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100円ローソンが閉店する理由|低価格は疲弊する!

 ローソンストア100の2割にあたる260店舗が閉店することになりました。 ローソンストア100、通称100円ローソンは「ショップ99」を買収し、コンビニのローソンよりも安い低価格路線で経営されてきました。 しかし、100円ローソンは大きな転換期を迎えています。

この記事の要点

  1. 乱立するコンビニ競争で、勝てなかったから!
  2. 価格競争は儲からない!
  3. 安売りを回避して儲かるビジネスに集中すべし!


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なぜ100円ローソンが閉店するのか

 乱立するコンビニ競争で、勝てなかったから!

 100円ローソン閉店する理由は、競争に負けたからです。

 100円ローソンは、100円ショップよりコンビニ寄りで、特にローソンと名前がついていることから、 低価格なコンビニと認識されてきました。

 しかし、近年はイオン系列の「まいばすけっと」やマルエツ系列の「マルエツプチ」の小型スーパーがさらに低価格であるために、 100円ローソンは客を奪われていたのです。

 イオンやマルエツは言わずと知れた小売業の雄で、独自の流通網を使って安値で商品を仕入れることに長けている企業です。 まいばすけっとやマルエツプチもその恩恵にあやかり、かなりの低価格で商品を販売することができるわけです。

 しかし流通網に関してはローソンだって負けていないはずです。 自社ブランドの商品を全国何万軒とあるローソンに配達する流通ネットワークを持ち、 かなりの低価格で商品を仕入れることが可能なはずです。

 それでも100円ローソンは競争に負けてしまいました。これはなぜでしょうか。

 100円ローソンはショップ99を買収することによって誕生しました。 株式公開買い付け(TOB)による買収金額は40億円以上と言われ、莫大な金額がかかっています。

 まず買収する際、ローソンは買収金額とその後の収益予想を比較したはずです。 買収金額を取り返すことができるのかどうかを検討し、投資した金額について何年で黒字化できるかを考えます。

 その時点ではまいばすけっとやマルエツプチの登場は予測していなかったのでしょう。 100円ローソンの価格ではまいばすけっとやマルエツプチに勝てず、 ショップ99買収にかかった費用を取り返すには、価格を下げて競争するわけにはいかなかったのです。

 「100円」を前提に低価格コンビニを出店したローソンと、「100円以下」で価格競争することを前提としたイオンやマルエツとでは、 事業を始めるスタートラインが違ったということですね。

 

価格競争で企業が疲弊する

 価格競争は、儲からない

 新自由主義者の方々はすぐに「市場競争に任せろ」「自由競争させるべき」と言います。 規制を撤廃して、価格競争をさせれば消費者が喜ぶと思っているわけです。

 しかし、経済はそんなに単純なものではありません。

 価格競争をしようとすると、原価を切り詰めたり、利益を減らしたりする必要があります。 物の値段はそう簡単には下がりませんから、何を削るかと言うと人件費配当金です。 要は給料を下げたり、株主への配当金を下げて価格競争に勝とうとするわけです。

 赤字を出してしまったら人員整理、つまりリストラを実施して低価格路線を維持しようとします。 人も給料も減っても、仕事は減りません。役員報酬もカットされるので経営者すら苦しい状態です。 社員も経営者も株主も全員嬉しくない事態へと突入していくのです。

 社員のモチベーションは下がり、優秀な人材はもっと待遇の良い会社へ流出し、 無職の人も増えます。さらに原価圧縮のため外注先も叩くので、中小企業も疲弊します。

 このように、価格競争何が何でも善というわけではありません

【業界研究】日本製白物家電はなぜ売れないのか?

 この好例が建設業界です。談合事件以降、競争は激化し、 さらに「公共工事は悪」の理論によって仕事自体が激減し、倒産する建設会社が非常に増えました。 職人は失職し、建設業を営む会社は減り、大量の無職を生み出してしまったのです。

なぜ日本は価格競争に勝てないのか

 

100円ローソン縮小は英断?

 価格競争の回避は良い決断!

 100円ローソンの規模縮小英断だったと思います。 1200店舗のうち、260店舗を閉店するわけです。いったん拡大し、今後も拡大する計画を立てていたのに一転して縮小する。 こういう決断は難しいものです。

 しかしローソンは、100円ローソンを閉店し、ドラッグストア型のコンビニに転換させたり、 通常のコンビニに転換させるなどしてさらなる収益を狙っています。 単なる敗北ではないのです。

 会社によっては儲からなくなっても事業を転換できず、赤字を垂れ流すこともあります。 価格競争に突っ込んでいって疲弊し、最終的に倒産する会社もあります。

 そんな中、ローソンは底なしの価格競争を回避し、事業転換を決断したのです。 「価格を下げて応戦し、利益を上げた」よりもよっぽど価値のあることだと思います。

 ローソンは成城石井を買収するなど積極的なM&Aを繰り返し、 セブンイレブンの追撃に出ています。アベノミクスのかなり初期に「賃上げ」を宣言していましたし、 将来性のある会社だと思います。

 

低価格時代の終焉

 利益のとれるビジネスに集中する!

 低価格時代が終焉に向かっているのではないでしょうか。 100円ローソンは価格競争を拒絶して規模を縮小し、航空業界ではLCCのスカイマークが破綻し、 牛丼の吉野家は牛丼の値上げを実施しました。

 サービス安全お金で買うという意識が浸透してきたと言えるでしょう。 以前の日本では「安ければいい」という考えで、品質には目もくれず最安値の製品ばかり購入してきました。 しかし、「安かろう悪かろう」では困るというのが、最近わかってきたのです。

 外国産の農作物には大量の農薬が使われていることが問題になったり、 中国の冷凍餃子に毒が入っていた事件もありましたし、 海外産の電子機器が壊れやすいのも広まってきました。

 「安い食べ物は身体に悪い」「安い電子機器は壊れやすい」「安い店はサービスが悪い」など、 とにかく安ければいいという時代が終わりつつあります

 確かに私も「スーパー玉出」は安すぎて怖いと感じますし、 ジュース1本50円の自販機を見つけてもなかなか買う気になれません。 本当に大丈夫なのかわからないからです

 品質と価格のバランスが取れた商品を買う時代になってきたと言えるでしょう。

 しかしながら価格競争をやめて品質路線にのせるのも難しいものです。 マクドナルドも一時期、高級路線をとり、高価格なハンバーガーを売り出していましたが、 結局のところ不振に終わり、今は元に戻っています。

 そんな中でローソンは良いタイミングで100円ローソンの縮小を決めたのではないでしょうか。

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著者:村田 泰基(むらた やすき)
 合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。 その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、11年間に渡り学生の就職活動を支援している。 →Xのアカウントページ