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【就活】自動車メーカーは本当にトヨタ一択なのか?

 自動車業界へ就活をしようとすると、「トヨタ自動車」がまず第一に思い浮かぶと思います。 人によっては「トヨタ以外ありえない!」とまで言うかもしれません。 しかし、果たして本当に自動車業界の就活はトヨタ一択なのでしょうか 

 

自動車業界は「走る喜び」から「安全」へ

 高度経済成長期からバブル経済、失われた20年と一貫して自動車業界が主張してきたのが、 「走る喜び」でした。初めて乗るクルマはカローラで、ゆくゆくはスポーツカーなどに乗り換え、 「いつかはクラウン」と夢見ていた時代がありました。

 しかし、その風潮は近年大きく変わりつつあります。それは、自動運転の台頭です。

 従来、自動車メーカーは「走る喜び」を優先し、「安全」を軽視してきました。 というのも、自動車業界には「安全は儲からない」という常識があったためです。 高速道路でバンバン飛ばしてみたり、峠を越えてみたりと、スリルやスピード感を楽しむのがクルマの本質と捉え、 「安全」を無視してきたところがあります。

 ところが交通事故への意識が高まると同時に、パソコンやスマホといったエンターテイメントの多様化もあり、 逆に「走る喜び」では消費者が動かなくなってきました。 これが2000年代から流行り始めた「若者のクルマ離れ」に象徴されていますね。

 つまりは「他に遊びはいくらでもあるのに、わざわざ高いお金を払って一瞬で人生を台無しにしてしまう可能性のあるクルマになんて乗る意味ないよね」 というわけです。

 一方で業績が好調な企業があります。それはスバルです。

 スバルは昔から安全意識が高く、1965年から衝突実験(法律で義務化されたのは1994年)を行っており、 1989年には車載用ステレオカメラを開発するなど、すでに現在のアイサイトの研究をはじめていたのです。 株価はリーマンショックから現在までに20倍近く上昇しており、イマをときめく自動車メーカーの代表格です。

 ほかにもメルセデスベンツや、近年復活をとげた日産自動車なども安全機能に重点を置いています。 スマホの操作でラジコンのように駐車できる機能や、高速道路で白線をはみ出さない機能などは人気です。

 いくら若者がクルマから離れたとはいえ、地方では通勤にクルマが必須です。 都市部でも「ぶつからないのなら」とクルマに乗る人が増えたって不思議ではありません。 今後は「ぶつからないクルマ」の時代が来ることは明白です。

 

電気自動車の恐怖

 電気自動車の流行は、既存の自動車メーカーにとっては恐怖です。 というのも、電気自動車はガソリン車に比べて部品点数が10分の1で済むためです。

 部品が減るということは、自動車を製造するのにかかる工員の数が少なく済みます。 それに伴い、自動車の価格も下がります。 自動車を必要とする人が10倍にでもならない限り、今の巨大な会社を維持することができなくなるのです。

 既存の自動車メーカーで電気自動車に力を入れているのは日産自動車くらいなものでしょうか。 あとはハイブリッド(HV)やプラグインハイブリッド(PHV)など、ガソリンの使用を前提としたメーカーばかりです。

 特にトヨタ自動車は世界最大の販売数を誇っており、それだけ会社の規模も大きく、 電気自動車が流行ると特に困る会社です。このような会社が電気自動車に力を入れないのは、 こういった事情があるためです。

 一方でテスラモーターズやグーグルなど新興の自動車メーカーは、 ガソリン車用の会社規模になっていませんので、どんどん電気自動車に力を入れることができます。

 中国では電気自動車とPHVにしか補助金を出さないなどの施策も始めており、 交通渋滞の激しい東南アジアなどでもガソリン車を排除することは容易に予測できます。 そんな中、既存の自動車メーカーはどう戦っていくかは重大な課題です。

 

自動運転と電気自動車

 自動運転と電気自動車はセットで開発されています。テスラモーターズやグーグルは自動運転と、 電気自動車を同時に開発していますし、日産のリーフにも自動運転の機能がついています。

 ガソリン車メーカーは今後、「自動運転+電気自動車」に対抗していかなければなりません。 しかし、世界的な環境意識の高まりもあり、あの大気汚染大国の中国ですら規制を強化する時代、 ガソリン車というだけで不利な点は否めません。

 今後の自動車業界はエコ安全がキーワードになってくるでしょう。

 とはいえ、電気自動車ならエコでクリーンなのかというと、結局のところバッテリーに充電するための電気は、 原子力発電所や火力発電所で発電されており、もとをたどればぜんぜんエコではありません。

 その点、トヨタ自動車の推進しているHV、PHVや水素自動車などは、自動車が走るエネルギーをつかって発電したり、 排気ガスの代わりに水しか排出しないなど、そもそも発電所に頼らない仕組みであり、 よくよく考えてみればよっぽどエコなわけです。

 この電気自動車ブームの中、どれだけトヨタが究極のエコを広めていけるかによりますが、 完全に電気自動車に主導権を握られてしまうというのは、本来ならありえないことです。

 とはいえ、テスラモーターズやグーグルの自動運転機能が人気を博し、 それが電気自動車にしか搭載されないのであれば、世界はいっきに電気自動車にシフトすることになり、 いくらトヨタ車がエコでも「グーグルが搭載されてないクルマはいらない」とまで言われてしまうかもしれません。

 

自動車のソフトとハードの分離

 お気づきの方も多いかと思いますが、自動運転はハードではなくソフトです。 トヨタ車(アレクサ)にアマゾンのAIが搭載されるという報道がありました(ブルームバーグ記事)。 トヨタのつくるクルマ(ハード)に、アマゾンのAI(ソフト)が搭載されるのです。

 ソフトはどのメーカーのクルマにでも載せられるものです。従来エンジンや電装の制御を専門としていたソフトは、 「制御」の枠を超えてインターフェース、果ては自動運転機能まで有するようになりました。 そしてそのソフトが得意なのはトヨタではなく、グーグルやアマゾンだったのです。

 グーグルやアマゾンなどのソフトメーカーが自動運転ソフトをつくり、 それを自動車メーカーのクルマに搭載するという時代がきているのです。 これも実は、自動車業界にとっては由々しき事態です。

 グーグルやアマゾンはたくさんの情報を集めて収益化する企業ですから、グーグルやアマゾンの自動運転ソフトは他社メーカーのクルマにも搭載されるでしょう。 このように、自動車業界は従来の自動車メーカーと、自動運転ソフトメーカーの2つが並ぶようになります。

 さて、そのとき消費者はどうやってクルマを選ぶでしょうか。

 スマホを思い出してみてください。スマホを選ぶとき、「iPhoneかアンドロイドか」で悩むと思います。 アンドロイドの搭載されたスマホはいくらでもありますが、「アップルか、富士通か、ソニーか、シャープか」 という悩みではないことに注目してください。

 もはやスマホ本体(ハード)ではなくOS(ソフト)でスマホを選んでいるのです。

 これと同じことが自動車業界でも起こると考えられます。

 つまり、「トヨタか、ホンダか」で選んでいたのが、「グーグル搭載車か、アマゾン搭載車か」という選び方に変わるのです。

 スマホに求めるものがスマホ本体の性能より、ゲームやSNS、カメラなどの「アプリ」であるのと同様に、 クルマに求められるものが「安全」である今、クルマ本体(ハード)よりも自動運転機能(ソフト)が重視されているのは明白です。

 今後の自動車で最も重要な部分をソフトメーカーに取られてしまうと、 既存の自動車メーカーは現在すでにあまり重視されなくなってきている「走り性能」でしか差をつけられなくなります。 こうなると、自動車業界の代表はグーグルなどソフトメーカーに取って代わられます

 

将来性が高いのは「自動運転ソフト」をつくれる会社

 以上より、ハードとしてのクルマではなく、自動運転ソフトでクルマが選ばれる時代になります。 するとそこでは、「走る喜び」しかサポートしない「クルマ本体」ではなく、 「安全」をサポートする「自動運転ソフト」が重視されるようになるのです。

 そのとき主役になれる企業こそが、将来性の高い会社だと言えます。

 自動運転ソフトをつくれる会社といえば、まずはテスラモーターズやグーグルがありますね。 特にグーグルはアンドロイドやグーグル検索、Google Chrome、Gmail、Google Homeなど様々なサービスを通じて普段から情報収集をしており、 自動運転ソフトをつくるための情報収集技術ではバツグンですから、とても強力です。

 完全自動運転となれば、Googleマップをもつグーグルは非常に有利で、 スマホのアンドロイドのように、自動車業界でもグーグルが覇権をとる可能性が非常に高いです。

 日本勢ではスバルを筆頭に、日産ホンダも安全技術を高めてきています。 その中でもスバルは前身である「中島飛行機」以来、100年の歳月を「安全」にかけてきた会社ですから、 とても将来性が高いと思われます。

 デンソーもAI技術を研究していますし、パナソニックもバッテリーの制御が得意ですから、 自動運転への参入、しいては電気自動車への参入もありえます。 トヨタ車へのAI搭載を機にアマゾンも自動運転の開発をするかもしれません。

 

自動車業界への就活は、どんな未来を実現したいかで決めよう

 私は自動運転ソフトでは、グーグルが最も強く、日本ではスバルが唯一対抗できる会社だと思っています。

 トヨタは数々のインタビュー記事でソフトではなくハードへのこだわりを強く感じます。 もちろん「走る喜び」が完全に忘れ去られるわけではありませんので、そういう会社があるのはよいと思いますが、 電気自動車化で予想される部品点数の激減・低価格化に対して、どう対応していくかが問題になると思います。

 また、自動運転ソフトメーカーにマウントを取られてしまうのも心配ですね。 ソフトでクルマを選ぶ時代になると、どのソフトメーカーにソフトを提供してもらえるかという競争になってしまいます。 「グーグルに見放された」「スバルに見放された」とシェアを減らしてしまう可能性だってあるわけです。

 「走る喜び」を追及する会社としてはトヨタやホンダがありますが、「安全」を追及する会社はグーグルやスバルなどです。 さて、自動車業界への就職を希望する就活生は、どんな社会を実現したいでしょうか。

 ハード面で「走る喜び」を追求するか、ソフト面で「安全」を追及するか。 これが自動車メーカー選びの重要な指針です。

 自動車メーカー自動車部品メーカーの各記事でも、 業界研究を公開していますのであわせて参照してください。