学生運動に参加すると就活は失敗する|っていうか反社でしょ?
昨今、SEALDsという学生団体がもてはやされています。1960年代の安保闘争を彷彿とさせる、学生の政治ごっこですね。 SEALDsは集団的自衛権、安全保障関連法案、憲法改正などに反対して活動を行っている学生運動の団体ですが、 まさか学生運動に参加して普通に就職できるだなんて思っていませんよね?
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学生運動参加者は採用したくない
SEALDsの中心メンバーが「学生運動は就職に響く」という声に対して「そんな会社は願い下げだ」とコメントしたことが報じられています。 そもそも反体制デモを行うという時点で、民間企業に就職するつもりであること自体が矛盾しているのですが、それについては後述することとして、 なぜ学生運動が就職に響くのかを考えてみましょう。
1960年代の安保闘争では「三菱樹脂事件」が話題になりました。 この事件は学問としての憲法でも重要な判例であり、法学部の学生の間では非常に有名な事件です。
三菱樹脂事件は、「安保闘争に参加していた」大学生が就活時には「学生運動には参加していない」と言っていましたが、 採用された三菱樹脂に「実は学生運動に参加していた」ことが発覚し、解雇された事件です。
判例の中身はともかく、学生運動に参加していた大学生は採用したくないというのが一般的な企業の見解です。 というのも、学生運動が国際テロ組織(日本赤軍)に変化した事例もあれば、国鉄労組のように会社の調和を乱す可能性も高いからです。
参照:重大事件等を展開した日本赤軍その他の国際テロリスト|警察庁
体制に反抗するような人が入社してしまうと、労働組合などを通じて会社にどんな悪影響を与えてくれるかわかりませんし、 他の社員を巻き込んでしまう恐れもあり、ちゃんと働いてくれるか不安どころか、会社の邪魔をするのではと不安です。 「××の社員が政治運動に参加している」などと噂が流れれば会社の信用問題にもつながりかねません。
特に経団連は自民党を応援している団体であり、経団連会員企業の社員が「自民党政権反対!」などと叫ぼうものなら迷惑極まりないですし、 簡単に社員をクビにできる社会でもありませんのでそもそも「問題を起こしそうな人は採用しない」のが人事の採用担当者の鉄則です。 学生運動をしていた学生など不安で採用できないのです。
それでも安保闘争のときは詳細に調査を行わなければ、誰が学生運動に参加していたかなんてわかりませんでした。 というのも、当時の情報入手方法なんてテレビか新聞くらいしかなかったのであり、 さらに学生運動参加者は「サングラスにマスクにヘルメット」というフル装備で顔を隠していました。
せいぜい面接で「学生運動に参加したことはありませんよね?」ときくくらいしかできず、 企業は知らずに学生運動参加者を採用してしまっていたのです。
しかしSEALDsは安保闘争とは違います。顔も出していれば、TwitterやFacebookで実名と活動と顔を公表し、 フルオープンな状態で学生運動を展開しています。人事の採用担当者が「誰を採用しようかな」と検討しているときに、 ふとGoogleで名前を検索すると、学生運動に参加していた実績が載っているのです。
企業は当然、学生運動の実績のある学生を不採用にするのですが、 このとき企業はわざわざ「学生運動に参加したから不採用」などとは言いません。「ご縁がなかった」と、 面接で落ちたという体で不採用通知を送ってくるのです。
企業にも採用の自由がありますので、不採用の理由を明示する必要はそもそもありませんし、 いくら思想信条を理由に不採用にするのが不適切と言われても、別の理由で不採用にしたことにすれば万事解決です。
「企業が思想信条に踏み込むのは違法」というのも、上記裁判では結論が出ておらず、 むしろ二審が「違法」と判断したのを最高裁が「破棄差戻し」した事例です。 思想信条を理由に解雇すること自体、必ずしも違法とは言えないということです。
学生運動と就職は矛盾する
「学生運動」と「就職」は矛盾します。 SEALDs騒動については、「学生運動をしながらも就職がしたい」という点で行動に一貫性がありません。
というのも、学生運動は「選挙で当選した議員によって行われる政治」を否定するもので、現代社会を否定するものです。 その政府に反抗するということは、民主主義で決まったことを否定し、 自分たちに都合の良いように選挙を無視して政策を変えろと言っているわけです。
その学生運動に参加した人が、「就職して社会に所属する」というのは明らかな矛盾だというわけです。
学生運動参加者は自分たちの行動についての認識が甘いように思われます。政府に反抗しているつもりであって、 社会に反抗しているつもりはないのかもしれません。ならば「公民」をもう一度勉強しなおすべきでしょう。 政府と社会が別物だった時代は戦前に終わっています。現行憲法下では「政府=社会」であり、政府に反抗するということは、 社会全体に反抗するということです。
考えの浅い学生団体
ここまでで、学生運動参加者は就活で嫌がられるということに加えて、 そもそも反抗相手である社会に所属するつもりであること自体がおかしいことをのべてきました。 そこで気になるのがSEALDsの中心メンバーの発言です。
「就職のことを持ち出すのは卑劣です。まさに『感じ悪いよね』です」
この発言は、就職を希望していることの現れです。 国家=社会ですので、社会に反抗する人が反抗相手である社会に所属するつもりであるなんて根本的に間違っているのですが、 「感じが悪い」だとかそれ以前に社会に所属したくない人がするのが反体制運動です。
普通に就職するつもりであれば、就職先に反抗するなんてことはありえませんし、 この中心メンバーの方はこう答えるべきでした。「そもそも就職したい人はSEALDsに参加していません」と。
それだけ反体制運動に参加するということは、重大な行為なのです。なにしろみんなで決めたことを覆そうとしているわけですから。 学生運動は、「卒業したら学生運動はやめて、就職してお金を稼いで・・・」だなんて甘い考えで参加していいものではないのです。 社会に反抗するのですから、「一生社会には所属しない」くらいの覚悟を決めて行うべきものです。
それをまだ社会に戻れる可能性を信じて社会に反抗するだなんて、そこにイデオロギーはあるのでしょうか。 小林よしのり氏がSEALDsと接触して「イデオロギーはない」と言っているわけですが、 学生運動をしている団体が「イデオロギーはない」なんて言われるのは非常に恥ずかしいことです。
政治運動を行っているにも関わらず、政治についての確固とした主義主張はないのです。 さて、SEALDsは本当に政治に興味関心をもった団体なのでしょうか。
安保闘争のときもそうでした。軍隊は持たず、戦争もしない。そんな状況で国防の実現可能性がなく、 仕方なしにアメリカと安全保障条約を締結するという流れでしたが、安保闘争はただ安全保障条約に反対するというだけで、 どういう国防をするとか、どういう社会にしたいという考えはなかったのです。
SEALDsも同じです。「集団的自衛権容認=戦争が始まる」などという稚拙な考えのもと、集団的自衛権にただ反対するだけで、 集団的自衛権の否定は、攻撃された仲間を助けないということですから、国際協調路線はどうするのか、テロに対してどう対応していくのか、 こういう社会にしたいという主義主張はありません。
「戦争に行きたくない」などという的外れな感情論を並べ立てているだけです。 戦争に行きたくないのは誰でも当たり前です。SEALDsが主張するまでもなく、誰も戦争に行きたくありません。
戦争にならないためにどう対策をとっていくか、 万一侵略を受けたらどうするかを考えるのが集団的自衛権の趣旨目的ですが、 SEALDsはそういうことも理解せずにただ騒いでいるだけなのです。
要は政治ごっこをして遊びたいだけのインターカレッジサークルなのです。 学生運動の根本としては、安保闘争もSEALDsも変わりません。主義主張をもった政治活動ではなく、 政治ごっこをしてみんなで盛り上がろう!という活動なのです。
そういう意味では、SEALDsをバッシングするのはかわいそうとも言えます。 彼らはただ、「テニスサークル」の「テニス」が「デモ」になっただけなのですから。
就活するなら稚拙さを隠そう
SEALDsは言葉遣いが荒いことでも注目されましたが、そのような文章がインターネット上に残り、 採用担当者がそれを見てしまうという点を考慮しなくてはなりません。
SEALDsのwebサイトは卒業論文でもなければ、単位をもらうためのレポートでもありませんので、気の抜けた状態で書いてしまい、 誰もチェックしていないのかもしれません。しかし、採用活動をする企業にとってはその文章がどのような状況で書かれたのかは関係ありません。
Twitterでお友達同士のじゃれ合いで「五寸釘ぶっさすぞ!」とつぶやいただけであっても、 企業の採用担当者がその文章を見れば、「この学生は採用したくないな・・・」と思われてしまいます。
就活をするときに学生がいろいろ検索するのと同じように、企業側も情報収集をはかります。 そこで、自分の恥ずかしい文章や写真が出てきてしまっては、それが原因で不採用になりかねません。 不要な情報をわざわざ会社に見せる必要はないのです。
そこで、誰が見ても大丈夫だという自信があるのでない限り、 TwitterやFacebookは鍵をかけて、友達しか見られない状態にしましょう。 顔も極力隠し、企業側に変な推察をされないように対策をとるのです。
面接でも同じです。面接の大原則は、余計なことを言わないということです。 面接官が就活生のどんな発言に引っ掛かってマイナス点をつけるか、全く想定できません。 「聞かれたことの趣旨目的を正確にとらえて返事をする」ことが大事です。
「余計なことは言わない」・・・まさにTwitterやFacebookのつぶやきは、余計なことそのものです。 情報のコントロールはしっかり見直しましょう。
著者:村田 泰基(むらた やすき)
合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。
その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、11年間に渡り学生の就職活動を支援している。
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