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【就活】営業ってどれくらいツライの?

 就活で嫌われがちなのが「営業」です。掲示板等でも「営業配属の事務系は負け組」などと言われます。 営業が嫌がられる理由は、「キツイ」「激務」「重いプレッシャー」というイメージがあるためです。

 事務系総合職の大半が営業に配属され、 また就活でも「希望配属先」として「営業」以外を希望するのは至難の業で、 内心では別の部署を希望していても、面接では「営業希望です」と言わざるを得ない状況です。

 しかし、必ずしも営業はツライのでしょうか。そして、どれくらいツライのでしょうか。 ここでは、入社して4年間営業を経験した筆者の体験をもとに、営業の仕事について述べていきます。



 

営業って具体的にどんな仕事をするの?

 営業の仕事は、大きく分けて販売促進契約進捗管理入金の4つです。 つまりは、お客さんを見つけて支払いが完了するまで、最初から最後まですべての面倒を見ます。

 

販売促進

 一番キツイと思われている営業の仕事が「販売促進」です。

 営業のイメージとしてありがちなのが「飛び込み営業」「土下座営業」ですが、 これらは効率が良くないのでしません。基本的にこれはドラマの世界の話だと思っておきましょう。

 飛び込み営業で話を聞いてもらえる可能性は限りなく低く、 相手の会社の担当者が不在だったり、そもそも興味がなかったり、そういう人に営業をかけても仕方がありません。 なので、ダイレクトメールやテレアポを通じて、反応のあったお客さんを訪問するのが通常です。

 テレアポは正直キツイですが、ダイレクトメールで反応があればテレアポまでする必要はありません。 よっぽど商品に魅力がない、よっぽど知名度が低いということがなければ、 ダイレクトメールに反応してお客さんからメールや電話をくれます。

 そして、お客さんを訪問して商品説明を行い、うまくいけば契約、 うまくいかなければ別のお客さんを訪問するという流れになります。

 ほとんどオフィスにいないで外回りをしていますので、移動中はリラックスできたり、 毎日違う場所でランチが食べられたり微妙に空いた時間をカフェで過ごしたり、 他の部署にはない自由さがあるのが営業のメリットです。

 販売促進の一環で「見積書」を提出します。客先の希望数量に対して単価を出し、 上司の決裁を受けて見積書を客先に提出します。この見積書の作成も営業の仕事です。 社内の担当部署に「原価算出」を依頼し、原価に利益を乗せて見積価格を計算します。

 営業に配属された新人はこの「見積書」を作成することが当面の仕事です。 (いきなり初日から客先回りをさせられることはありません) 見積書を作っているだけの間はハッキリ言って楽です。

 

契約

 ちょっとキツイのが契約です。契約書を交わす前に、「価格交渉」があります。

 見積書に対して客先は値引きを要求します。客先もビジネスですから、安く済めば安いほど良いに決まっています。 また、「値引きさせた」ということが客先の調達部門の成果になりますので、 あらかじめ値引きを想定した見積書を出すのも1つのテクニックです。

 最初から「うちは掛け値なしで商売してますので、見積書の価格がベストプライスです」と言っておくのもアリでしょう。 しかし、どちらにしても値引き要求はあります。

 通常、上司から決裁を受けるときは「この最低価格以上なら契約してよい」という許可を得ますので、 最低価格以上であれば営業マンの一存で値引きをすることもできます。 ここではいかに高く売るかが営業マンの腕の見せ所ですが、「値引き交渉」はちょっとツライ仕事でもあります。

 できれば前にその会社を担当していた営業マンから「コツ」を聞いておきたいところですね。

 交渉がまとまり、契約書にハンコを押してもらったら会社に持ち帰って「契約通知」を流します。 これで社内の生産部門が商品の製造を開始します。

 

進捗管理

 営業の仕事は契約後も続きます。というのも、お客さんが一番信頼していて話しやすいのは営業マンだからです。 生産部門の担当者よりも、営業マンを頼って電話をかけてくるお客さんは非常に多いです。

 また、別件でお客さんを訪問したときに「あの案件はいまどんな状況?」と聞かれることもあります。 契約時に決めた期日までに商品が納入されなければなりませんので、営業マンは都度、生産部門と連絡をとって、 予定通りに生産が進んでいるかどうか確認しなければなりません。

 お客さんと生産部門が打ち合わせするときには営業マンも出席し、お客さんを安心させる必要があります。 また、生産で問題が発生した時も、生産部門の担当者だけでなく、営業マンも一緒に謝りに行きます。

 この「契約後のケア」という仕事が、「デキる営業マン」を圧迫します。 というのも、契約が増えてくると「契約後のケア」も増え、同時にお客さんの訪問、見積もり、契約をこなさなければならないからです。

 契約のノルマを達成すれば楽になるというものではなく、ますます忙しくなるのが世の常です。 新入社員はこのような「デキる営業マン」のお手伝いとして見積書を作成したり、 契約書を作成したりすることから始めます。

 

入金

 時には会社が倒産しかねない事態にもなる「入金」という重大な仕事も営業の仕事です。

 商品が完成して終わりではありません。代金が入金されてはじめて仕事が終わります。 もしも入金がされなければ、会社の資金繰りに影響を及ぼし、金額が大きければ会社が倒産する可能性すらあります。

 そのため、契約の前に客先に支払い能力があるかどうかを「帝国データバンク」や「リスクモンスター」といった、 与信調査会社に問い合わせたり、客先に不審な様子がないかどうかを確認したりして、 確実にお金が支払われる「支払い条件」を客先と交渉します。

 契約時に決めた支払い条件の通りに支払ってもらうため、客先の指定期日までに「請求書」を作成して送付するのが、 非常に大事な仕事です。

 新入社員は見積書の作成、契約書の作成のほか、この「請求書」の作成もやります。 (交渉自体は先輩営業マンがやります)

 

会社で一番キツイのは営業?

 確かに「価格交渉」や「アポイントを取る」ことはキツイです。月に何件契約しなければならないというノルマもありますし、 それと同時に契約後の進捗管理もしなければなりませんから、「日中は外回りをして夜は会社に戻って事務作業」 のような生活になりがちです。

 しかし、営業が会社で一番キツイのかというと、そうとも限りません。

 技術的な質疑応答、無茶な要求などは設計部門や生産部門が処理しなければなりませんし、 設計変更で手戻りが発生したり、「それはできない」という理由を説明したり、 意外と設計部門や生産部門はお客さんと厳しい電話をしなければならないことが多いです。

 また、調達部門は心を鬼にして値引き交渉をしなければなりませんし、経理部は毎日のお金の流れに翻弄され、 決算期には家に帰れないほど数字とにらめっこしなければなりません。 法務部は訴訟対応や株主対応で外部の人(たいてい問題のある人)と接することも多いです。

 ほかの部署の人が毎日オフィスや工場にすし詰めになっている中、営業マンは1人で外出できるというメリットもありますし、 お客さんに気に入られて食事をおごってもらえたりもします。 (私も3000円のうなぎのランチをごちそうになったこともあります)

 なんだかんだで会社の部門間のキツさは差し引きゼロになるようにできています。

 しかし、他部署との温度差によっては営業に重くのしかかる場合があります。 設計マンがお客さんと話すのを嫌がったり、お客さんが設計マンを嫌ったりすると、 技術的な話まで営業マンがする場合も出てきます。

 見積もり段階でも原価算出にミスがあった場合、結局謝りに行くのは営業マンです。 ですから、あまりにも原価算出の部門にミスが多いと、営業マンが原価を計算しなおす必要も出てきて、 さらに仕事が増えます。

 生産部門が「期日が守れない」と言い出したらお客さんに謝りに行き、期日を伸ばしてもらう要請をしなければなりませんし、 そもそも魅力のない商品だったり宣伝力が足りないと「テレアポ」でお客さんを無理やり見つける必要もあります。

 「全部門が正常に機能しているかどうか」が営業のキツさに大きく影響を及ぼします。

 

同僚や上司によっては地獄にもなる

 メリットもデメリットもある営業ですが、同僚や上司によっては地獄にもなります。 その典型的な例が、2017年9月5日の「ガイアの夜明け」で放送された「キリンビールの営業マン」のエピソードでしょう。

 番組では、関西での「一番搾り」の売上が「前年比150%」の目標に届いていないことで、 「飲み会説教」が行われていました。

 そこで先輩社員が言い放ったのは「覚悟が足らん、一言で言うとそれやぞ」「やってないねん。お前どんだけやっとんねん。やれや、できるやろ」 という典型的な精神論でした。番組ではいかにも「感動のシーン」のように扱われましたが、 このような職場にあたるとハッキリいって地獄です。

 そもそも前年比150%という高い目標に対して、「気合」「根性」「覚悟」などで解決できるのなら、 どの会社も苦労しません。それだけの売り上げアップを目指すなら、マーケティングからやり直さなければなりません。 全社的に取り組むべきことを現場の営業マンだけに責任を押し付けるところに大きな課題があります。

 具体的にどうしたら一番搾りの人気が出るかを考えなければならないのに、 それを精神論で片づけてしまう安易な思考をしている先輩社員や上司の下では、 無理なノルマを強いられる地獄のような職場でしかありません。

 飲み会説教が行われがちな会社の特徴は、「ビジネスが行き詰っている」という点にあります。

 私の会社でも斜陽産業であることは明らかなのに花形部門のため売り上げを落とせない部門の営業にいたときは、 飲み会は毎日このような雰囲気でした。具体的な方策は一切なく、 単に「頑張れ」「根性だ」「全員野球だ」などと何の役にも立たない説教が繰り広げられるのです。

 キリンビールもビジネスに行き詰っている会社です。 ラガービールの天下にあぐらをかいている間にアサヒの「ビールと言えばドライ」というマーケティングに流れを奪われてしまいました。

 その間にサントリーはプレミアムビール市場に目を付けただけでなく、 ビールの代わりに「ハイボール」を売ることで売り上げを拡大しています。

 キリンビールはこの2社に完全に戦略負けを喫し、いまだ有効な策が取れていないどころか、 ブラジルのスキンカリオール社の買収で大失敗をしたり、上層部はいまだに「ラガー飲み以外はビール飲みではない」 などと言っている始末です。完全に過去の栄光にすがっている斜陽企業といえます。

 作れば売れていた昭和時代とは異なり、「お客さんがその商品を選ぶ理由」を作らなければ売れない時代です。 「ビールと言えばドライ」「ビールの代わりにハイボールで乾杯」といった、 お客さんがその商品を選ぶストーリー作りが急務であるのに、単なる精神論に終始してしまうのは残念です。

 お客さんのことを考えるのを忘れて、目先の数値目標しか見えていない会社にありがちです。

 一方でイケイケドンドンな部門の営業に配属されたときは真逆でした。 飲み会では説教が行われない代わりに、「どうすれば売れるか」という議論が盛んに行われていました。

 精神論ではなく、「こういうお客さんがこの商品を必要としているんじゃないか」 「このエリアのお客さんはこういう理由でこの商品を選んでいる」「お客さんの心に響くのはこの言葉だ」 といった、具体的な方法論、戦略論が繰り広げられるのです。

 こちらの飲み会は非常に楽しく、勉強にもなり、やる気も出ます。どうやって売るかという試行錯誤ができ、 成績の向上、売り上げの向上にもつながります。 第一に「お客さんに自社商品のメリットを享受してもらう」という考えがあるのです。

 戦略が悪ければいくら営業しても無駄です。会社選びの際は、販売戦略を感じられる会社を選ぶべきでしょう。 「誰に何を売るか」「お客さんがその商品を買う理由」がはっきり感じられる会社は、 飲み会も精神論ではなく方法論の議論がされていると思われます。

 

営業は転職に有利

 AI化、IoT化が進められ、「人間の仕事」がだんだん機械に取られて行っています。 「一般職」の需要は大きく減退しましたし、今後も経理や設計の仕事もだんだんパソコンに取られていくでしょう。

 また、カネボウやシャープ、東芝のように大企業でも苦境に陥ることがありますし、 富士フイルムやソニー、パナソニックのように大規模なリストラに巻き込まれる可能性もあります。 ベンチャー企業が大企業を凌駕することも多い時代、このようなことは頻発すると思われます。

 その中で生涯働くには、「機械にはできない仕事」を身につける必要があります。 意思決定、つまりは「経営」や、誰に何を売るかを決める「マーケティング」もそうですが、 「営業」も機械にはできない仕事です。

 客先の意思決定者に商品の魅力を伝え、「買いたい」と思わせることができるのは営業マンだけです。 転職の条件に「営業経験」と書かれていることが多いのもこのためで、 営業で身につけたスキルはどこの会社へ行っても必要なスキルです。

 さらにはお客さんと直接会う、契約から入金まですべてを担当するという面からも、 「営業経験」はマーケティングにも経営にも必要な要素です。

 この先何十年と働くにあたって、将来的に機械に取って代わられるようなオフィスの仕事よりも、 営業経験を積んでおいたほうがリストラに遭いにくいですし(リストラの対象はたいてい機械で代わりが務まる仕事です)、 もしリストラに遭ったり会社が倒産しても、別の会社で働くこともできる点で有利です。

 起業家にも営業出身者が多く、それはやはり「販売促進」から「入金」まで、 仕事の一連の流れのすべての経験があるためです。商品を売り込むセンス、 誰にどのような商品が売れるのかというマーケティングの視点も営業で身に付きます。

 一見キツそうな営業ですが、身につくものは多く、間違いなく「成長できる仕事」と言えます。

 

内定を取りこぼさないために

 

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