【就活】大手病とは?正しい場合と誤った場合|その末路と勝ち組になる方法

大手病とは「売上高で企業を判断してしまう」ことを意味します。 この基準には正しい場合と誤った場合があり、誤った場合は「どこにも内定がもらえない」という末路をたどります。 実際に大手病だった私が、失敗経験をもとに「勝ち組になる方法」を解説します。
目次
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大手病とは?
「売上高だけ」を絶対的な指標にする状態!
大手病とは、「売上高だけを絶対的な指標として企業を評価してしまう状態」を意味する言葉です。 例として、以下のような考え方は「大手病にかかっている」と言えます。
- 電機メーカーは「総合電機メーカー」だけが勝ち組
- 化学メーカーは「総合化学メーカー」だけが勝ち組
- 建設業界は「スーパーゼネコン5社」だけが勝ち組
- 売上高1兆円以上なら勝ち組
- 上記の企業に旧帝大・MARCHで入れなければ負け組だ
似た言葉として「大企業病」がありますが、そちらは学生の話ではなく、主に大企業の「意思決定の遅さ」を揶揄した言葉です。
正しい場合
大手病が正しい場合もある!
大手病が正しい場合もあります。それは、次のような企業を選ぶ場合です。
- 小売業界
- 家電メーカー
- 総合化学メーカー
- 高炉メーカー
- 製薬業界
- 銀行・商社
- 鉄道業界
小売業界と家電・総合化学・高炉の各メーカーは、薄利多売の商売です。 多く売れば多く売るほど利益が出る仕組みで、これらの企業は基本的に売上高が大きいほど優良企業です。 「1位以外は負け」とも言われるほど価格競争が激しく、大量生産で効率化を図るしかありません。
製薬業界は「新薬の研究開発」に何千億円もの投資をし、それでも新薬ができるかは運次第の厳しい業界です。 売上高の大きい会社でないとそのような投資ができませんので、大手病が正しいシチュエーションです。 ただし、この業界では日本企業すべてが負け組で、全社とも海外メガファーマに太刀打ちできない規模しかありません。
銀行や商社は「取り扱える金額」「取り扱える商品」の規模によって利益を出す、薄利多売に似た商売です。 「多額の融資をする」「特定の商品を大量に卸す」ことは利益に直結しますので、基本的に売上高の大きい会社が、多くの利益を出せます。
鉄道業界は「人の集まる場所」をつくるビジネスです。正確には「支配エリアの人口の多さ」が「強さ」なのですが、 これは売上高にそのまま反映されますので、これも大手病が正しいシチュエーションです。
誤った場合
大手病は危険な場合が多い!
大手病が誤った場合は、次のような企業を選ぶ場合です。
- 総合以外の化学メーカー
- 非鉄金属メーカー
- 電子部品メーカー
- 家電以外の電機メーカー
- 機械メーカー
- 食品メーカー
- 建設業界
総合以外の「化学」「非鉄金属」「電子部品」の各メーカーは、薄利多売の商売ではありません。 「高くても売れる高機能品」で勝負をする業界であり、売上高よりも利益率で評価しなくてはなりません。 利益はボーナスや賃上げ余力に直結しますから、売上高が低くても利益が多ければ給料が高いというわけです。
家電以外の「電機」「機械」の各メーカーも、提案営業による高付加価値で勝負をする業界です。 少数精鋭の社員で「高いけど御社以外に任せられない」と言わせる世界ですから、 同様に利益率で評価すべき業界です。
食品メーカーは、製薬業界と似て「次の定番商品を開発する」ことが勝負のカギです。 ですが、決定的に違うのは「勝手に売れる定番商品をすでに持っていること」が重要な点です。 医薬品と違って食品ブランドには「特許切れ」などありませんから、売上高よりブランド力のほうが重要なのです。
建設業界は「薄利多売」とは真逆のビジネスで、工事1件あたりで大きな利益を出すことが重要です。 逆に言えば、自社の規模で最大限の工事を受注していれば十分な利益が取れるのであり、 あまり規模と待遇が関係のない業界です。
MARCHじゃ大手は無理なの?
MARCHは学歴フィルターにかからない!
MARCHは大手に就職できます。大手企業はどこも「MARCH・関関同立」の採用実績があり、 「旧帝大しかない」のは日本銀行くらいです。総合商社でもソニーでもサントリーでも、MARCHは学歴フィルターに引っかかりません。
逆に言うと、旧帝・MARCHは「大手病でも大手に入れてしまう場合がある」からこそ問題です。 業界研究・企業研究が不十分でビジネスへの理解が浅くても、「学歴だけ」で入社してしまうと、その後が大変なのです。
これについて、次の項目で詳しく解説します。
末路
大手病の末路は、次のようなものです。
- どこにも内定がもらえない
- 入社後ミスマッチが起きる
- 「負け組」だと卑屈になる
- 他人の就職を貶し嫌われる
1つ目は筆者の私のことです。 恥ずかしながら就活当時は大手病にかかっており、「旧帝大だから大手に行かなくては」と売上高1兆円を目安に企業を選んでいました。 その結果、当初志望していた企業の選考にはすべて落ちたのです。メシウマしてください。
その後、まったく無名の「業界最大手」に就職するのですが、 ホワイト企業にも関わらず仕事が何も面白くなく、精神を病んで退職に至りました。 この原因は、「入社後ミスマッチ」にあります。
「業界最大手かどうか」を基準に会社を選んだ際に発生するのが「入社後ミスマッチ」です。 簡単に言えば「ビジネスを理解していなかった」ということです。 私が本当にやりたかったのは「薄利多売」ではなく「高く売って顧客にも上司にも褒められるような頭脳戦」だったことに、後から気づいたのです。
売上高の大きな会社は基本的に「薄利多売ビジネス」ですから、主な仕事はコスト削減です。 各社の中期経営計画を読むとわかりますが、だいたい「DX推進によるコスト削減」の話ばかり書いてあります。 それを面白いと思えるかどうかですね。私は苦痛で仕方がなかったです。
そして、「自分は負け組だ」と卑屈になります。 「就活でちゃんと『ビジネス』で評価して、利益の高い会社に行けばよかった」と後悔します。 なぜなら、賃上げやボーナスは「売上」ではなく「利益」から出るためです。
このように、大手病は人生を台無しにする可能性があります。 また、筆者の失敗経験について詳しくは「筆者の就活経験記|2013卒の大失敗!反面教師に使おう」の記事をご覧ください。
勝ち組になる方法
誰でも勝ち組になれる!大手病じゃなければ。
大手じゃなくていいなら、勝ち組になる方法があります。
旧帝卒で就活に大失敗した私ですが、その後ビジネスに目覚めて成長を遂げました。 この経験を活かして、どうすれば「勝ち組」になれるかを解説します。
「中小企業を探せ」と言うつもりは毛頭ありません。 学歴が低くても高待遇かつ入社後自慢できる上場企業に入社できます。
1.企業は利益率で評価しよう
利益率7%以上は、高待遇が期待できる!
まず、企業は利益率で評価しましょう。
利益率の調べ方は簡単です。「会社名 利益率」で検索すれば出てきます。 これが「7%」を上回っていれば平均以上、下回っていれば平均以下です。 利益はボーナスや賃上げ余力に直結します。利益さえ高ければ、高待遇はほぼ間違いありません。
この方法で利益率の高い会社を探したら、次のステップに移ります。
2.日経ビジネスで記事を検索しよう
日経ビジネスが褒める会社は、入社後自慢できる会社!
見つけた企業について、「日経ビジネス」のサイト内検索で、特集記事を検索してみましょう。
日経ビジネスは経営者・管理職なら誰もが読んでいる権威ある経済誌です。 この雑誌は「財閥系銀行」や「大手家電メーカー」すら「編集長インタビュー」のコーナーでコテンパンにした後で、 「敗軍の将、兵を語る」などという屈辱的なコーナーに出させるほど厳しい雑誌です。
この日経ビジネスには「お金を払って広告が載った」というだけで社内で騒ぎになるほどの権威性で、 特集記事が組まれた時には社内で回覧にまわされ、「読みました」とハンコを押させるほどです。 そして取引先からは必ず「載ってたね!」と話題にされます。
そんな雑誌に特集記事が組まれた会社は、入社後自慢できる会社となります。 学生相手には知名度がないかもしれません。ですが、その会社はビジネス界が認める優良企業です。 「SNSの名も知らぬ学生」と「日経ビジネス」、どちらを信じますか?
3.中期経営計画を読もう
仕事が面白そうかどうかがわかる!
仕事が面白そうかどうかは、中期経営計画を読めばだいたいわかります。 これは上場企業ならどこでも発表しているもので、検索すれば出てきます。 株主向けの資料なので読みやすく編集されています。
これを読むと、企業が今後何に力を入れていくかがわかります。 コスト削減なのか、新規事業なのか、既存事業のテコ入れを図るのか。 何を面白く感じるかは人それぞれですが、「儲かっている事業」や「社風」まで見えてきますので、志望動機の作成にも役立ちます。
「貴社の新規事業に積極的な社風に共感しました」という具合です。
4.就職四季報で採用倍率を調べよう
就職四季報で就職難易度がわかる!
「就職四季報」には、採用倍率を載せている企業も多数あります。 すべてではないため、「同業他社の倍率から推測する」ことも時に必要になりますが、 いわゆる「大手企業」はだいたい100~300倍になります。内定確率は1%未満で、ほぼ無理ですよね。
一方で上記の探し方をした企業は、おそらく10倍から40倍程度です。 採用大学には「名前も知らない大学」が載っているはずです。加えて「平均年収」も「残業時間」も載っています。
その企業は、儲かっていて、入社後自慢できることが確定しているのに、誰でも入れる会社です。
大手じゃない勝ち組企業の例
上記の方法で私が発見した「大手じゃない勝ち組企業」の例を紹介して、この記事を〆ようと思います。 大手病にかかったままだと、以下のような優良企業を見逃すことになります。もったいないですね。
「採用倍率」はすべて文系で、「倍率の低さ」でランキング付けしています。
- 1位 日本パーカライジング
- 2位 ナブテスコ
- 3位 ヒロセ電機
- 4位 浜松ホトニクス
- 5位 荏原製作所
- 6位 SMC
- 7位 エア・ウォーター
- 8位 東京応化工業
- 9位 ダイヘン
- 10位 DMG森精機
この他、「準大手ゼネコンは年収1000万円なのに採用倍率が10倍しかありません」と紹介しようと思ったら、 スーパーゼネコンすら鹿島建設以外は10~20倍でした。

著者:村田 泰基(むらた やすき)
合同会社レセンザ代表社員。大阪大学法学部卒。13卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。
その後ビジネスの面白さに目覚め、法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、12年間に渡り学生の就職活動を支援している。
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