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【就活】ブラック企業の自爆営業

 ブラック企業で横行する自爆営業とはいったいなんでしょうか。 自爆営業は少ない給料をさらに減らし、会社の売上として会社にお金を戻す最悪の仕組みです。 見かけ上は社員に給料を払い、会社も売上高が増えるのですが、実態は給料が減っているだけです。

 ここではブラック企業の自爆営業について解説します。



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著者:村田 泰基(むらた やすき)
 合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。 その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、7年間に渡り学生の就職活動を支援している。


 

自爆営業とは

 自爆営業とは、会社から課せられたノルマを達成するために、自らが一般消費者のフリをして自腹で会社の商品を購入することを意味します。

 営業は、普通はノルマを達成するために店舗でのPR活動を行ったり、店舗に仕入れてもらったり。訪問販売をしたりするものです。 完成品メーカーの営業マンは量販店、代理店に。部品メーカーは完成品メーカーの調達部門に営業をかけます。 自爆営業が起こりうるのは完成品メーカー販売代理店です。

 部品メーカーは部品を個人に売ることをしませんので、売れなかったからといって自爆営業をしたりすることはありません。 完成品メーカーも販売については販売代理店に任せるので、滅多に自爆営業はありません。 自爆営業が多いのは販売代理店です。

 販売代理店の営業職は、「今月は○○万円の売り上げを出せ」「今月は○○個の商品を売れ」というように会社からノルマが課せられます。 ノルマが達成できないと「給料泥棒」などと罵倒されることになりますし、昇進や昇給にも響きます。 そんなときに手を出してしまうのが自爆営業です。

 資本主義社会のもとでは結果がすべてだとよく言われます。自爆営業については、 会社に売上さえ残ればいいということになります。 誰が購入したかではなく、いくら売れたかが重視されるのです。

 ノルマを達成し、罵倒や待遇悪化を避けるために自腹で購入してしまおうというのが自爆営業なのです。 自爆営業は社員が勝手にやっている場合もあれば、自爆営業を強制されることもあります。

 就活生が営業職を嫌がるのは自爆営業を恐れているという理由もあるのです。 もちろん営業では知らない人に頭を下げる仕事ですので、それが嫌だという人もいます。 しかし最も嫌なのは自爆営業です。

 20万円の給料をもらったとしても、毎月10万円の自爆営業をしていたら、給料は10万円しかもらっていないようなものです。 働いてもらったはずの給料が、会社に帰っていくのです。なかなか耐えられることではありません。 自爆営業を強制する会社はブラック企業に違いありませんし、自爆営業の恐れがある会社にも入社したくないものです。

 自爆営業の強制はもちろん違法です。強要罪に該当します。

 

自爆営業の強制

 ブラック企業自爆営業強制の手法にはどんな手段があるでしょうか。

 まず、直接「自腹で買え」と言われる場合があります。 口頭で命令するだけなら、自爆営業を強制しているという証拠が残りにくいですが、 完全に違法ですから直接言うよりは、次のように間接的に強制する手段のほうが多いです。

 「今月ノルマを達成できなかったら地方へ飛ばすからな。ちなみに誰が買ったかは問わない。よく考えて行動しろよ。」

というように、「自腹で買えとは言っていない」と言い訳できそうな感じに強制してくるのです。 「自腹で買え」とは確かに言っていませんが、間接的に自爆営業を強制していることが明らかですのでこれも違法です。 法律はそんなに単純なものではなく、「実態はどうか」までみて判断するものなのです。

 商品代金を給料から天引きするというとんでもないブラック企業もあります。 仕組みとしては、ノルマの分だけ社員が商品を購入したことにして、社員が営業に成功したら、売上金は社員に与えるというものです。 逆に売れなかった場合のリスクはすべて、社員に引きうけさせます。

 例えば2万円の浄水器を、5台売るというノルマがあったとします。その月の給料は、基本給20万円から浄水器代2万円×5台を差し引いた10万円となります。 要は先に会社に売上金を納めるという手法です。先に会社に商品代を納めていますので、浄水器が売れた時、お客さんから受け取る代金は自分のものになります。 この自爆営業の例では、浄水器が5台すべて売れればチャラになります。

 ノルマを達成できなかったときは、手元に浄水器が残ります。会社としては現物支給社員が購入した商品として扱います。 仕組みの上ではそうであっても、実態はただの自爆営業です。自爆営業どころか社員に強制的に浄水器を与え、 給料を支払わないというトンデモ違法会社です。

 給料は全額通貨払いが法律で定められており、給料は現金か、銀行口座振り込みしか許されません。 自社商品という現物支給は違法ですし、購入代金の天引きも違法です。

 給料からの天引きは明らかに違法であり、証拠も残ってしまう自爆営業ですが、 給料ではなくボーナスからの天引きなら違法ではないというのが実情です。 ボーナスは現物支給が可能であり、ボーナス全額を浄水器の現物支給にしてしまうことも可能です。

 「売れたら現金になるよ」という払い方があっていいのでしょうか。

 

自爆営業のある業界

 自爆営業のある業界には足を踏み入れないことが大切です。 こういった会社の場合、自爆営業に限界が来たら友達や親戚に売りつけることを強要されます。 友達をなくしますし、親戚からも縁を切られるかもしれません。

 自爆営業だけで済むならと思っていてはいけませんし、そもそも違法な自爆営業は認めるべきではありません。

 

郵便局の自爆営業:年賀はがき

 郵便局年賀はがき自爆営業は有名です。 年賀はがき販売の、何千枚~1万枚といったノルマを課されるのですが、 すべてを販売しきれなかった郵便局員は自腹で年賀はがきを買取ります。

 本来1枚50円の年賀はがきが、金券ショップで1枚47~48円で売られていたりするのは、 郵便局員が自爆営業で買い取った年賀はがきを金券ショップに売っているからです。 本来の価格の96~98%くらいで金券ショップで売られているということは、買い取り金額はもっと低いです。

 買取金額の相場は1枚40円~45円ほどです。仮に1万枚のノルマがあり、1万枚すべてを自爆営業し、金券ショップに売りさばいた場合どうなるでしょうか。 郵便局での販売価格は1枚50円ですから、1万枚で50万円です。これを1枚40円で売ると40万円ですから、 自爆営業をした郵便局員は10万円の損をすることになります。

 正社員、非正規に関わらずノルマが課される郵便局では、かなりの自爆営業が発生しており、 ネットでも非常に有名です。しかし、郵便局が違法なブラック企業かというと、別問題です。

 郵便局は表向きには自爆営業を禁止しており、ノルマ未達成でも罰則はないとしています。 しかしノルマを達成できないと恫喝され、社内で晒し者にされ、昇進や昇給に影響が出ます。 転職の難しい昨今、会社を辞めずに済むにはノルマを達成するしかないのです。

 問題は、恫喝はともかく「昇進や昇給に影響する」のは違法ではないことです。 減給や停職、解雇となると完全に違法なのですが、ノルマ未達成で「昇進しない」「昇給しない」は合法なのです。 表向きにはノルマを禁止している郵便局ですから、恫喝や晒し者にするなどのパワハラさえなければ違法ではありません。

 精神的な負担が多いという意味でのブラック企業に当てはまるかどうかは、 就活生の判断となります。

 

浄水器販売の自爆営業

 浄水器販売自爆営業も有名で、営業研修という名のもとに、 浄水器と全く関係ない会社でも行われることのある自爆営業です。 私の知る限りでは、建築資材の問屋でも浄水器の自爆営業が行われていました。

 まだ利用者の多い年賀状に比べて、浄水器は1台2万円~10万円と非常に高額で、 スーパーで水をもらえる時代ですので浄水器の需要は少ないです。 悪質な訪問販売が多かったこともあり、非常にイメージが悪いのが現状です。

 浄水器販売のノルマを課された時、いったい誰に売ればいいのでしょうか。 もともと浄水器を販売している会社ならともかく、浄水器と関係のない会社の場合、 販売ルートがありません。

 友達や親戚に売るか、自爆営業かの2択となります。 1台2万円~10万円と非常に高額な浄水器ですが、購入後もメンテナンス費用がかかりますので、 友達や親戚に売りつけると必ず問題が発生します。

 結局のところ自分で買うしかなくなってしまうのです。

 浄水器の自爆営業は浄水器販売会社でなくてもありうることが問題です。 どんな会社にいても、浄水器のノルマが課される可能性があるのです。 こればっかりは避けようにも避けられないことがあるでしょう。

 

コンビニの自爆営業

 コンビニにも自爆営業があります。 コンビニは普段から自爆営業のようなもので、エリアマネージャーからおむすびや弁当、パンの仕入を増やすよう強要され、 結局売れ残って廃棄処分・・・でも仕入代は本部に払うというようなことが毎日起きています。

 しかし自爆営業はフランチャイズ店だけではありません。本部の社員にも自爆営業があります。 それはお歳暮やお中元、母の日、父の日、敬老の日などのギフトクリスマスケーキおせちなど多岐に渡ります。

 コンビニにはギフトやケーキ、おせちの自爆営業の他にもクレジットカード契約のノルマもあり、 自分だけでなく友達や親戚にまで頼んで回らないといけないというブラック加減ですが、 ここでは自爆営業に絞って割愛します。

 本部の社員のノルマを達成するために、自分の担当するエリアのフランチャイズ店にノルマを押し付けるのはもちろん、 それだけでは達成できませんので友達や親戚に買わせ、最終的に自爆営業すら行うのです。

 フランチャイズ店はフランチャイズ契約を切られては即倒産なので自爆営業をせざるを得ませんし、 本部社員も自分の昇給、昇進に関わりますのでフランチャイズ店を叩いた上で自爆営業すら行います。 人によってはクリスマスケーキを20個買ったり、おせちを20個買ったりします。

 コンビニの自爆営業で苦しいのは、金券ショップに売ることもできない上に、 デパートや百貨店という強力なライバルが多いということです。

 友達にすすめるにも、ギフトはデパートや百貨店で買いますし、 クリスマスケーキはケーキ屋さん、おせち料理は自宅で作る家が多いです。 自腹で購入しても自分で消費するか、誰かにあげるしかないため自爆営業の被害は甚大なものとなります。

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