ボーナスの額面と手取り|税金や保険料はどれくらい引かれる?
年収を大きく左右するボーナスですが、その額面と手取りの関係はどうなっているのでしょうか。 200万円の場合、150万円や130万円の場合など引かれる税金や保険料が異なりますから、詳しく見ていきましょう。
この記事の要点
- ボーナスの手取りは額面の約2割引き
- 額面80万円から税金・保険料が高くなる
- 総合職の年収はボーナス次第!
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ボーナスの額面と手取り一覧
ボーナスの額面と手取りの一覧(目安)を作成しました。 ボーナスの総支給額のうち、どれくらいが手元に残るのか参考にしてください。
額面 | 手取り | 厚生年金 | 健康保険 | 雇用保険 | 所得税 |
---|---|---|---|---|---|
300,000円 | 249,318円 | 26,742円 | 14,955円 | 1,500円 | 7,485円 |
350,000円 | 289,399円 | 31,199円 | 17,447円 | 1,750円 | 10,205円 |
400,000円 | 328,540円 | 35,656円 | 19,940円 | 2,000円 | 13,864円 |
450,000円 | 366,519円 | 40,113円 | 22,432円 | 2,250円 | 18,686円 |
500,000円 | 403,361円 | 44,570円 | 24,925円 | 2,500円 | 24,644円 |
550,000円 | 439,170円 | 49,027円 | 27,417円 | 2,750円 | 31,636円 |
600,000円 | 475,722円 | 53,484円 | 29,910円 | 3,000円 | 37,884円 |
650,000円 | 510,657円 | 57,941円 | 32,402円 | 3,250円 | 45,750円 |
700,000円 | 546,996円 | 62,398円 | 34,895円 | 3,500円 | 52,211円 |
750,000円 | 582,527円 | 66,855円 | 37,387円 | 3,750円 | 59,481円 |
800,000円 | 619,214円 | 71,312円 | 39,880円 | 4,000円 | 65,594円 |
850,000円 | 653,092円 | 75,769円 | 42,372円 | 4,250円 | 74,517円 |
900,000円 | 683,656円 | 80,226円 | 44,865円 | 4,500円 | 86,753円 |
950,000円 | 716,198円 | 84,683円 | 47,357円 | 4,750円 | 97,012円 |
1,000,000円 | 748,768円 | 89,140円 | 49,850円 | 5,000円 | 107,242円 |
1,100,000円 | 806,401円 | 98,054円 | 54,835円 | 5,500円 | 135,210円 |
1,200,000円 | 864,035円 | 106,968円 | 59,820円 | 6,000円 | 163,177円 |
1,300,000円 | 921,668円 | 115,882円 | 64,805円 | 6,500円 | 191,145円 |
1,400,000円 | 983,547円 | 124,796円 | 69,790円 | 7,000円 | 214,867円 |
1,500,000円 | 1,038,559円 | 133,710円 | 74,775円 | 7,500円 | 245,456円 |
2,000,000円 | 1,309,155円 | 178,280円 | 99,700円 | 10,000円 | 402,865円 |
あまり直視したくない現実ですが、ボーナスが80万円を超えたあたりから、 急に手取りが増えなくなります。一定率の厚生年金、健康保険、雇用保険と異なり、 累進課税の所得税は額面の上昇に伴い急激に増えていきますね。ボーナスが額面200万円のときは、手取りはなんと130万円です。
ボーナスの額面が80万円くらいまでなら、手取りは80%ほどもらえます。しかし、手取り100万円を超えようと思うと、 額面150万円もボーナスをもらう必要があります。
ボーナスの額面
ボーナスの額面とは、税引き前のボーナス全額を指します。 税引き前ですので、この金額がまるまる銀行口座に振り込まれるわけではありません。
2022年冬のボーナスは、大企業平均で89万円でした。この89万円とは額面のことを表しており、 ここから所得税、厚生年金、健康保険、雇用保険が差し引かれた金額が手取りとなります。 ボーナスは特に厚生年金がかなり引かれますので、よく考えずにボーナス一括払いを多用することはやめておきましょう。
ボーナスの額面はニュースなどでは「80万円」「90万円」というように報道されます。 これは組合員の平均ボーナスであり、全員が同じ金額のボーナスをもらうわけではありません。 基本給や個人の業績によって左右され、若い人ほど少なく、年配ほど高くもらえます。
例えば2022年冬のボーナスでは、大企業に限れば自動車業界は平均92万円、機械金属業界は98万円、造船業界は89万円、 電機業界は95万円、食品業界は93万円、化学業界は93万円と報道されています。
いずれのボーナスも額面の金額であり、手取りではないことに注意しましょう。 例えば自動車業界なら組合員平均ボーナス額面は92万円ですが、実際の手取りは70万円前後でしょう。 もちろん年齢や業績にもよりますので、入社2年目でボーナスは60~70万円程度が額面、 そこから税金や年金などを引いて50~60万円程度が手取りということになるでしょう。
私の場合、入社3年目の冬のボーナスが75万円でしたが、手取りは60万円でした。 夏と比べると額面は10万円近く増えているのですが、実際の手取りは5万円程度しか増えていません。 実はボーナスは、額面80万円前後から手取りが増えにくくなっているのです。
ボーナスの仕組み
ボーナスの仕組みはどうなっているのでしょうか。 ボーナスはどのようにして額面が決まり、支給されるのでしょうか。 そして、新入社員はどれくらいボーナスをもらえるのでしょうか。
ボーナスを決定するにあたり、まず経営者(取締役会)と労働者(労働組合)が協議します。 労働組合で予め討議して決まった要求金額を経営者側に申し入れるのです。
この要求金額は、「組合員平均80万円」というように決められます。 ボーナスの2ヶ月前くらいになると組合からアンケートが送られてきて、組合員が「組合員平均80万円」「90万円」などと回答します。 組合がアンケートを取りまとめて多数決で要求金額が決まります。
経営者側は要求金額に対し、景気の悪い時は会社の厳しい経営環境をアピールし、景気の良い時は「組合員の皆さんのおかげで高い利益を出せました」 と述べるなどしてボーナスの会社案を提示します。組合の代表者と経営者が協議して最終的に決まったボーナスの組合員平均を妥結金額と呼びます。
要求金額と妥結金額がイコールであれば「満額回答」と言われます。組合が平均80万円を要求し、 経営者側が平均80万円を受け入れると満額回答であり、交渉は終了します。
このようにして決まった「80万円」は、会社側の意向に沿って社員に支払われます。 基本給に係数をかけてボーナスの額面を算出するのですが、人事査定の高い人は係数が高めに、低い人は係数が低めにかけられ、 人によって差が出ます。
新入社員は会社への貢献度が低いため例外的に満額はもらえません。 例えば夏のボーナスは0~10万円、冬のボーナスは通常の計算式×70~80%というようにディスカウントされます。
2年目以降では基本給に係数をかけたものが満額支給されるようになります。 平均が80万円なら、50~60万円くらいもらえるようになるでしょう。
ボーナスの手取り
ボーナスの手取りはどれくらいでしょうか。 額面のボーナスから引かれるものは予め決まっています。それは、所得税(源泉税)、厚生年金、 健康保険、雇用保険の4つです。これら4種類を差し引いた金額が、ボーナスの手取りです。
もらえる金額にもよりますが、仮にボーナスの額面が70万円だとしましょう。 70万円のとき、厚生年金は8.914%なので、62,398円が厚生年金です。 健康保険は4.985%なので、34,895円が健康保険です。雇用保険は0.5%なので、3,500円です。
これらを足していくと、100,793円も引かれることがわかります。しかも、まだ1つ残っています。 所得税(源泉税)です。所得税はこれらの金額を引いた後の金額にかかります。
700,000 - 100,793 = 599,207円
以上より、599,207円に所得税がかかります。 所得税は累進課税なので計算が少々複雑で割愛しますが、計算すると53,616円でした。
599,207 - 53,616 = 545,591円
このように厚生年金と所得税にかなりとられて、ボーナス額面70万円に対し、 ボーナス手取りは54万円にまで落ち込んでしまいます。
ボーナスは額面の20%ほどガバッと国にもっていかれてしまいます。 ボーナスの手取りは額面の80%くらいだと思っておきましょう。
年収はボーナス次第!
正社員の年収はボーナス次第です。 よく正社員と非正規雇用の初任給がどちらも20万円前後なので、収入は変わらないだろうと言われますが、 実は新卒1年目から年収に差が出ます。
新入社員のボーナスは低いと言われますが、非正規雇用はボーナスがありません。 ないのと比べると断然多いです。私の会社では新入社員は、夏のボーナスは10万円、冬のボーナスは40万円でした。 これだけで非正規雇用と比べると1年で50万円の差が出ます。
2年目になるとボーナスは夏と冬にそれぞれ55万円で、1年で110万円の差が出ます。
3年目のボーナスは夏と冬でそれぞれ70万円でしたので、1年で140万円の差が出ますね。
3年通算で非正規雇用と比べ、300万円多くもらっていることになります。 そしてこの差は今後も拡大していきます。なぜなら基本給が上がると同時にボーナスも上がっていくからです。
20代後半の平均年収は370万円と言われますが、これは非正規雇用を含んでいる数字です。 大卒総合職に限って言えば、25歳くらいですでに年収は450~550万円くらいになります。 そしてこれはもちろん、残業代とボーナスを含んだ数字です。
私は3年目の年収が500万円に到達しましたが、これはボーナスのおかげです。 もしボーナスがなければ年収は360万円でした。いかにボーナスが年収の中で大きな役割を占めているかわかりますね。 高い年収がほしければ、ボーナスの高い会社に行くのがよいでしょう。
有名どころでは2015年の夏のボーナスで、積水ハウス(平均約160万円)、トヨタ自動車(平均約140万円)、KDDI(平均約125万円)、 大和ハウス工業(平均約120万円)、アサヒビール(平均約110万円)などがあります。 全体的にメーカーの業界でボーナスが多く目立ちます。
先ほど「平均ボーナスは組合平均だ」と述べました。組合員は、正社員のうち「平社員」だけです。 課長や部長などの管理職になれば、この組合平均とも無関係になるのです。
管理職のボーナスは平社員に比べて高く、私の会社では平社員の平均が90万円ですが、 課長で150万円、部長で250万円、理事で300万円ほどです。これが年に2回あるのですから、大きな差になりますね。 もし非正規雇用であれば管理職にはなれませんから、何百万円もの差ができるんですね。
ボーナスは景気や業績で変動する
毎月の給料は、毎年4月に行われる「定期昇給」で5000円~1万円程度で上がっていきます。 しかし、ボーナスは必ずしもそうとは限りません。ボーナスは景気や業績で変動します。
その昔、バブル景気までの時代では定期昇給に加えてベースアップもあり、ボーナスも年功序列式に増えていきました。 しかしそれは日本企業がイケイケドンドンでつくれば売れる、来年は今年より儲かる時代だったからです。 バブル崩壊、リーマンショックを受けて収入が増えにくい時代に突入しました。
会社にとって給料は大きな出費です。不景気になれば給料も削減したいはずです。 ところが毎月の給料は賃金規則で定めてしまった以上、会社の都合で勝手に下げることができません。 労働組合の同意がなければ給料は下げられないのです。
そして、毎月の給料が減ってしまうと社員の士気低下につながることは明白です。 ですから、会社はなかなか毎月の給料を減らすことができませんでした。
実は、ボーナスは話が別です。ボーナスは会社の都合で増やすことも減らすこともできます。 会社は毎月の給料を減らさない代わりに、ボーナスを減らすことで不景気を乗り越えてきたのです。
もし景気が悪化して企業の業績が悪くなれば、毎月の給料こそ減らないかもしれませんが、 ボーナスは大きく減ります。
そのため、年収をシミュレーションする際、「ボーナスは増え続けない」ということを肝に銘じておく必要があります。
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著者:村田 泰基(むらた やすき)
合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。
その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、11年間に渡り学生の就職活動を支援している。
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