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【就活】半導体業界はやめとけ?オワコンどころか超勝ち組な理由

半導体業界|業界研究

 「半導体業界はやめとけ」なんてもったいない!オワコンどころか世界を独占する優良企業の宝庫で、ここで紹介する企業に就職すれば「勝ち組」です。 半導体がなぜ儲かるのか、その就職難易度などを解説します。

半導体業界はこんな業界!

  1. ICチップの材料製造装置をつくる業界
  2. 替えが利かない独占商品がたくさんある
  3. 高収益で好待遇!ボーナス300万円も可能!
  4. 需要が伸び続けてコロナ禍でも絶好調
  5. ライバルが少なく就職難易度が低い


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半導体業界はやめとけと言われる理由

 半導体業界はやめとけと言われる理由は次の3つです。

  1. 日本企業が海外勢に負けているから
  2. 不安定な業界なので待遇が悪化しやすい
  3. 儲からないので将来性がなくオワコン
 

最終製品はその通り

 最終製品は確かにオワコン!

 半導体の最終製品は、「やめとけ」「オワコン」その通りです。 パソコン・スマートフォン・ICチップ・CPU・メモリなどは、平成の30年間の間に海外企業に持っていかれ、 待遇が悪化どころか事業売却・合併を繰り返した末に市場から退場していきました。

 調子が良いのはキオクシア(フラッシュメモリー)とソニー(イメージセンサ)くらいで、 後は儲かっていないので話題にも出てきません。というより、撤退しているのでニュースになりません。 海外企業のインテルやサムスン、TSMCの名前ばかり聞くことでしょう。

 実際、ビジネスニュースでも「日の丸半導体の凋落」はよく話題になり、 「大型コンピュータからパソコンの時代になって過剰品質で売れなくなった」とされています。

参照:「日の丸半導体」が凋落したこれだけの根本原因|東洋経済オンライン

 

材料・製造装置はまったくの逆

 材料・製造装置は日本企業が世界の生命線を握っている!

 一方の材料や製造装置はまったくの逆で、日本企業なしにはあらゆる電子機器が成立しません。 例えば以下の商品は、名前も聞いたことがないと思います。ですが実は、もし日本が輸出を禁止したら、その国が滅ぶレベルの影響力を持っています。

シリコンウエハー日本企業2社で世界シェア60%
不良品率に直結するため外国企業に乗り換え不可。
シリコンウエハー加工機械日米で世界を分割。切削・研磨・洗浄は日本企業が首位。
不良品率に直結するため以下同様。
フォトレジスト日本企業5社しか作っていない。
買えないと回路を印刷できなくなり、一切のIT機器が製造不可。
UVランプ日本企業1社が世界を独占。
フォトレジストに紫外線を照射する装置で、以下同様。

 学生の感覚だと「材料」や「製造装置」というと「なんだ、中国・韓国の下請けか」と思ってしまいますよね。 ですが実は、BtoBビジネスの世界では替えが利かない会社が強いです。 実際にこれらは輸出管理の話題に上がり、買えなくなることを恐れた中国や韓国が大騒ぎした商品群です。「下請け」どころか「国家レベル」の影響力です。

参照:日本の半導体製造装置メーカーが健闘できている理由とは|ダイヤモンドオンライン

参照:信越化学、フジミインコ、メック…半導体の「素材」で世界シェア上位に君臨する最強技術企業|ダイヤモンドオンライン

 

材料・製造装置は常に儲かる仕組みになっている

 「パソコン用」が売れなくなったら「スマホ用」を売ればいい!

 半導体業界には確かに「シリコンサイクル」と呼ばれる「買い替え需要」による景気の波があります。 ですがやはり、それは最終製品の話であって、材料・製造装置はあまり大きな影響を受けません。

 例えば、パソコンの買い替え需要がひと段落した時、CPUやメモリは売れなくなるでしょう。最終製品メーカーは大変ですね。 ですがスマホ・自動車・インフラなど半導体を必要とする製品はいくらでもあります。 そう、材料・製造装置は「パソコン用」が売れなくなったら「スマホ用」を売ればいいのです。

 このように「不安定な最終製品」に対して、「材料・製造装置」は常に儲かる仕組みになっているのです。

 

半導体業界はホワイト企業の宝庫!

 半導体業界は、ホワイト企業だらけ!

 「半導体業界がブラックで激務」というのは、最終製品をつくっていた昭和の電電ファミリーの話です。 令和現在の半導体業界は、ホワイト企業の宝庫です。 半導体業界は主に「化学」「機械」「電機」の3つの業界にまたがっていますので、それぞれの目安を紹介します。

平均年収年間休日残業時間(月)
化学メーカー800~900万円120~127日0~10時間
機械メーカー800~1100万円120~126日10~30時間
電機メーカー800~1300万円120~129日10~30時間

 半導体業界は、儲かっている分の社員への還元が手厚く、平均年収がそもそも高い上に年間休日も多く残業がほぼない会社すらあるというホワイトっぷりです。 年休は120日で「土日祝・正月・盆休み」があるという水準ですが、アドバンテスト(129日)、JSR(127日)、 東京エレクトロン(126日)、ディスコ(126日)などはそれを大幅に上回っています。

 また年収に関しては、以下のニュース記事のように、メーカーにしては考えられないほどの高額ボーナスが支払われています。

参照:賞与300万円も…東京エレクトロン、時価総額3位の秘密、利益を社員に還元|ビジネスジャーナル

参照:夏季ボーナス366万円「ディスコ」は何の会社? 半導体関連商品で世界的なシェア

 

半導体業界がオワコンだと言われる真相

 オワコンの最終製品絶好調の材料・製造装置を混同してはいけない!

 半導体業界がオワコンだと言われる真相は、マスコミはビジネスニュースが苦手だということです。 要は「オワコンの最終製品」と「絶好調の材料・製造装置」を混同したまま報道してしまっているわけです。

 確かに「最終製品」に限っては、日本企業はオワコンです。というより、とっくに終わって撤退しています。 マスコミがいつまでも昭和の「電電ファミリー」の栄光を引きずって報道するため、半導体業界全体がダメかのような印象を与えています。

 上述のような極端な影響力を持った材料・製造装置以外にも、 「国が滅ぶ」ほどではないにせよ世界シェア首位級の会社が日本にたくさんあり、 また「替えが利かない=高くても売れる」ですから、大企業平均を大幅に上回る利益を出しているのが、この業界です。

 半導体業界はまったく終わってなどいません

 

おすすめ半導体企業一覧

 名前を知らない会社ほど穴場

 儲かっていて給料も高い。そんな就活おすすめの、優良半導体企業を一覧にして紹介します。

おすすめ半導体企業の一覧
会社名売上高平均年収特徴・主力製品
信越化学工業2.5兆円886万円シリコンウエハー世界首位
SUMCO4259億円841万円三菱・住友系
シリコンウエハー世界2位
東京エレクトロン2.4兆円1394万円半導体製造装置
荏原製作所8666億円908万円半導体製造装置
ディスコ3933億円1716万円半導体製造装置(研削・研磨)
浜松ホトニクス2039億円772万円半導体製造装置(レーザー切断)
SCREENホールディングス6252億円1017万円半導体製造装置(洗浄)
アルバック1830億円731万円半導体製造装置
太陽ホールディングス973億円829万円ソルダーレジスト
日本化薬2225億円749万円半導体封止用エポキシ樹脂
ウシオ電機1776億円767万円UVランプ世界首位
JSR4046億円829万円フォトレジスト首位
東京応化工業2009億円994万円半導体用フォトレジスト世界首位級
日産化学2513億円1010万円フォトレジスト用コーティング剤
アドバンテスト7797億円1005万円検査装置世界首位級

 「半導体産業は儲からない」と思っていませんか?「半導体業界はやめとけ」とまで言う人もいるようです。 上でも解説しましたが、実はまったく逆で、日本企業が世界を独占している分野です。

 現業職を多く抱えるメーカーでは「平均年収」が低く算出されます。 それなのに、上記の半導体産業関連企業では高い平均年収を実現しており、儲かっていると言うほかありません。

 

半導体産業とは?

 ICチップに必要なすべての会社!

 半導体産業とは、ICチップとそれに関わる材料製造装置をつくる企業群をまとめた言葉です。

 ニュースなどでは「テレビ・パソコン・スマホ」だけが半導体産業かのように取り扱っていますが、 この業界で大きな役割を果たしているのは「材料」「製造装置」であり、 日本企業が世界を独占する商品が非常に多い産業です。

 ここでは主に「工場機械」「電子部品」を製造するメーカーを中心に紹介しますが、 この産業自体を支える通信業界も併せてみておくのがおすすめです。

情報通信5社(携帯・NTT)の強みと比較!|志望動機や平均年収

 

そもそも半導体とは何か?

 金属ケイ素のこと!

 そもそも半導体とは、原則として電気を通しませんが、不純物を載せると電気を通す物質を意味します。

 ITの世界で使われる半導体は「金属ケイ素」を指して言います。 金属ケイ素は電気を通さない絶縁体ですが、不純物をあえて載せることで、 その部分だけ電気が通る=原子・分子レベルで通したい部分にだけ電気が通るという便利な素材なのです。

 この金属ケイ素を加工したものが「ICチップ」「メモリ」「CPU」などで、 あらゆる家電・自動車・パソコン・スマートフォンなどは金属ケイ素のおかげで複雑な計算ができるのです。 しかし、マスコミはすべて混同して「半導体」と呼ぶので区別する必要があります。

 この記事ではわかりやすく、「半導体(概念)」「金属ケイ素(素材)」「ICチップ(電子部品)」と区別して表記します。

シリコンウエハーとインゴッド
(画像:信越化学工業
左の金属ケイ素のインゴッドから右のシリコンウエハーをつくります。

→参考:半導体とは:日立ハイテクノロジーズ

 

半導体って何がすごいの?

 壊れない超小型

 半導体のすごいところは、半永久的に使える耐久性集積回路の超小型化が可能なところです。

 半導体が登場する以前は、真空管を使用していました。 真空管とは昔の電球のように、フィラメントを発熱させて電気の流れをつくるもので、 それで「電気信号のオン・オフ」を切り替えていました。しかしその仕組み上、小型化に限界がありました。

 真空管の代わりに半導体でつくった「トランジスタ」がアメリカで発明され、 ソニー創業者の盛田氏が即座に研究所に駆け付け、実用化しました。それが「トランジスタラジオ」です。

 真空管ラジオは非常に重いものでしたが、真空管をトランジスタに置き換えることで「持ち運び」が可能なほどラジオが小型になり、 その便利さから真空管ラジオを20年もかからず駆逐してしまいました。 このインパクトはものすごく、今でも世界中で「日本発のイノベーション」として語り継がれるほどです。

 また、コンピュータも真空管では小型化ができず、1台でオフィスのフロアすべてを埋め尽くすほどでした。 しかし、トランジスタの登場で集積回路(CPU)の小型化が可能になり、 今のサイズにまで小さくなった上に超高性能化したのです。

 もし半導体がなければ、トランジスタがつくれませんので、 あなたの持っているスマートフォンはビル1棟くらいのサイズになっていたでしょう。

 

半導体産業は何をする業界なの?

 ここからは、半導体産業がどのような流れでICチップを製造するのか解説していきます。

 自動車が「鉄」からつくられるように、半導体製品は「金属ケイ素」からつくられます。 この金属ケイ素を加工する過程で化学メーカー機械メーカーが関わり、 最終製品メーカーがICチップを製造し、機械に組み込みます。

 以下で、この流れを詳しく見ていきましょう。

 

金属ケイ素を輸入する

 ケイ素はその辺の石ころにも含まれるごくありふれた元素ですが、 自然界では石ころのように「化合物」の状態で存在しています。 半導体として利用するには純粋な金属ケイ素にする必要があります。

 ボーキサイトからアルミニウムを製造するのと同様に、金属ケイ素の製造には膨大な電力を必要としますので、 金属ケイ素は電力の安い国でつくるのが原則です。

 この金属ケイ素を輸入するところから、日本の半導体産業が始まります。

 

多結晶シリコンを製造する(化学メーカー)

 金属ケイ素を超高純度化!

 輸入した金属ケイ素はすでに純度98~99%ですが、半導体産業ではこれを低純度と言います。 半導体産業では「あえて」不純物を載せて電気が通るようにするのですが、勝手に混ざっている不純物は余計なところに電気を通してしまい、不良品になります。

 そのため、化学メーカーは化学反応を利用して、金属ケイ素を超高純度化するという工程を担います。 その純度は「99.999999999%(イレブンナイン)」と呼ばれ、日本企業ではトクヤマが有名です。

勝ち組【トクヤマへの就職】難易度・採用大学など選考対策!

 

シリコンウエハーを製造する

 多結晶シリコンをシリコンウエハーに!

 次に「多結晶シリコン」を加工して「シリコンウエハー」をつくります。

 シリコンウエハーとは、多結晶シリコンを厚さ1mm程度に薄く切って重ねた状態をいうのですが、 見た目がお菓子のウエハースっぽいためにそのような名前がつきました(本当です)。

 この製造工程では「多結晶シリコン」を溶かして棒状のインゴッドを形成し、それを「薄く切って磨く」という作業をします。

 しかし実は、この「薄く切る」ことが、「ノコギリで切ってやすりをかける」のとは桁違いに高度な技術力を要します。 なぜなら原子・分子レベルの凸凹が不良品の原因になるからです。

 ICチップはシリコンウエハーの上に極小のトランジスタを10億個以上も載せます。 すると、原子・分子レベルで表面を平らにしておかなければなりません。 そこで切削研磨に特別な機械が必要になります。

 そんな切削研磨装置で世界首位を取っているのが日本のディスコという機械メーカーで、 それを利用してシリコンウエハーをつくっているのが信越化学工業SUMCOという化学メーカーです。

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参照:シリコン・シリコンウエハー業界 市場規模・動向や企業情報|日本経済新聞

 

ICチップを製造する

 分子レベルの精度で回路を印刷する!

 そして、「シリコンウエハー」を「ICチップ」に加工します。 その工程は非常に複雑で精密ですが、代表的な工程を紹介します。

 これらを簡単にまとめると、シリコンウエハーに回路を印刷する工程です。 ですが、同様に原子・分子レベルの作業ですので「インクで描く」のとは桁違いに高度な技術力が必要です。 そこで工程を細分化して、それぞれで専用の機械を必要とします。

 この分野は日米で世界を分割しており、主にアプライドマテリアルズ(米国)と、東京エレクトロンが互いに独占しあっている状況です。 ただし、工程が非常に細かく分かれているため、この2社以外にも多数の会社が独占商品をそれぞれ持っています。

半導体製造装置のメーカー一覧
会社名売上高平均年収備考
東京エレクトロン2.4兆円1394万円半導体製造装置
荏原製作所8666億円908万円CMP装置
ディスコ3933億円1716万円切削研磨装置
浜松ホトニクス2039億円772万円レーザー切断装置
SCREENホールディングス6252億円1017万円洗浄装置
アルバック2611億円751万円スパッタリング装置
アドバンテスト7797億円1005万円検査・測定装置
レーザーテック2135億円1638万円検査・測定装置
 

フォトリソグラフィの詳細

 日本企業が独占!超精密な回路印刷技術!

 フォトリソグラフィとは、簡単に言うと回路を印刷する工程を指します。実は、この工程は日本企業抜きにはできません

 具体的には、「フォトレジスト」という化学物質を全体に塗り、「UVランプ」で紫外線を当てて回路を描きます。 紫外線を当てた部分が固まるので、固まらなかった部分を取り除いてトランジスタを吹きつけることで回路が出来上がります。

 実は、この「フォトレジストの純度」と「UVランプの精密性」が「いかに細かく回路をつくれるか」にかかっています。 この「回路の転写」で「電子機器の性能が決まる」というわけです。もちろんこれも日本企業の独壇場です。

 フォトレジストの製造では、JSR・東京応化工業・信越化学工業・住友化学・富士フイルムの日本企業5社で世界を独占しており、 UVランプはウシオ電機が1社で世界を独占しています。加えてフォトレジストの光の乱反射を防ぐ「コーティング剤」も、日産化学と東京応化工業の2社です。

 ちなみに、もし日本がフォトレジストを禁輸すると世界の文明が50年は後退すると言われており、 日本政府が「フォトレジスト」の名を口にするだけで海外政府が禁輸を恐れて大騒ぎします。

参照:半導体の製造に欠かせない「フォトレジスト」とは|富士フイルム

回路転写関連の企業
会社名売上高平均年収備考
ウシオ電機1776億円767万円UVランプ世界首位
JSR4046億円829万円フォトレジスト首位
東京応化工業2009億円994万円フォトレジスト2位
住友化学2兆6062億円982万円フォトレジスト4位
富士フイルム3兆1958億円974万円フォトレジスト5位
日産化学2513億円1010万円フォトレジスト用コーティング剤
 

ICチップの洗浄(化学メーカー)

 原子・分子レベルで不純物を溶かしつくす!

 上述の通り、ICチップの製造は一切の不純物が許されず、「蒸発した汗」すら不良品の原因になります。

 そこで、製造工程の随所に「洗浄」という工程が繰り返し組み込まれています。 これも単に「水をかけて流す」のとはわけが違い、超強力な酸一切の不純物を溶かしつくすという作業を行います。 ここで使われるのが「フッ化水素」です。

 このフッ化水素は触っただけで死ぬという強烈な酸ですが、他の酸では溶かせないような金属すら溶かすという性質があります。 なんとも都合のいいことに金属ケイ素は溶かさないので、半導体製造の工程で必須になってくるのです。

 フッ化水素自体はいろんな化学メーカーがつくれるのですが、しつこいほど申し上げているように、ICチップは原子・分子レベルの不純物すら許されません。 超高純度のフッ化水素でないと、ICチップに不純物が残ってしまうのです。

 またしてもこれを得意としているのは日本の化学メーカーで、というより、日本の化学メーカー以外は製造していません。 ちなみに、この洗浄に使う機械ではSCREENホールディングスが有名です。

勝ち組【SCREENの就職】難易度・倍率・強みなど選考対策

 ちなみに、半導体製造は可能な限り不純物を減らすために、「クリーンルーム」という特別仕様の工場で行われます。 クリーンルームは「アルミパネル」を使ってサブコンが作るのですが、近年の半導体・データセンター需要で盛り上がりを見せている一方、就職人気の低い穴場です。

クリーンルームに関する企業一覧
会社名売上高平均年収備考
日本軽金属5501億円725万円アルミパネル
高砂熱学工業3816億円1028万円クリーンルーム
新菱冷熱工業3084億円1007万円クリーンルーム
大気社2762億円1068万円クリーンルーム
三機工業2531億円967万円クリーンルーム
 

ICチップを覆う(化学メーカー)

 一切の不純物を許さない封止材!

 ここまでICチップをきれいにしましたが、あとからホコリがついたり原子・分子が飛んできたりしたら台無しです。 ICチップ自体にも異物が付着しないように保護しなければなりません。

 基盤上でむき出しになっているICチップを覆って保護するのが、半導体封止材です。 またしても日本の化学メーカーが得意とする分野で、有名なのは日本化薬という企業です。

半導体封止材用エポキシ樹脂
(画像:日本化薬

 日本化薬は半導体封止材用エポキシ樹脂世界シェア40%を取る企業で、 あらゆる電気製品の基盤には画像のような「黒いもの」が乗っているのですが、 これが半導体封止材です。その材料をつくっているのが日本化薬なのです。

半導体封止材のメーカー一覧
会社名売上高平均年収備考
日本化薬2225億円749万円半導体封止用エポキシ樹脂
DIC7800億円778万円印刷用インキ
 

最終製品の組み立て(電機メーカー等)

 ここから先は多く語る必要はありませんね。 その他必要な電子部品とともに、最終製品メーカーが製品として組み立てます。

 日本電産、村田製作所、TDK、ルネサスエレクトロニクスなど電子部品メーカーが部品をつくり、 それをサムスン、LG、アップル、ソニー、パナソニックといった最終製品メーカーが組み立てます。

 こうして出来上がるのが家電であり、工場の機械であり、自動車であり、パソコン・スマートフォンなのです。 あらゆる電気製品や自動車にICチップが組み込まれており、果てはSuicaやクレジットカードにすら使われています。

 半導体は間違いなく現代の超巨大産業なのですが、 その製造工程で日本企業のシェアが非常に高いことがお分かりいただけたと思います。

 以下はそんな電子部品をつくり、最終製品メーカーに納めている企業の一覧です。

電子部品メーカーの一覧
会社名売上高平均年収備考
村田製作所1兆6300億円771万円コンデンサ・SAWフィルタ世界首位
日本電産1兆6100億円588万円モーター世界首位
TDK1兆1000億円804万円磁気ヘッド・コンデンサ
ミネベアミツミ9880億円714万円極小ベアリング世界首位
アルプスアルパイン7180億円664万円車載・スマホ部品
ルネサスエレクトロニクス4700億円761万円車載用マイコン世界首位
横河電機3900億円976万円
スタンレー電気3800億円638万円
GSユアサコーポレーション3500億円766万円
ローム3500億円691万円カスタムLSI
ミツバ3200億円567万円
イビデン2600億円625万円電子基板・排ガス浄化部品
太陽誘電2300億円691万円コンデンサ
サンケン電気1500億円622万円電源・照明
ユーシン1500億円581万円自動車部品
ホシデン1500億円638万円コネクタ・スイッチ
浜松ホトニクス1400億円697万円
マブチモーター1400億円731万円
ヒロセ電機1300億円773万円コネクタ
新光電気工業1300億円703万円
ウシオ電機1180億円700万円産業用ランプで世界No.1
日本ケミコン1100億円616万円アルミ系部品
市光工業1100億円527万円自動車部品
ニチコン1000億円533万円アルミ系部品
メイコー950億円557万円
新電元工業920億円748万円半導体・電源
 

なぜ日本の半導体産業は強いのか

 このように主に日本の化学メーカー機械メーカー、そして電子部品メーカーは半導体産業に強い特徴があります。 最終製品メーカーのうち家電がサムスンやLGに取られてしまったのが目立ちますが、 BtoBビジネスにおいてはいまだ日本企業が健在です。

 なぜここまで日本の半導体産業が強いのかというと、それには半導体産業の歴史が関係します。

 

日本の半導体産業は電電公社(NTT)のおかげ

 材料・製造装置は日本が半導体王国と呼ばれた当時のまま!

 実は、日本の半導体産業がこれほどまでに強くなったのは旧電電公社(現NTT)のおかげという側面があります。 というのも、半導体産業は「電電ファミリー」と呼ばれたNEC、富士通、日立製作所、東芝、沖電気工業の5社から始まったからです。

 当時、電電公社は通信機器の納入をこの5社に絞っており、寡占市場となっていました。 要するに、談合で暴利をむさぼる業界だったわけです。

 これで得た利益で半導体開発に力を入れ、米国すらをもしのぐ一大産業に発展したのです。 ですが、このいびつな産業構造を米国は冷戦終結までは温かく見守ってくれていました

 その間に化学メーカー機械メーカー電子部品メーカーといったサプライチェーンが、国内で成長してきたのです。

 事態が変わったのは冷戦終結後です。「対ソ連の防波堤」として日本を見守ってきた米国でしたが、 その理由がなくなって貿易摩擦も激しくなり、通信の自由化を日本に求めました。 要は、「談合で電電ファミリー儲からせるのやめろ」というわけです。

 これに応じて電電公社は民営化されてNTTとなり、寡占市場を失った電電ファミリー5社は急速に競争力を失いました。

 

サプライチェーンの上流工程が生き残った理由

 電電ファミリーは失速するのですが、化学メーカー機械メーカー、そして電子部品メーカーは失速しませんでした。 これはなぜでしょうか。

 まず1つに、電電公社から直接お金が流れてきてはいなかったことが挙げられます。 電電ファミリーはその利益で莫大な投資や価格競争ができたのですが、 それらに製品を納入する側が暴利をむさぼれるわけではありません。

 もともといびつな構造ではなかったというわけです。

 もう1つが、サプライチェーンの上流工程は経営が安定するという産業界の常識です。

 極端な話、NECが売れなくなったらサムスンに売ればいいというわけです。 シリコンウエハーは日本の電機メーカーでなくても使えますし、 加工機械も洗浄剤も同様です。

 パソコンや携帯電話といった消費者向けの製品は、「気分」や「雰囲気」に左右されがちです。 消費者は「なんとなく」サムスン製を買ったり、アップル製を買ったりします。

 ですが、上流工程の製品、材料や部品といったものは合理的に買われます。 早期に量産体制を敷き、技術革新を進めてきた日本企業にとって、 顧客はいくらでもいるというわけです。

 

日本の半導体(最終製品)が凋落した理由

 ここまで超強力なサプライチェーンを築いておきながら、 「パソコン」や「スマートフォン」といった最終製品はなぜ凋落してしまったのでしょうか。

 それは、マーケティングの軽視です。

 半導体製品の代表格といえばパソコンですが、 1980年代までは日本のパソコンは高性能でハードとして非常に優れていました。 ですが、消費者のことをまるで考えていませんでした

 当時のパソコンは自分で本を読みながらプログラムを入力しないといけないものでした。 ほとんどの人にとって「パソコンは難しくて使えない」ものであり、 それを使う若者のことを「新人類」と呼ぶほど意味不明だったのです。

 そこで出てきたのがマイクロソフトです。

 パソコンを「素人でも」使えるようにする「windows」というソフトを開発し、 「みんなが使えるように」いろんなパソコンメーカーと組んで標準搭載して売り出したのです。

 消費者が「パソコンがわからない」という問題を抱えていたのに対して、 その問題に真正面から取り組んだマイクロソフトに対し、日本の半導体メーカーは「とにかく高性能」と、 消費者の方を向いていなかったのです。

 windows登場の結果として「ハードよりソフト」の時代に突入し、日本のパソコンメーカーは没落することになりました。

 「スマートフォン」でも「液晶テレビ」でもそうですが、 「消費者が何を求めているのか」を軽視し、「売れる理由づくり」を怠り、 不毛な技術力競争に明け暮れたために没落したのです。

 技術力競争はBtoBビジネスでこそ真価を発揮します。この記事でいう「上流工程」がそれに当たります。 日本企業はそれが得意ですから、上流工程は世界を独占するに至りました。

 一方のBtoCビジネスは相手が消費者ですから、「雰囲気」や「イメージ」に左右されます。 BtoCなのに、BtoBの売り方をしてしまったところに、日本の半導体(最終製品)の敗因があります。

文系就活は【マーケティング】を目指せ!将来性の高いスキル

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プロフィール写真

著者:村田 泰基(むらた やすき)
 合同会社レセンザ代表社員。大阪大学法学部卒。13卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。 その後ビジネスの面白さに目覚め、法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、12年間に渡り学生の就職活動を支援している。 →Xのアカウントページ




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