部署の役割|仕事内容や出世事情は?
会社には様々な部署があります。配属される部署によっては出世にも大きく影響します。 ここでは部署の種類を一覧にして紹介しています。 営業部、経理部、法務部、人事部、総務部、広報部、商品開発部、生産部、設計部、調達部、研究所等、部署は多く存在します。 それぞれの部署がどんな役割を担っているのでしょうか。
この記事の要点
- 出世コースは営業と生産管理!
- 経理も極めれば役員の枠がある!
- 経営企画はおよそ機能不全
- 法務・人事・総務・広報は出世コースではない
- 調達も重要度の割に出世コースではない
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営業部
営業は、文系の出世コース!
営業部というと、飛び込み営業、法人営業、家庭用営業など、外を回って動き回っているイメージのある部署ですね。 確かに営業部は外を飛び回っています。会社にいることのほうが稀な場合すらあります。 しかし会社に籠らなくていいので、その方が気が楽だという人も多いですね。
一生営業マンをするわけではありません。10数年すると後方に回ることになります。 営業部は事務系総合職の花形部署で、会社にとって欠かせない存在です。 自分の活動が直に会社の利益を左右するわけですから、やりがいはとてもあります。
営業部は契約、進捗管理、入金管理を担い、最初から最後までその契約をマネジメントします。 「お客さんに気に入られるのがうまければよい」というものではなく、 契約をとったあとも進捗状況についてお客さんから問い合わせがありますので、設計や生産管理の知識も必要です。
文系の出世コースは営業!
文系の出世コースは営業であり、生産管理部と営業のどちらかがヒエラルキーの頂点に君臨します。 経営幹部候補生として経営センスを身につけようと思うと、会社のビジネス全体をよく理解している必要があります。 それができるのは、営業だけです。
営業部で働くと、商品の設計生産販売から入金まですべてのプロセスをマネジメントすることになりますので、 ビジネスの全体像を把握することができます。そのため出世コースとして、営業部長→営業本部長→取締役というルートがあります。
会社によっては、新卒採用でまず営業部が獲得する新人を選び、残りを他の部署に回すというところもあります。 こういった会社では事務系は営業以外は残りもの、つまり営業部に配属されなかった人はもうその時点で出世がないという会社すらあります。
文系で出世を希望する、またスキルを身につけようと思ったら営業部を志望しましょう。
生産管理部
生産管理は、理系の出世コース!
生産管理部は主に、工場の工程管理をする部署です。工場での生産計画を立て、計画通りに製造ラインが動くように仕事をします。 設計図面を見ながら工場の職人に指示を出し、自分の指示により製品が作り出されていくのです。 そのためやりがいはとてもある部署で、理系では非常に人気な部署です。
工場の職人との雑談も仕事のうちで、年次の高い職人に話しかけられると自分の仕事に戻ろうにも戻れません。 むしろ工場の職人と仲良くできるような人でないと生産管理の仕事は務まりません。 そのため理系でも、コミュニケーション能力のある人が採用されます。
そして、工場でのコストを管理して利益を出すのも生産管理の仕事です。 常に「限界利益」を気にして効率的な生産を考えて実行しなければなりません。
つまり、この部署では経営センスが身につくというわけです。
理系の出世コースは生産管理!
理系の出世コースは生産管理部です。工場長はこの部署から選ばれますが、 工場長は他部署でいう「部長」あるいは「本部長」クラスの階級です。
工場長になると他部署に比べて工場の職人すべてが部下ですので、非常に部下が多いです。 それゆえ工場長を経験して信頼を勝ち取って、そのまま常務取締役に昇格し、社長になるというルートがあります。
工場長は生産管理部員はもちろんのこと、工場の職人からの信頼も厚く、人望があります。 支持者が多いため、必然的に取締役に推薦されやすいということですね。
設計部
設計は、設計本部長という枠があるのみ!
設計部は商品の設計図を書く部署です。営業部や商品開発部から送られてきたニーズをもとに材料の数量を算出し、 設計図をつくり、生産管理部などの部署に設計図を送ります。設計部は社外の人と話さなくていい部署かというと、そうではありません。 商品を依頼してきたお客さんと直接やり取りしながら設計を進めていくのです。
理系でとても人気のある部署ですが、楽なわけではなく、残業も多いです。 自分に指示を出すのは上司ではなくお客さんや営業部、商品開発部です。 そのため設計部内ではコミュニケーションがそれほど活発ではありません。
また設計図が間違っている場合や、その図面通りには商品を作れないといった場合に、 工場の職人から怒りの電話がかかってきたり、生産管理部から怒りの電話がかかってきたりします。 ストレス耐性も必要な部署です。
しかしながら設計部は、自分の書いた設計図の通りに商品ができあがっていくので、 やりがいはとてもある部署ですね。
設計は出世コースではない
設計は、営業や生産管理と比べるとそれほど出世コースではありません。 というのも、仕事は自分のデスクで完結する上に、売り上げやコストを管理して利益を出すのは営業と生産管理だからです。
つまりは経営センスが身につかず、社内での人望や名声もつきにくいというわけです。
「設計本部長」という取締役ポストはあるにはあるのですが、 他の部署の管理職や取締役になることは極めて稀で、社長にまで登り詰めることもまず、ありません。
経理部
経理は、極めれば最高財務責任者という重要ポストがある!
経理部は、会社のお金の流れの一切を管理する部署です。 各部署の予算、購入品、売上、従業員給与、決算まで行います。 決算が最も忙しくなる仕事で、決算期である冬はなかなか家に帰れません。時期によって非常に忙しい部署です。
事務系総合職ではどの会社でも、ナンバーワンは営業部か、商品開発部ですが、経理部は必ず会社に必要な部署ですので、 立場が全くないなんてことはありません。ある程度の地位を持っています。
一方でやりがいがあるかというと、経理部に所属する友達の話では「直接利益を出している営業部配属の同期に対して引け目を感じる」 と言っていました。経理部は会社に直接利益を出す部署ではありません。 その分、やりがいが足りないと感じることがあるようです。
また経理部では簿記や会計の知識が必須になりますので、日商簿記2級、日商簿記1級などの資格の取得が必須とされます。 資格はもっていなくても、勉強は必要になります。就職後も勉強が続くことになりますね。
ちなみに、「経理部」「経営企画部」「人事部」「法務部」などとまとめて間接部門と言いますが、 持株会社(ホールディングス)にまとめて置かれることが多いです。 このため「エリート」のように思われがちなのですが、実はそうではありません。
極めれば活躍の余地あり
経理部も出世コースではありません。お金の流れは把握できても、ビジネスを遂行する主体ではないためです。 仕事は社内で完結し、どちらかというと入金や出金の手続きの催促をする側ですので、 社内での人望、名声はつきにくいです。
ただし、経営は「資源をどこに投入するか」がメインの仕事です。 その資源をつくりだすのが経理の仕事であり、「倒産しないギリギリのラインまで『使える現金』を用意する」 というスキルは、極めれば社長の片腕として活躍できます。
経理スキルは社内だけでなく他社からのヘッドハンティングの可能性もあり、 最高財務責任者としての道が開かれています。
経営企画部
経営企画は、機能不全のため出世コースではない!
経営企画部は本来、市場調査、データの整理、ビジネス戦略案の作成、 新規事業の企画、新商品の企画などマーケティング業務を通じて「経営陣の参謀」であるべき部署です。 「会社の頭脳」ともいえる部署で、役員による意思決定の支援を行うことを目的とした部署です。
本来なら一番の出世コースであり、経営陣を支える最重要の部署・・・のはずでした。
実際には日本企業には「マーケティング」の概念があまり広がっていません。 「高機能で高品質な製品をつくれば売れる」という昭和の栄光をいまだ忘れられない日本企業は、 マーケティングを重視してきませんでした。
現実として、経営企画部は単なる役員秘書にすぎず、社長や常務などのスケジュール管理、 ハンコの管理が主な仕事です。残念ながら会社の頭脳としての機能はなく、 出世コースでないばかりか社内の人すら「そんな部署あったんだ」くらいの認識です。
マーケティングを極めよう
経営企画部は社長の手足ですので、輝いていれば抜擢されやすいポジションではあります。 現状日本企業では機能していないマーケティングですが、 これができれば経営陣には輝いて見えるはずです。
マーケティングについては次のページで詳しく解説していますので、参照してください。
人事部
人事は、実は何の権限もない!
人事部は新卒採用、中途採用、新人教育の他、課長補佐研修、課長研修、部長研修などの社内研修を行う部署です。 研修自体は人事部ではなく他の部署の人、担当部署の部長、課長などが行います。 人事部でやることは会場の手配、スケジュールの設定、対象者の召集などです。
「人事部」といえば人事異動のイメージが強く、人事異動という強力な権限を持っているように誤解されがちです。 しかし、驚くことに人事部に人事権はありません。昇進、昇格、配置転換については各部署の部長が決定します。 人事部だからといって誰を出世させるか決められるわけではありません。
では人事異動で人事部は何をしているかというと、各部署の部長が決定した人事異動を調整し、発表するのです。 もちろん辞令には人事部のハンコが押されるわけですが、人事部が異動を決定しているのではないのです。
そして給料も人事部が決定しているのではありません。 同様に昇給などは人事部がハンコを押すわけですが、実際に昇給を決めているのは各部署の部長ですし、 ボーナスの査定も昇進もすべて各部署の部長の権限です。
一方で「どの部署からどの部署へ何人異動させる」などの人事異動計画の権限をもっており、 適材適所や訓練を実践することで、人材育成を目的とした部署といえます。
人事も出世コースではない
日本では人事部の重要性が低く見積もられています。 というのも、「経営戦略」をもとにした人事異動ではなく、「各部署の都合」での人事異動が主流だからです。
このような環境ではいくら人事部で良い案を持っていても、他部署の取締役クラスが出てきて断ってきますので、 「ハンコを押す」くらいの役割しか担わせてもらえないわけです。
取締役に出世するには「総務」「広報」「法務」など他の間接部門との争いになります。 そして人事も特に有利ではないため、出世は困難を極めます。
総務部
総務は、悪く言えば雑用係!
総務部は一般的に女性が多く配属される部署です。 自社ビルの管理点検、経理部や人事部の手伝い、福利厚生の支援等、どの部署が担当すべきかわからない仕事はすべて総務部に回ってきます。 悪く言えば雑用係の部署です。
なぜ女性が多く配属されるかというと、工場のイカツイおじさんたちに何かをお願いするとき、 女性がお願いするほうが言うことを聞いてもらえるためです。
会社によっては広報部を設けず、総務部で一括して担当する場合も多いです。
総務部で働いている人より、他の部署のポストからあふれた人が総務部の部長になることが多いです。 総務部で働く人はおよそ派遣社員や一般職なので、部長まで昇進することが少ないです。 就活で「総務部志望です!」などと言おうものなら「君、何言ってんの?」となること間違いなしです。
広報部
広報は、社内報をつくるのが主な仕事!
広報部は社内報の作成、記者会見の準備が主な仕事な部署です。会社によっては広告も兼ねていることがあり、 テレビCMや新聞広告なども担当します。会社のホームページや記者会見を通じて自社ニュースを発信します。
社内の情報共有という役割を担っており、「生産管理部では○○個の商品を製造した」や 「今月の商品発注量は○○個だった」「工場での事故件数は今月もゼロだった」などの社内ニュースをまとめて発信します。
また人事部の人事異動の内示や告示、経理部の決算発表などをまとめ、 社内の各部署に伝達するという役割もあります。
調達部
調達は、重要な割に出世コースではない!
調達部は営業部とは真逆の部署で、工場生産の材料、燃料、資材の購入をする部署です。 常に価格が変動している材料や燃料の購入には相場観が必要で、また商社や部品業者から営業をかけられる部署です。 良いものを安く買うため、設計部や生産部等の技術系総合職が配置転換されてやってくることが多いです。
就活生はあまり注目しませんが、営業部や生産管理部と同じく直接利益を出す部署です。 いくら物を売っても、原価が高ければ利益は生まれません。調達部が材料を安く買ったり、 まとめ買いで値引きをしてもらったりすることで原価を低減し、利益が生まれるのです。
実は会社の中でもかなり重要な部署だったりします。
調達も出世コースではない
調達もやはり出世コースではありません。 会社で重要な役割を担っているとはいえ、営業や生産管理に比べると見劣りします。
というのも、全社的にビジネスを俯瞰するわけではなく、社内の人望や名声の高まる仕事でもないからです。 仕事内容も悪く言えば「値引き交渉」であり、そこで付加価値が生まれるわけでもありません。
法務部
法務は、会社の経営にストップをかける存在!
法務部はコンプライアンスを担当する部署です。社内監査、訴訟対応、社内文書の管理、各種申請書の管理、契約書の管理、そして株主総会です。 それほど人数が必要な部署ではないので、法学部卒だから法務部、となるわけではありません。 そしてあまり出世コースであるともいえません。
社内文書の管理は非常に大変で、各営業所、工場を回って文書を確認し、ハンコを押します。 法律に抵触するような営業実態があるといけませんので、社内文書を厳重に管理しなければなりません。 また、上場企業では「ガバナンス(企業統治)」が正常に機能しているかどうか確認しなければならないので、 「社内監査」を通じて会社の規定通りに会社が運営されているか調査します。
営業部や調達部などが契約しようとしている案件の契約書を持ち込んできます。 法務部ではその契約書を精査し、自社に有利なように書き換えたり、文言を削除したり追加したりします。 このように、「会社の存続」を目的とした部署と言えます。
また訴訟対応も大変で、陳述書の作成や弁護士との相談など、訴訟が増えれば増えるほど忙しくなっていきます。 そして直接利益を出す部署ではなく、むしろ会社の経営にストップをかける部署ですので、 あまり経営者から重視される部署ではありません。
研究所
研究所は新製品開発のため、日々様々な研究をしています。耐久性の実験は大変退屈で、何秒間に何回の衝撃を起こす実験装置を延々と監視することもあります。 工場を回って商品の問題点を探したり、不具合の解決策を考えたりします。イメージとは裏腹に残業も多い部署です。
研究が好きな院卒が配属されることが多いです。研究が好きな人にとっては楽しくてたまらない部署でしょう。 しかしながらやはり、直接利益を出す部署ではありませんのでやりがいがあるかというといまいちです。
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著者:村田 泰基(むらた やすき)
合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。
その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、11年間に渡り学生の就職活動を支援している。
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