文系就活は【マーケティング】を目指せ!将来性の高いスキル
マーケティングは非常に将来性が高く、文系の就職としておすすめです。 今後、このスキルの重要性はさらに高まり、どんな状況でも切り抜けられて、起業・独立・経営幹部としてのヘッドハンティングなど、社会に必要な人材になることができます。
目次
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文系出身者にこそ、マーケティングという選択肢を
文系には、マーケティングという重要な役割がある!
近年、「文系は将来性がない」「AIに仕事を奪われる」といった意見が聞かれるようになりました。 確かに、事務作業や営業の一部など、定型業務は自動化が進みつつあります。
しかし、すべての文系職が淘汰されるわけではありません。 むしろ、AIには代替できない「創造的・戦略的な役割」を担えるのが、文系の強みです。
マーケティングという仕事の本質
文系出身者が特に力を発揮できる分野の一つが、マーケティングです。 マーケティングは単なる「販売支援」ではなく、以下のような幅広い業務を含みます。
- 市場調査と分析
- 顧客ニーズに基づく商品企画
- 価格戦略の立案
- 販売チャネルの選定
- 広告・プロモーションの設計
- ブランド価値の構築
特に重要なのは、技術や製品の「機能」だけでは売れない時代になっているということです。 顧客の心理や行動に基づいて「どう伝え、どう届けるか」が成果を大きく左右します。
言い換えると、消費者心理を探る「読解力」が必要な時代になっており、それは文系の得意分野なのです。
マーケティングが文系に向いている理由
マーケティングは、文系学生が活かせる能力を多く求める分野です。 特に「読解力」や「消費者理解」は、文系学生が持つ強みを活かせる要素です。
読解力
マーケティングにおいて、消費者の心理や市場動向を正確に理解するためには、膨大な情報を読み解く能力が不可欠です。 文系学生が培った読解力は、これを得意とするため、マーケティングの分野において大きな強みとなります。具体的には以下のような点で活かされます:
- 市場調査の分析
市場調査やアンケート結果、レポートを精緻に分析し、顧客の動向を読み取る力は、文系学生の読解力を活かす典型的な場面です。文章やデータの中から重要な情報を抽出し、マーケティング戦略を立てるための材料として活用します。 - 広告コピーの作成
広告やキャンペーンの文言を作成する際、消費者に響くメッセージを読み取る力が求められます。文系の学生は、文学や言語に慣れているため、消費者に伝わる言葉を選ぶことが得意です。
消費者理解
マーケティングの中心は消費者です。消費者のニーズや心理を理解し、それに応じた製品やサービスを提供することがマーケティング活動の基本となります。 文系学生は、社会学や心理学、文学などを学んでおり、消費者の思考や行動を深く理解する力を持っています。具体的には次の点で強みを発揮します:
- 消費者の心理の理解
消費者の行動や意識を理解することは、マーケティング戦略を練る上で欠かせません。文系学生は、人間の心理や社会的背景を学んでおり、消費者の欲求や動機を深く考察することが得意です。 - ストーリーテリングの能力
マーケティングでは、消費者の共感を呼ぶストーリーが重要です。文系学生は文学や歴史を学ぶ中で、物語を構築する力を養っており、ブランドや製品の価値を消費者に伝えるためのストーリーテリング能力に長けています。
このように、マーケティングは「読解力」や「消費者理解」の面で文系学生の得意分野を活かせる仕事です。 市場や消費者の動向を読み解き、それに基づいた戦略を立てることができるため、文系学生にとって非常に適したキャリアパスと言えます。
理系の強み | 文系の強み |
---|---|
技術開発・製品設計 | 消費者心理の理解・戦略立案 |
生産プロセスの最適化 | ブランド構築・訴求力のある表現 |
「売り込まなくても売れる」仕組みをつくる
マーケティングが成功すれば、営業が苦労して顧客を説得しなくても、「顧客の方から商品を求めてくる」状態を作ることができます。 AppleのiPhoneはその好例でしょう。
文系出身であっても、戦略的にキャリアを考えたいなら、マーケティングは非常に有望な選択肢です。 企業の中核に関わる役割であり、将来性も高く、やりがいのある分野です。
マーケティングが「将来性の塊」と言える4つの理由
マーケティングの将来性が高い理由は、次の4つがあります。
- 売れる仕組みがなければ何も売れない時代へ
- ブランド力が利益率を決定づける
- 経営に必要なスキルが自然と身につく
- 希少で応用可能なスキルが、未来を切り拓く
1. 売れる仕組みがなければ何も売れない時代へ
かつては、品質の良い商品を作れば自然と売れる時代がありました。 しかし現代では、いかに優れた商品であっても、売れる仕組み(マーケティング)がなければ市場に浸透しません。
事例
例えば、日本の家電業界やパソコン業界は、技術的には世界トップレベルでした。 NEC、富士通、東芝などは高性能なハードウェアを次々と開発していましたが、「操作が難しい」「専門知識が必要」といった一般消費者の不安や心理に目を向けることができませんでした。
その隙を突いたのが、アップルとマイクロソフトです。 アップルは「直感的に使えるインターフェース」を追求し、マウス操作やGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を導入することで、「パソコンは難しい」という先入観を払拭しました。 さらに、広告や製品デザインを通じて、「パソコン=かっこいい・楽しいもの」というイメージを定着させました。
マイクロソフトも、Windowsの普及によって「誰でも簡単に使えるパソコン環境」を提供し、市場のスタンダードを獲得しました。 両社の共通点は、「技術よりもユーザー体験にフォーカスしたマーケティング」を重視した点です。
こうして、ハード性能にこだわり続けた日本企業は、“使いやすさ”という価値で選ばれた海外企業に市場を奪われたのです。
2. ブランドによって価格と収益性を劇的に引き上げる
マーケティングの力は、単に商品を「売る」だけにとどまりません。 ブランド価値を確立することで、同じ機能の製品であっても高価格を正当化し、高い利益率を実現することができます。
アップルの例
たとえばアップルのiPhoneは、現在では同等のスペックを備えたAndroidスマートフォンが多数存在しています。 それでも多くのユーザーがiPhoneを選ぶのは、「直感的な操作性」「洗練されたデザイン」「アップル製品との連携」「所有すること自体がステータスになる」といったブランドによる体験価値があるからです。 これは、単なる製品性能ではなく、“選ばれる理由”を設計するマーケティングの成果です。
ドイツ車の例
BMWやメルセデス・ベンツは、高性能な車両に加え、ラグジュアリーで洗練されたブランドイメージを確立し、高価格帯であっても強い支持を得ています。 また、フォルクスワーゲンは元々「国民車」を意味する大衆向けブランドでしたが、「堅牢さ」や「安全性」「信頼性」といったイメージを戦略的に訴求し、ブランドを高級志向へとシフトさせることに成功しています。
P&Gの例
日用品メーカーのP&Gは、単一ブランドで展開するのではなく、「パンテーン」「アリエール」「ファブリーズ」「ジレット」など、多数のブランドを目的・ターゲットごとに細分化して展開しています。 それぞれのブランドに固有のストーリーや価値を持たせ、価格競争に陥らずに高付加価値を維持しています。このように、P&Gはマーケティングによって「同じ洗剤でも高く売れる」仕組みを設計している典型例です。
USJの例
かつて入場者数の減少に苦しんでいたUSJは、マーケティング責任者としてP&G出身の森岡毅氏が参画後、「誰のためのテーマパークか」というブランド設計を根本から見直しました。 彼は「家族連れ」をターゲットに定め、『ハリーポッター』エリアの導入やSNS映えを意識した季節イベントの展開など、“体験そのものをブランド化”する戦略を推進。 その結果、年間入場者数は2倍以上に増加し、業績はV字回復しました。
このように、マーケティングは“モノの価値そのものを高める”ための戦略的な技術であり、収益構造に直結する重要な要素となっています。
3. 経営に必要なスキルが自然と身につく
マーケティングは、商品開発・価格戦略・販路設計・広告・顧客対応など、経営の全領域に関わるスキルを必要とします。
そのため、マーケティング職に就くことで、単なる「一部門の知識」ではなく、経営者目線の広い視野と実務能力を養うことができます。
たとえばP&Gでは、若手のうちからブランドマネージャーとして売上責任と裁量を持ち、経営に近い立場で意思決定を行います。 これにより、自然と「経営力」が鍛えられるのです。
4. 希少で応用可能なスキルが、未来を切り拓く
マーケティングはAIや自動化が進む時代においても、人間の創造力・戦略的思考が不可欠な分野です。 市場の変化を捉え、顧客心理を読み解き、ブランド価値を設計する――こうした能力は機械には代替しにくく、将来的にも高い需要が見込まれます。
前述の森岡毅氏のほかにも、 P&G出身を中心とした優秀なマーケターたちは、さまざまな業界の要職にヘッドハンティングされています。
- 日産自動車:マーケティング顧問
- 資生堂:マーケティング取締役
- ロクシタン:代表取締役社長
- 日本マクドナルド:執行役員
- 江崎グリコ:マーケティング副本部長
- UCC:取締役
- キリングループ:戦略マーケティング部門
このように、マーケティングは業界を問わず通用する“応用可能な希少スキル”であり、個人のキャリアの自由度を大きく広げる強力な武器となります。
参考リンク:P&Gマフィアと呼ばれる著名マーケター10選
まとめ:マーケティングは「時代を動かす武器」
- 売れない時代に「売る仕組み」をつくる
- 価格競争から脱却し、利益を最大化する
- 経営者視点のスキルが身につく
- 希少価値が高く、将来の選択肢が広がる
これからの時代、マーケティングは単なる職種ではなく、「どんな仕事でも通用する武器」としての価値を持ち続けるでしょう。
マーケターになるには?就活での戦略
マーケティングは、単に広告を打ったり売上を上げるだけでなく、消費者行動や市場トレンドを理解し、企業戦略を構築する重要な役割を担っています。 では、マーケターを目指す学生はどのような企業をターゲットにし、どのように就職活動を進めるべきでしょうか?
マーケティング企業の一覧
以下に、マーケティングを企業戦略の中心に据えている企業の特徴を挙げます。 これらの企業は、市場での競争力を高めるために強力なマーケティング部門を持ち、定期的にマーケターを求めています。
生活消費財メーカー
会社名 | 売上高 | 平均年収 | 備考 |
---|---|---|---|
花王 | 1兆5325億円 | 866万円 | 働きやすい会社 |
資生堂 | 9730億円 | 739万円 | |
ユニ・チャーム | 9417億円 | 855万円 | |
ライオン | 4027億円 | 735万円 | |
コーセー | 3004億円 | 806万円 | |
P&G | 2845億円 | 非公開 | 世界で8.3兆円 |
ファンケル | 1108億円 | 647万円 | |
ユニリーバ | 1000億円 | 非公開 | 世界で6.8兆円 |
ポーラ | 889億円 | 588万円 | |
ロレアル | 国内非公開 | 非公開 | 世界で3.2兆円 |
生活消費財メーカーは、いち早く「技術では売れなくなった業界」で、古くからマーケティングによって繫栄してきた業界です。 特にP&Gは世界一のマーケティング企業として有名です。
食品メーカー
会社名 | 売上高 | 平均年収 | 備考 |
---|---|---|---|
サントリーホールディングス | 3兆2851億円 | 1133万円 | 飲料 |
キリングループ | 2兆1343億円 | 957万円 | 飲料 |
味の素 | 1兆4392億円 | 1072万円 | 化学調味料 |
日清食品ホールディングス | 6692億円 | 790万円 | |
コカ・コーラボトラーズジャパン | 8685億円 | 630万円 | 飲料 |
食品メーカーも早々にマーケティングを取り入れ、繫栄してきた業界です。 ここではビジネス誌等で「マーケティング企業」として認められている会社をピックアップしています。 特にサントリーと味の素は日本屈指のマーケティング企業として有名です。
BtoBメーカー
会社名 | 売上高 | 平均年収 | 備考 |
---|---|---|---|
キーエンス | 9672億円 | 2067万円 | 提案営業 |
エフピコ | 2221億円 | 802万円 | 化学メーカー 食品トレー国内首位 |
アイカ工業 | 2366億円 | 785万円 | 化学メーカー 内装建材 |
BtoBメーカーの中にも、マーケティングの考え方を取り入れて儲かっている会社があります。 エフピコやアイカ工業は、BtoBメーカーでありながらマーケティングを取り入れ、 消費者の心理をわしづかみにする商品をバンバン出しています。
難関企業に入るための戦略
マーケティング企業の就職難易度は、極めて高いです。 知名度が高く、応募者が殺到するため、採用倍率が100~270倍に及びます。
一方で学歴フィルターは厳しくなく、旧帝大から地方女子大まで幅広く採用実績があります。 つまり、誰にでもチャンスがあるというわけです。
そんな中で、難関企業でマーケターとして活躍するためには、他の応募者と差別化を図る必要があります。具体的な戦略は以下の通りです。
インターン優遇の早期選考
マーケティング業界は、インターン参加者優遇の早期選考を実施している企業が多いです。 活躍することができれば、採用枠がフルに空いた段階で優遇選考が受けられるため、内定の可能性が高くなります。
企業理解やマーケティング部門の雰囲気・求められるスキルを把握することで、選考までに勉強を積んだり、 自己PRや志望動機の内容にそれらを反映させることができます。
OB訪問
OB訪問を通じて、業界や企業の具体的な情報を収集し、実際に働くマーケターの声を聞くことが有益です。 マーケティングの仕事の魅力や課題について直接学ぶことができるため、志望動機が深まります。
また、入社意欲のアピールにつながるほかに、エントリーシートの内容を添削してもらうことも可能です。 私の友人にも実際、OB訪問をきっかけに内定獲得に至った例がありますので、志望度が高ければぜひ試してみましょう。
企業研究
企業のマーケティング戦略やブランド戦略に関する情報を徹底的に調べ、面接で実際に企業の戦略を分析・提案できる力を養いましょう。 企業が直面する市場の課題を理解することで、より説得力のある自己PRが可能になります。
研究結果を趣味(ハンドメイド・プラモデルなど)に応用し、「SNSでバズらせる」「ファンを獲得する」といった活動をしておくと、ガクチカにも利用できます。
文系学生が今からやるべきアクション
文系学生は、マーケティングのスキルを身につけるために以下のようなアクションを取ることが有効です。
- SNS・広告分析
SNSやオンライン広告を日常的に分析し、どのような戦略が効果的かを学ぶことが重要です。特に、ターゲット層にどのようにアプローチしているのか、どのようなコンテンツが共感を呼んでいるのかを分析する力を養うことがマーケターには求められます。 - 自己PRの方向転換
自分がどのようなマーケティングスキルを持っているのかを整理し、自己PRを強化しましょう。過去の経験(アルバイトやサークル活動など)を活かし、どのように消費者心理を理解し、行動を促進したかを具体的に伝えることが大切です。 - データ解析のスキルを学ぶ
マーケティングにおいてデータ分析のスキルは不可欠です。統計学やGoogle Analytics、Excelの使い方を学び、実際にデータを基にした意思決定を行える力を身につけましょう。
そもそもマーケティングとは?
マーケティングとは、消費者理解・商品開発・売れる仕組みづくり!
マーケティングとは、「消費者を理解して、商品を開発し、売れる仕組みをつくる仕事」を意味する言葉です。 「市場調査」「宣伝広告」はマーケターの業務の一部に過ぎません。そして「営業」や「生産」のように特定の業務だけをする部門でもありません。 社内の全てを統括する、経営そのものといっても過言ではない職業です。
マーケターは単一の商品ではなく、ブランドそのものを任せられます。 消費者を理解し、「売れる商品」をつくり、そして流通や販売まで最適化します。
これらの仕事は「マーケティングの4P」と呼ばれます。 4Pとは、以下のそれぞれの頭文字をとった言葉です。
Product:商品
Price:価格
Place:販路
Promotion:宣伝広告
それぞれの「P」で具体的にどのような仕事をしているのか、その仕事内容を詳しく見ていきましょう。
消費者を理解する
消費者の脳内を理解する!
「消費者の”ニーズ”に応える」という言い方をよくしますが、 マーケティングで行う「消費者理解」は、もっと深い「”ウォンツ”を探す」ことです。
「ウォンツ」とは、「ニーズ」よりももっと深いところにある消費者の心理を言います。 例えばアメリカの自動車メーカー大手フォードの創業者であるヘンリー・フォード氏の言葉にこのようなものがあります。
もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは『もっと速い馬が欲しい』と答えていただろう
消費者は「ニーズ」として「速い馬」を求めるのですが、その奥には真の願望があります。 それは、「もっと速く目的地にたどり着きたい」という願望です。 このようにまだ「ニーズ」として顕在化していない「ウォンツ」を探し出すのが、マーケターの最初の仕事です。
ヘンリー・フォード氏の言葉にもあるように、アンケートだけでは当てにならない側面があり、 消費者の行動や思考を徹底して研究し、「本当に望んでいるものは何か」を考える究極の頭脳労働です。
例えばマクドナルドはかつて、「健康志向」のハンバーガーを次々に投入し、ことごとく失敗しました。 アンケートの結果、消費者が「健康に良いハンバーガーが食べたい」と回答したからです。 「ニーズ」として「健康志向」が表れていたのですが、実際は誰も見向きもしなかったのです。
結局、「肉汁滴る濃厚な不健康バーガーにかぶりつきたい」というのが本音で、 実際にそういうハンバーガー路線にシフトした途端、業績は急回復しました。
参考:マクドナルドは健康志向を捨て、ジャンク路線に進んだのか?|バズフィード
消費者は、アンケートではかっこつけたかったのです。ですが、本音は別のところにあります。 それを探るのがマーケターの仕事です。
商品を開発する
消費者の脳内に訴える商品を実現させる!
商品開発はたいていの会社で専用の部署があり、主に「設計」や「生産」を担当してきた社員が配属されます。 マーケターはそこに割って入り、商品化を実現させるという任務があります。
「ウォンツ」に基づいた「ブランドの理念」をもとに商品を企画するのですが、 「こういう商品をつくれ」と商品開発部に丸投げするだけでは、 当初の計画から思いっきり外れた商品ができてしまいます。
ソニーの有名な話に「iPodをつくる技術もアイデアも社内にあった」というものがあります。 ですが、結局実現せず、アップル社に先を越されてしまいました。 この原因は「ソニー社内にはCD部門があり、CDが売れなくなるからダメだ」とダメ出しがあったためです。
社内の利害関係や生産の都合、技術的なこだわりなど、消費者のウォンツとは関係のない要素が会社にはたくさんあります。 これらが「ブランドの理念」を壊してしまわないよう、マーケターが先頭に立って指揮する必要があります。
あの頃ソニーにマーケターがいれば、きっとiPodはソニーの製品として生み出され、 今も洗練されたクールな会社として世界に君臨していたことでしょう。
このように、商品開発、設計、生産すべての利害関係を調整し、 なんとしてでも「ブランドの理念」に基づいた商品を実現させるのが、マーケターの重要な仕事です。
価格を決定する
商品のブランド理念に基づいた価格設定!
マーケティングでは「価格」も自分で決めます。 これは「ブランドの理念」を実現するために非常に重要な任務です。
多くの製造業では「材料費と固定費を回収した上で7%の粗利益をのせる」といったように、 「会社の都合」で値段を決めてしまいがちです。ですが、それは買い手には何の関係もないですよね。
例えばライブのチケットは5000円、1万円などの価格で販売されますが、 もっと高い値段で転売されることがよくあります。これを見て「高い値段をつけない主催者が悪い」と詭弁を弄する人もいるのですが、そうではありません。
女子高生に人気なアイドルグループのコンサートなら、 そのファンである女子高生が買える値段にしなければなりませんよね。 売れるからといって高い値段にすれば、「獲得したいファン」から外れた顧客しか集められません。
逆に安すぎれば利益が出ない上に、「安っぽい」という印象すら与えてしまいます。 価格はブランドイメージに直結するのです。
ここがマーケティングで最も悩むところです。 対象としている消費者がどのような層なのか、ブランドのイメージはどうあるべきか、 十分な利益が出せるかどうか、あらゆることを考慮した上で価格を決定します。
こうして「ハイブランド」でかつ「売れるブランド」を目指してその値段を決めるのです。
流通・販売を最適化する
どこで売るかが成否を分ける!
マーケティングは流通や販売の最適化も担います。 簡単に言えばどこで売るかを決める仕事です。オンライン限定なのか、スーパーなのか、薬局なのか。 薬局ならどの棚に置いてもらうのか、さらに踏み込んで「棚のどの部分に置いてもらうか」まで決めます。
例えば、スーパーのドリンクコーナーで「なぜかコカ・コーラが最初に目に入る」という経験、ありませんか? これは実は、コカ・コーラのマーケティング戦略で「棚の並べ方を任せてもらう棚割り主幹」の地位を、 小売店から託されているために起きていることです。
見えやすい位置に目玉商品や新製品を置き、その近くにどの商品を並べるかで、 関連商品の売れ行きも変わります。このような「消費者の無意識」を徹底研究して、 「最も売れる棚」をつくるのです。以下の参考記事は、「棚割り主幹」に関する記事です。
参考:「売らんかな」の営業変え、「サントリー天然水」飲料首位に|日経ビジネス
宣伝広告
短い広告は、言葉1つの選び方で効果が大きく変わる!
マーケティングは宣伝広告も重要な任務の1つです。
テレビCMなど華々しい仕事のように思えますが、実はこれも究極の頭脳労働です。 ただ知名度が高まればいいとか、おしゃれなCMを打てばいいという話ではありません。 「狙った顧客層に響く広告を徹底研究」しなければなりません。
狙った顧客層に届きやすい広告を選びます。 主婦層なのか、若い女性なのか、子持ちの男性なのかといったターゲットですね。 テレビCMが有効なときもあれば、「SNSで拡散」を狙うこともあります。
そして、ブランドのイメージが伝わるように言葉1つの選び方も大きく作用します。 キャッチコピーなども考えますから、まるで言葉の魔法使いのような仕事です。
多くの会社ではこれらの業務を広告代理店に丸投げしてしまいがちです。 ですが、マーケターはこれについても先頭に立って指揮します。
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