【就活】ブラック企業の自爆営業|どの業界でやってるの?
ブラック企業で横行する自爆営業とはいったいなんでしょうか。 自爆営業は少ない給料をさらに減らし、会社の売上として会社にお金を戻す最悪の仕組みです。 見かけ上は社員に給料を払い、会社も売上高が増えるのですが、実態は給料が減っているだけです。
この記事の要点
- 自爆営業は郵便・浄水器・小売店などで行われる!
- 会社の利益のために自分の給料を犠牲にする
- 「自分で買えとは言っていない」
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自爆営業がある業界には注意
就職活動では、自爆営業が常態化している業界や企業に注意する必要があります。
自爆営業とは、営業ノルマを達成するために自分で商品を購入することです。 これは一部の会社では暗黙のルールとなっており、新入社員にも強制される場合があります。
特に問題なのは、自爆営業がエスカレートした場合です。 自分で購入するだけで足りず、友人や親戚に商品を買わせるよう迫られるケースもあり、人間関係の悪化や信頼の喪失につながることがあります。
仮に「少しくらいなら…」と思っていても、その負担は想像以上に大きく、精神的・金銭的に苦しくなることが少なくありません。 何よりも問題なのは、違法または脱法的な営業手法を黙認している企業体質にあることです。こうした職場に長くいれば、自分のキャリアにも悪影響が出かねません。 就職先を選ぶ際は、給与や待遇だけでなく、企業文化や営業スタイルにも目を向けることが重要です。
郵便局の自爆営業:年賀はがき
ノルマ未達分の年賀はがきを自腹で買う!
郵便局における年賀はがきの自爆営業は、就活生の間でも非常に有名です。
何千枚から1万枚という年賀はがきの販売ノルマが課され、売れ残った分は郵便局員が自腹で買取るケースが後を絶ちません。
本来1枚50円の年賀はがきが、金券ショップで47~48円程度で売られているのを見たことはありませんか? これは、自爆営業で余った年賀はがきを郵便局員が金券ショップに流していることが主な原因です。
しかし実際の買取相場は1枚40~45円程度とされており、 もし1万枚(=50万円分)をすべて買い取って1枚40円で売った場合、10万円の損失になります。 このような自爆営業は、正社員・非正規を問わず多くの局員に影響しており、ネットでも数多くの体験談が見られます。
ただし、郵便局が公式に自爆営業を認めているわけではありません。表向きにはノルマの未達成に罰則はないとされています。 それにもかかわらず、ノルマ未達成者は恫喝されたり、社内で晒されたりしており、昇進や昇給に影響が出ることが事実上の罰となっています。
重要なのは、「昇進・昇給に影響する」ことは違法ではないという点です。 減給・停職・解雇のような処分は違法となりますが、昇進しない・昇給しないことは企業側の裁量とされ、法律上は問題視されにくいのです。
表向きにはノルマを禁止している郵便局だからこそ、パワハラがなければ違法とは言い切れないというグレーな状態が続いています。 このように、精神的なプレッシャーの大きい環境が続く職場を「ブラック企業」と呼ぶかどうかは、就活生自身の判断に委ねられます。
浄水器販売の自爆営業
ノルマ未達分の浄水器を自腹で買う!
浄水器販売における自爆営業もまた、よく知られた問題です。 営業研修と称して、浄水器とは無関係な業種でも、なぜか自爆営業が課されるケースがあります。
実際、私の知る限りでは建築資材の問屋でも、社員に浄水器の自腹購入を強いるような営業研修が行われていました。
まだ一定の需要がある年賀状と違い、浄水器は1台2万円~10万円と高額であり、さらにスーパーで無料の水を入手できる時代では、需要も限られます。 加えて、過去に多発した悪質な訪問販売の影響で、浄水器業界のイメージは非常に悪化しています。
こうした状況で浄水器販売のノルマを課されたとして、一体誰に売ればよいのかという問題が発生します。 もともと浄水器を扱っている会社ならともかく、関係のない会社でノルマを課された場合、販売ルートそのものが存在しません。
結果として選択肢は、友達や親戚に売りつけるか、自分で買う(自爆営業)かの二択になります。
しかし、浄水器は購入後もメンテナンス費用がかかるため、知人に売るとトラブルになりやすいのが実情です。 結局のところ、社員が自腹で買わざるを得ないというケースが非常に多いのです。
そして問題なのは、このような自爆営業が浄水器販売会社でなくても起こり得る点です。 どの業界にいても、突然「浄水器のノルマ」が降ってくる可能性があるという、非常に不条理な実態が存在しています。
このような営業手法は避けようにも避けられず、企業体質そのものを見極める力が、就職活動において非常に重要となります。
コンビニの自爆営業
フランチャイズ本部に課せられたノルマ未達分!
コンビニ業界にも、深刻な自爆営業の実態があります。 日常的にエリアマネージャーからおむすび・弁当・パンなどの仕入増加を強要され、売れ残った商品は廃棄処分となります。 しかし、その仕入代金はすべて本部に支払う必要があるため、実質的な自爆営業となっています。
問題はこれがフランチャイズ店舗だけに限らないという点です。 実は、本部社員にも自爆営業が存在します。 その対象は、お歳暮・お中元・母の日・父の日・敬老の日のギフト、クリスマスケーキ、おせち料理など多岐にわたります。
加えて、クレジットカードの契約件数ノルマまで存在し、自分だけでは足りず、友人や親戚に依頼して回らなければならないという実情もあります。 今回はこの中でも自爆営業に絞って取り上げます。
本部社員はノルマを達成するため、担当エリアのフランチャイズ店舗に販売圧力をかけますが、それだけでは足りず、自ら自爆営業を行うケースも多いのです。
フランチャイズ店舗にとっては、契約を解除されれば即倒産に繋がるため、ノルマを拒否できず自爆営業が常態化します。 一方、本部社員にとっても、昇進や昇給がかかっており、ノルマ達成のために20個のクリスマスケーキやおせち料理を自腹購入することすらあるのです。
このような自爆営業の最大の問題は、金券ショップでの換金ができない点です。 加えて、デパートや百貨店などの強力なライバルが存在するため、販売は非常に困難です。
ギフト商品は百貨店で購入する人が多く、ケーキは専門店、おせちは自宅で手作りする家庭も多いため、コンビニの商品を薦めるのは非常に難しいのが実情です。
その結果、「自腹で購入し、自分で食べるか誰かにあげるしかない」という状況に追い込まれ、経済的・精神的な負担は極めて大きなものになります。
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自爆営業とは
会社の利益のために自分の給料を犠牲にする!
自爆営業とは、会社から課されたノルマを達成するために、自らが一般消費者のふりをして自腹で自社商品を購入する行為です。
本来の営業活動とは、店舗での販促活動や仕入先への提案、訪問販売などを通じてノルマ達成を目指すものです。 完成品メーカーであれば、量販店や代理店に営業をかけ、部品メーカーは完成品メーカーに営業を行います。
しかし、自爆営業が発生するのは主に完成品メーカーと販売代理店です。 部品メーカーは個人向け販売を行わないため、売れ残っても自爆営業に走ることはありません。
特に販売代理店では、営業職に対して「今月は○○万円売れ」「○○個売れ」といった厳しいノルマが課されます。 ノルマ未達の場合、「給料泥棒」などと叱責され、昇給・昇進のチャンスを失う恐れもあります。
そのようなプレッシャーの中、自爆営業に手を出す社員が後を絶ちません。
資本主義社会では結果がすべてとされがちで、会社側も「売上が立てばOK」という姿勢をとる場合があります。 誰が買ったかではなく、いくら売れたかだけが重視されるのです。
罵倒や評価ダウンを避けるために、自腹で商品を買ってノルマを達成しようとする——これが自爆営業の構図です。 自発的に行う場合もあれば、上司から暗に(または明確に)強制されるケースもあります。
現在、就活生が営業職を敬遠する理由の一つが、この自爆営業への恐れです。 もちろん、知らない人に頭を下げるといった営業職特有の性質も敬遠されがちですが、それ以上に「自腹を切るプレッシャー」が問題とされています。
たとえば、月給が20万円であっても、毎月10万円分の商品を自腹購入していたら、実質の収入は10万円です。 会社に勤めながら、稼いだお金がそのまま会社に戻っていくという構造は、非常に理不尽です。
自爆営業を強制する会社は、明らかにブラック企業です。 また、そのリスクが高い企業にも入社したくないと考えるのは当然です。
さらに言えば、自爆営業の強制は違法であり、強要罪に該当する可能性があります。
ブラック企業による自爆営業の強制手法とは?
「自分で買えとは言っていない」で強制する!
ブラック企業が行う自爆営業の強制手段には、さまざまなパターンがあります。
1. 直接的な強制:「自腹で買え」
もっとも分かりやすいパターンは、上司から直接「自腹で買え」と命じられるケースです。 口頭での指示で証拠が残りにくいものの、完全に違法です。
2. 間接的な圧力:「誰が買ったかは問わない」
証拠を避けるために、間接的に自爆営業を強要するケースもよくあります。 たとえば以下のような発言です:
「今月ノルマを達成できなかったら地方へ飛ばすからな。ちなみに誰が買ったかは問わない。よく考えて行動しろよ。」
このように「自腹で買え」とは言っていないが、実質的に強制している発言は違法です。 法律は形式よりも実態を重視して判断されるのです。
3. 給料からの商品代金の天引き
中には、ノルマ分の商品代を社員の給料から天引きするという、非常に悪質な企業も存在します。
たとえば、2万円の浄水器を5台売るノルマがある場合、 基本給20万円から商品代(2万円×5台=10万円)を差し引いた10万円だけが実際の給料として支給されるのです。
この仕組みでは、会社にあらかじめ売上金を納めておき、商品が売れた場合のみ顧客から得た代金を社員が回収できます。 つまり、会社のリスクはゼロ、社員がすべて負担する構造です。
4. 商品を「現物支給」する違法行為
売れ残った商品は、会社が「社員が買ったもの」「在庫ではない」と扱いますが、実態はただの自爆営業です。 しかもこれは、社員に給料を払わずに商品を押し付けているという違法行為です。
5. 法律上の問題点
- 給料は全額通貨で支払う義務があります(現物支給は違法)。
- 給料からの天引きは明確に労働基準法違反です。
- ただし、ボーナスからの現物支給は違法とされにくいグレーゾーンです。
6. 「売れたら現金になるよ」は合法か?
「売れたら現金になるよ」という仕組みで、ノルマ分の商品を社員に押し付ける企業もあります。 しかし、これは委託販売を装った給料未払いであり、実態は違法な自爆営業です。