫌われるという勇気が必要になります。

 これが精神的にストレスにならないわけがありません。「偉そうにしている」のも、そうしないと生き残れないからなのです。 こう考えると出世するにはデメリットのほうが多すぎて、メリットなどほとんどありません。

 上で、一部上場企業の社長で年収が3000万円程度と書きました。実はこれ、中小企業の社長と同じくらいの年収です。 大企業の社長と中小企業の社長が同じ年収だなんて驚きですが、これには理由があります。

 中小企業は創業者が社長であり、社長一族が会社の株のほとんどを保有しています。 そのため、会社が利益を出すと株主配当金で社長一族にお金が流れる仕組みになっています。

 一方で大企業の社長は、サラリーマンが出世して社長になったものです。 確かに課長に上がる際、会社の株を買わされるのですが、所詮はサラリーマンの財力で買う株ですから、 会社の株などほとんど持っていないも同然です。

 中小企業の社長は役員報酬に加えて配当金収入もある一方で、大企業の社長は役員報酬だけです。 そのため年収では中小企業の社長と大差ない事態に陥ってしまうのです。

 若くして起業して年収3000万円を達成する人もいれば、サラリーマンとして何十年も会社のために馬車馬のように働き続け、 60歳を超えてようやく社長になった苦労人でやっと年収3000万円です。 出世争いにかかる労力・ストレスを考えると大企業の社長になるのはお買い損とまで言えます。

 こういったことがわかりはじめると、若者も出世への希望が失せてしまいます。 何十年も自分を犠牲にしてサラリーマン生活を続け、なれるかもわからない社長を目指すよりも、 起業していきなり社長になったほうがお金持ちになれるのです。

 このように考えていくと、出世は責任ばかり増えておいしくないと言えますね。

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著者:村田 泰基(むらた やすき)
 合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。 その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、11年間に渡り学生の就職活動を支援している。 →Xのアカウントページ




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