リクルートはブラック企業か?|起業志向なら天国!
リクルートはご存じの通り、就活で必ず関わることになる企業です。 リクナビはリクルートの運営する就活サイトであり、リクナビなしで就活を終える就活生はあまりいないでしょう。
しかし、リクルートはブラック企業だと言われることがあります。 ブラック企業の運営する就活サイトなんて信頼できませんし、怖いですね。 しかしそれは、リクルートが本当にブラック企業だった場合の話です。
そもそも、リクルートはどんな会社で、何がブラックだと言われているのでしょうか。
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リクルートってどんな会社?
リクルートとはどんな会社なのでしょうか。 「リクルート」という名前ですから「就職や転職の会社なんだろう」と思うのも無理はありません。
しかし実は、SUUMO(住宅情報サイト)、カーセンサー(中古車検索サイト)、じゃらん(宿泊予約サイト)、 はたらいく(転職サイト)、タウンワーク(アルバイト情報サイト)、フロム・エー(アルバイト情報サイト)などは、 すべてリクルートのサイトです。
さらにホットペッパー(無料クーポン誌)、ゼクシィ(ブライダル情報誌)、R25やL25(総合週刊誌)も実は、 リクルートの発行する雑誌なのです。 特にゼクシィはインターネットニュースでもよく取り上げられる話題のサービスですね。
また子会社にはスタッフサービス・ホールディングスやリクルートスタッフィングという人材派遣会社があり、 リクルートマネジメントソリューションズという人材コンサル会社もあります。
このように、リクルートは就職、転職だけでなくアルバイト、家、車、旅行、結婚、妊娠、出産の他に、 人材派遣業も行っている等、多岐に渡るビジネスを展開しています。 どれも有名ですからすごいですね。
これほどまでに新たなサービスを立ち上げ、起業するのはリクルートの企業風土のためです。
社員全員、もちろん若手社員も参加できるビジネスコンペが実施されており、成功すれば新規事業を社内起業で起こせます。 実はゼクシィも、ホットペッパーも、R25もビジネスコンペによって提案され、実現した事業なのです。
35歳から3年ごとに退職のチャンスがあり、割増退職金がもらえます。 もしもこの年齢で独立を志せば、退職金を起業資金に使えるのです。
社員には日ごろから「当事者意識」「起業家精神」を教えられ、 意識の高い社員をつくりだしていきます。こうした環境の中、新規事業を思いついて、 ビジネスコンペで発表して事業化したり、割増退職金をもらって独立していくのです。
リクルートは、起業がしやすい企業風土なのです。
リクルートがブラック企業と言われる理由
リクルートがブラック企業と言われる理由は、 リクルートの企業風土にあります。
割増退職金制度は、定年38歳制度とも言われ、38歳になると会社に捨てられてしまう制度だという意見があります。 確かに35歳から3年ごとに退職を勧められるわけですからクビと捉えることもできるかもしれません。
また、当事者意識や起業家精神は正当な報酬を得られないサラリーマンに強制するべきではないとの意見もあります。 確かにサラリーマンは起業家ではありませんし、当事者意識というものも概念があいまいです。 儲かれば儲かるほど収入の増える経営者とは違って、安い給料で雇う割に多くを求めすぎです。
こういった制度は、普通の企業でやれば間違いなくブラック企業でしょう。 しかし、リクルートの場合はこれをもってブラックというには少し的外れです。
というのも、リクルートは独立が前提だからです。
独立させるために起業家精神や当事者意識を教え、ビジネスコンペを実施し、 起業資金のために早期退職による割増退職金制度があるのです。 何も社員を使い捨てにすることが目的なのではありません。
ときどきリクルートの記事やニュースを読んで感化され、 「俺の会社でもやろう!」と言い出す管理職がいます。 終身雇用が前提な会社でそれをやれば反感を買うばかりで、ブラック企業とも言えるでしょう。
一方でリクルートをブラック企業だという人は、 リクルートの企業風土を理解しておらず、終身雇用の会社向けであり、 起業家向きではありません。
リクルートの輩出した大物
リクルートは大物を輩出し続けています。
リクルートで教えられた当事者意識や起業家精神などの企業風土が功を奏し、 リクルート出身の著名人はたくさんいます。 リクルート出身の大物を紹介しましょう。
政治家
衆議院議員の辻清人、根本幸典、元衆議院議員の加藤公一、花咲宏基、 山形県知事の吉村美栄子はリクルート出身の政治家です。
小説家、作家
小説家のいしいしんじ、垣根涼介、作家の大石圭はリクルート出身です。
また就活をしているとときどき名前をみかける常見陽平も、 リクルート出身の人材コンサルタントです。
セブンイレブンの社長、オールアバウトの社長、マクロミルの社長、 GMOアドパートナーズの社長など、リクルート出身者は有名企業の社長にもなっています。
メディアワークスと言えば角川グループの一員で、青年コミックやライトノベルで有名です。 実はメディアワークスも元はリクルートの出版会社で、リクルート出身と言えるでしょう。
ブラック企業ならこういった大物も食いつぶしてしまいます。 使い捨てにし、大成しなかったかと思います。 このような大物が輩出されたことから、リクルートはブラック企業とは言えないのではないかと思います。
リクルートの功罪
リクルートの良いところはやはり、幅広いサービスや起業家を育てる企業風土が挙げられます。 社員の独立を奨励する会社はめったにありません。いずれ会社を離れて独立するつもりの人ならば、 リクルートに入社するのが良いでしょう。
安定志向の終身雇用目的の就活生にとってはブラック企業に映るかもしれません。 しかし、いずれ起業して独立するつもりであれば、ブラック企業どころか超ホワイト企業もいいところでしょう。 何せ起業のノウハウを教えてくれて、独立資金まで出してくれるのです。
とはいえ、リクルートもいいところばかりではありません。
多くの就活生は就活で苦労します。合同説明会に出席し、単独説明会に予約し、 エントリーシートを書かなければならないからです。 これらを推進していったのは紛れもないリクルートです。
昔は履歴書を送り、面接を数回受けて終わりだった就活も、 リクルートの登場によって事情が一変し、就活がめんどくさくなったのは事実です。
会社説明会では学歴フィルターで弾かれるという問題もありますし、 何十社もプレエントリーし、何十社もエントリーシートを書いて送って、 結局学歴フィルターで自動で「不採用」になってしまうのです。
面接マナーや会社説明会での立ち振る舞いなど、いらぬマナーを教え、 会社説明会システムなど就活を複雑化させたのはリクルートです。
昔の話ではありますが、1988年にはリクルート事件という戦後最大の贈収賄事件を引き起こしています。 自社への便宜を図ってもらうため、川崎市の助役に子会社の未公開株を譲渡するという事件が発覚したのをきっかけに、 大物政治家、官僚(文部省、労働省)、NTTなどへの贈収賄が発覚しました。
贈収賄を受けた政治家は総理大臣から各大臣、長官、自民党重役など蒼々たるメンバーがそろっており、 社会党や公明党などからも発覚しました。これだけの事件を引き起こしながらなんとか倒産を免れ、 逆風の中でのバブル崩壊にも耐えきったリクルートはすごい会社といえばすごい会社ではありますが この意味ではブラック企業と言われても仕方がありませんね。
著者:村田 泰基(むらた やすき)
合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。
その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、11年間に渡り学生の就職活動を支援している。
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