【例文】なぜこの会社を選んだのか|ES全体で説得力を出す方法
新卒採用のエントリーシートや面接で「なぜこの会社を選んだのか」とよく問われますが、「理由がない」とお悩みではありませんか? 評価項目を正しくアピールし、志望動機に説得力を持たせる書き方を、例文つきで解説します。
目次
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「なぜこの会社を選んだのか」を効果的に伝えるには?
将来の夢と社風の一致をアピールしよう!
エントリーシートや面接で「なぜこの会社を選んだのか」を問われた際は、 「就職活動の軸(将来の夢)」と「企業の事業内容や社風」の一致をアピールするのが効果的です。 このためには「企業が採用選考で評価する項目」を適切にアピールした上で、エントリーシート全体で「志望動機の説得力」を出す必要があります。
なぜそう言えるのか、どうすれば説得力を出せるのかについて解説していきます。 そこでまずは、企業の評価項目を知るところから始めましょう。
「なぜこの会社を選んだのか」で評価されること
評価されるのは「人柄」「熱意」「今後の可能性」!
企業がエントリーシートの設問「なぜこの会社を選んだのか」で評価していることは、次の3点です。
- 1位:人柄:93.9%
- 2位:自社への熱意:76.5%
- 3位:今後の可能性:67.4%
企業は「人柄」「自社への熱意」「今後の可能性」を評価するために、 エントリーシートで「自己PR」「長所」「短所」「志望動機」を問います。
1.人柄
人柄を重視する理由は、自社になじめる人材かどうかを確認するためです。 「入社後ギャップ」や「職場の人間関係」になじめず、早期離職に至る新卒は多いです。 そのような事態を防止するためには、「自社の雰囲気」とかけ離れていない人物を採用する必要があります。
2.自社への熱意
自社への熱意を重視する理由は、事業の内容や目的を正しく理解した上で、その事業に携わりたいと考えているかを確認するためです。 新入社員の「3年以内離職率」は平均して30%に上りますが、その際転職を志す理由で最も多いのが「仕事内容」と「キャリアパス」です。 入社後に「想像していた仕事ではなかった」と会社を辞めてしまう事態が非常に多いというわけです。
3.今後の可能性
今後の可能性を重視する理由は、ビジネスパーソンとして企業の成長を導く社員になりそうかを確認するためです。 大卒総合職として就職する以上は、「従業員」ではなく「経営幹部候補」でなければなりません。 そこで企業は、あなたの将来性を確認したいというわけです。
これに関しては「総合職の役割」を理解しておく必要があります。 次の関連記事では「仕事内容」「そのキツさ」「求められる力」などを詳しく解説しています。
→事務系総合職とは?|仕事のキツさ・将来性・求められる力を解説!
評価項目をアピールするための対策
エントリーシート全体でアピールしよう!
「なぜこの会社を選んだのか」の評価項目をアピールするためには、この設問だけでなくエントリーシート全体で対策が必要です。 なぜなら「志望動機単体」では説得力が出せないからです。例えば次のような志望動機に対して、どう思うでしょうか。
- 「交通事故をなくしたい」という貴社の社風に憧れたため
- 貴社の事業で「面倒なことをなくす」という使命を果たしたい
- 貴社で「クルマの快適性」を追求したい
「それって本気なの?」と思ったのではないでしょうか。
一方で、もし「交通事故をなくしたい」人が学生時代に「子どもの通学を見守るボランティア活動」に参加していて、 交差点で事故を防止するために、「交差点で立ち止まるときのポーズ」を自分で考えて広めていたらどうでしょうか。 さらに「交通事故をなくすために役立つ長所」を述べていたら、その本気度が伝わりますよね。
このように、志望動機を書く前にES全体をストーリー化しておくことが重要です。 このやり方は次の関連記事で解説しています。
それでは、各評価項目を具体的にどうアピールすればよいか解説します。
1.「人柄」の対策
「人柄」は自己PRでアピールします。 上記例では「子どもの通学を見守るボランティア活動」としましたが、これだけでは人柄が見えてきません。 そこで、もっと具体的なエピソードを記述します。
例えば「子どもに人気のタレントを研究して、それを参考に新たにポーズをつくり、子どもたちに披露した」というエピソードがあれば、 「動画やテレビを見てポーズの練習をする姿」や「子どもにポーズを披露して喜ばれる姿」などが想像できますよね。 自己PRを効果的に志望動機につなげる方法は、次の記事で解説していますので参照してください。
2.「自社への熱意」の対策
「自社への熱意」で重要なのは「就職活動の軸と社風が一致していること」です。
例えば「交通事故をなくしたい」という「就職活動の軸」を持った学生が「交通安全に関わる企業」を志望する場合、 就職活動の軸と社風が一致していると言えます。その上で上記例のように「軸への本気度」を示していれば、 それがそのまま自社への熱意として伝わるのです。
ですから、企業研究では「その会社が何を目指しているのか」といった社風を確認しておき、 加えて自己分析によって就職活動の軸を用意しておくことが重要です。
3.「今後の可能性」の対策
「今後の可能性」で重要なのは「就職活動の軸を、事業によって果たしたいという想い」です。
志望動機では「企業を褒めること」に終始してしまう学生が散見されますが、重要なのは「自社で活躍する姿を想像させること」です。 そのために「就職活動の軸」を用意し、それへの本気度を示した上で、「事業を通じて実現したい」とアピールするのです。 こうすることで、今後の可能性を想像させやすいというわけです。
作成前にするべき準備のまとめ
これらを準備してから志望動機を書こう!
「なぜこの会社を選んだのか」の作成に入る前に、準備するべきことを以下の通りまとめました。
準備するべきこと
- 自己分析によって就職活動の軸をつくる
- 軸への本気度を示す自己PRを作成する
- 企業のパンフレットや公式サイトで経営理念を調べる
- 企業説明会やインターンシップを通じて、その社風を確認する
「就職活動の軸」から「志望動機」までの流れをつくって説得力を出せたとしても、それが企業の社風と一致していなければ、意味がありません。 ゆえに企業のパンフレット等で「経営理念」を調べ、企業説明会やインターンシップで「社風」の確認が必要です。 「実際には想像と異なる企業だった」という場合が非常に多いからです。
失敗例
- 鉄道業界を志望し「安全性や正確性」をアピールしたが、実際に事務系に求められているのは「旅客を増やす沿線開発やツアー企画」等だった
- 建設業界を志望し「道路や橋梁」でアピールしたが、実際は「マンション建築など民間工事」に力を入れている企業だった
- 電機メーカーを志望し「生活家電」でアピールしたが、実際は「法人向け工場設備」に方針転換した企業だった
このような事態を防止するために、企業のパンフレットや公式サイトを読み込む他に、 社員と接触できるイベントに行く際には次のような質問をして、「就職活動の軸と一致させられるかどうか」をチェックしましょう。
準備のためにしておきたい質問
- 御社はどのような理想を実現しようとしているのでしょうか?
- 貴方の働く上でのビジョンを教えて頂けますか?
- この仕事のやりがいはなんですか?
- 経営理念に「社会貢献」とありますが、具体的にどのような貢献を目指していますか?
また、自己分析が完了していない場合は、説得力が出せないため、まだ志望動機を書くべきではありません。 そこでアプリで簡単に自己分析ができる方法を紹介します。
就活の軸・ES作成の支援アプリを使おう!
就活の軸・ES作成には、「【キャリアチケットスカウト】 」という就活アプリ(完全無料)を使うのがおすすめです。
このアプリでは5つの質問に、回答を選択するだけで自己分析が完了し、アプリ起動から「3分」で就活の軸を持つことができます。 またESの定番である「自己PR」「他己分析」「自分史」などもテンプレートに穴埋めするだけで作成でき、 説得力あるESがスマホ1つでできるようになっています。
加えて、作成した「就活の軸」「自己PR」を企業の人事が見て、特別選考にスカウトされる機能もあります。 もちろん辞退してもいいのですが、スカウトが来れば説得力あるESができた証拠になりますよね。 すでに書類選考突破の状態ですから、そのまま選考を受ければ早期内定を確保することも可能でしょう。
「なぜこの会社を選んだのか」の例文3選
上記アピールポイントを踏まえた上で、「なぜこの会社を選んだのか」の例文を紹介します。
例文1
貴社の「交通事故をゼロにする」という社風と、私の「交通事故をなくしたい」という将来の夢が一致しているため、入社を志望します。
私は就職活動にあたって貴社webサイトを拝見し、安全を重視する経営理念や事業内容に共感しました。 それを現場で確認するため貴社インターンシップに参加し、多くの社員の方と話をする中で、 「交通事故をゼロにする」ことを全社共有の目的としていることを確認できました。
これまで述べてきた通り、私は「交通事故をなくす」という大きな目的に向かって、 創造力を働かせ、コミュニケーション力を活かし、バイタリティーを発揮してきました。 恥ずかしいことでも愚直に取り組む私の姿勢は、貴社の求める人物像と一致していると自負しています。
以上より、私は「交通事故をゼロにする」という目的に向かって、 それをカタチにしていく仕事がしたいと思い、貴社を志望するに至りました。
「例文1」では、就職活動の軸を「交通事故をなくしたい」と設定し、志望先は自動車メーカーのSUBARUを想定しています。
例文2
貴社の「社会文化の改善と向上を図る」という理念と、私の「面倒なことをなくしたい」という将来の夢が一致しているため、入社を志望します。
私は「面倒なことをなくしたい」という強い願望を持っています。私は料理も掃除もしませんし、 自動車の運転もしません。実は洗濯もしたくありませんし、家に鍵をかけるのすら面倒だと思っています。 しかしまだ、「面倒なことをなくす」には至っていません。
私は、貴社のビジネスで「面倒なことをなくしたい」という理想を実現できると考えています。 これまで人類は「楽をするため」にテクノロジーを進歩させ、社会生活の改善と向上を実現してきました。 私のこの願望は、貴社の経営理念およびビジョンと一致していると感じました。
「面倒くさがり」の私には、「面倒なことをなくす」という使命があり、 生活と仕事の両方において自動化、スマート化を行っている貴社に入社し、 このビジネスを進めていかなければならないと考え、貴社を志望するに至りました。
「例文2」では、就職活動の軸を「面倒なことをなくしたい」と設定し、志望先は家電メーカーのパナソニックを想定しています。
例文3
貴社の「移動の質を高める」という社風と、私の「自宅より快適な場所をつくりたい」という将来の夢が一致しているため、入社を志望します。
私は正直なところ、家から出たくありません。外に出ると疲れるからです。 人とぶつからないように気を遣い、電車では揺られて体力を消耗し、自動車は事故というストレスに常に悩まされます。 現在、消去法で自宅が最も快適なのです。
貴社の製品であるレクサスは快適性に強いこだわりがあり、「静粛性」や「疲れないシート」を知った時、 私は「自宅より快適な場所」をつくれる可能性を感じました。
就職活動という場でありながら「家から出たくない」と正直に言える私には、 「自宅より快適な場所」をつくる使命があると思っています。そこで貴社に入社し、 「快適性」を極め、消去法ではなく積極的に「選ばれる空間」を生み出したいと思い、志望するに至りました。
「例文3」では、就職活動の軸を「自宅より快適な場所をつくりたい」と設定し、志望先は自動車メーカーのトヨタ自動車を想定しています。
伝わる文章の書き方
「伝わる文章」でより効果的に!
いくら完璧な内容を用意できたとしても、それをうまく伝えられなければ意味がありません。 そこで「伝わる文章の書き方」として、次のポイントを守ってください。
- 結論を冒頭に記述する:「結論・理由・具体例・結論」の流れ(PREP法)を守る
- 簡潔にまとめる:読点(、)を多用する長い文章は避け、句点(。)で区切る
- 具体性を持たせる:あいまいな表現は避け、数字や具体的なエピソードを記述する
- 誤字脱字を見直す:誤字脱字や文法ミスがないようチェックしてから清書する
- 略語・専門用語を避ける:伝わらない可能性がある言葉は使用を避ける
- 文体を統一する:「ですます調」に統一し、「である調」を混在させない
- 記号や絵文字を使用しない:「!」「?」「(笑)」などは使用しない
特に重要なのが、「結論を冒頭に記述する」ことです。 新入社員が上司に叱られる理由で最も多いのが「結論から話せ」です。 「何の話かわからない」状況では、話が頭に入ってきません。それゆえ、この書き方を破るとそもそも読んでもらえない可能性があります。
参考:PREP法とは?【例文付き】で相手に伝わる文章の練習方法をわかりやすく解説|Chatwork
そして次に気を付けたいのが「専門用語を避ける」ことです。 エントリーシートでは「優秀さ」をついアピールしたくなってしまうものです。ですが、同様に「わからない言葉」が多いと話が頭に入ってきません。 「もし顧客にこんな風に小難しい話をしたら・・・」と想像されてしまい、不合格の原因になります。
また、一度作成した志望動機を一晩おいて、翌日読み直してから清書することも有効です。 文法ミス・誤字脱字・句読点などは文章を読みにくくする原因です。 いったん頭をリセットしてから読み直すと、新たなミスに気づけるかもしれません。
加えて、生成AIに志望動機のたたき台をつくってもらうという手段もあります。 もちろん、生成内容をそのまま使うと「不足する要素」「ES全体との脈絡が合わない」「生成AIの利用がバレる」などの問題がありますが、 「たたき台」としての利用なら不可能ではありません。
書いてはいけないNG例
必ず「ビジネスの話」をしよう!
次のNG例のようなものは、会社を選んだ理由に使ってはいけません。
使用してはいけないNG例
- 製品が好きだから
- 知名度が高いから
- 年収が高いから
- 年間休日が多いから
- 残業時間が少ないから
- 転勤がないから
「製品が好き」と述べてしまう方は非常に多いですが、これでは「単なるファン」に過ぎません。 大卒総合職として就職する以上は「事業内容」に触れる必要があり、その先にある「理想」、つまり「会社の将来の夢」に言及する必要があるのです。 これについて詳しくは、次の関連記事で解説しています。
また「知名度」「待遇」「勤務地」なども「事業内容」にも「社風」にも触れていませんから、不適切です。 内心ではこのような理由で会社を選ぶこともあるかと思いますが、 エントリーシートや面接で問われているのは「ビジネスの話」です。
自己添削を繰り返そう
本番で圧迫されないために、自分でやっておこう!
志望動機の完成度が低いと、面接では「なぜ?」「どうして?」と問われることになります。 圧迫面接のように感じてしまい、頭が真っ白になりそうですよね。 ですが、自分で先にやっておけば安心です。
例えば「なんでその夢をもったの?」「なんでうちで実現できると思ったの?」「うちじゃなくてもいいんじゃない?」 という風に、自問自答を繰り返します。 実際の面接を想定すれば、書いたESに「足りない部分」が見えてくるはずです。
実際にどんな厳しい質問が想定されるか、どうやって志望動機を添削すればいいかについては、次の記事で解説していますので参照してください。
志望企業の内定者はどう書いた?合格ESをもらおう
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早期選考にまだ間に合う!
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→「ジョブトラ」に参加する
志望企業の内定者はどう書いた?内定エントリーシートを見よう!(その1)
模範解答があれば憂いなし!
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もしこのまま提出して、果たして大丈夫でしょうか。
そこで先輩が実際に内定をとったエントリーシートを使いましょう。 それと比較して何が足りないのか、どう書けばいいのかがわかれば、自ずと完成度が高まっていきます。
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著者:村田 泰基(むらた やすき)
合同会社レセンザ代表社員。1989年生まれ。大阪大学法学部卒。2013卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。
その後ビジネスの面白さに目覚め、2019年に法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、11年間に渡り学生の就職活動を支援している。
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