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【鉄鋼業界とは】本当にオワコン?将来性とビジネスモデル!

鉄鋼業界とは?オワコンどころか将来性が高い

 鉄鋼業界はオワコンと言われがちですが、実は将来性が高く、就職できれば勝ち組の業界です。 なぜなら、日本勢が順位を落としている「粗鋼生産量」は「薄利多売」の商売であり、そもそも儲からないビジネスだからです。 一方の「高級鋼」という儲かるビジネスで日本勢は高い利益を実現しています。



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結論:オワコンではない

結論オワコンではない

 「鉄鋼業界はオワコン」という声もありますが、実態は必ずしもそうではありません。 日本の鉄鋼メーカーは、汎用鋼ではなく“特殊鋼”や“高級鋼”といった高付加価値分野で高い国際競争力を維持しており、むしろ世界的に好調です。

 このように、鉄鋼業界の実態は一面的なデータでは語れません。 まずは「鉄鋼業界の分類」「日本企業が得意とする特殊鋼・高級鋼とは何か?」から見ていきましょう。

鉄鋼業界とは?

 鉄鋼業界とは、鉄鉱石や鉄スクラップを原料に鋼(はがね)を製造し、建設・自動車・機械・インフラなど幅広い分野に供給する基幹産業です。日本の製造業や経済を支える重要な産業のひとつです。

 

製造法の種類

 鉄鋼メーカーは「製造法」によって、大きく2つに分類されます。

 

高炉(こうろ)製鉄

鉄鋼|高炉とは?
 

電炉(でんろ)製鋼

鉄鋼|電炉とは?
 

鋼の分類

 製造された鋼は、主に以下の2つに分類されます。

 

普通鋼

鉄鋼|普通鋼とは?

 先取りして解説すると、オワコンだと言われるのは「普通鋼」です。 大量生産は「企業規模が大きいところ」が有利であり、中国宝武鋼鉄集団、アルセロール・ミッタルといった海外企業が強いです。 技術で差がつかない(=コモディティ)商品であり、日本企業は強みを活かすことができません。

 

特殊鋼(高級鋼を含む)

鉄鋼|電炉とは?

 日本の鉄鋼メーカーの将来性が高い理由は、「特殊鋼・高級鋼」です。 鉄に「狙った効果」を持たせるには高度な研究開発力が必要です。その一方で高い利益率を実現することができ、簡単に言えば「儲かる商品」です。 日本企業はこれらを得意とし、世界的な競争力を持ちます。

 ちなみに、「普通鋼(汎用品)」「特殊鋼・高級鋼(高機能品)」という2つの商品分類は素材メーカー全体で共通のビジネスモデルです。 非鉄金属メーカーや化学メーカーでも同じ考え方が通用します。これについて、詳しくは次の関連記事で解説しています。

 

鉄鋼業界の役割と動向

鉄鋼業界は本当にオワコンなのか?

普通鋼は確かに儲からない

 近年、「鉄鋼業界はオワコン」という声を耳にすることが増えました。その主な理由として、以下の3点が挙げられます。

 確かにこれだけを見れば、鉄鋼業界は縮小傾向にあり、先行きが暗いように思えるかもしれません。 しかし、このようなネガティブな評価は、主に「汎用品」に関する話であることに注意が必要です。

 

「粗鋼生産量の減少」は必ずしも業界の衰退を意味しない

 粗鋼生産量とは、鉄鋼の最も基礎的な素材の生産量を指します。日本の鉄鋼メーカーがこのランキングで順位を下げているのは事実ですが、それは必ずしも経営が悪化していることを意味するわけではありません。 むしろ、生産量よりも付加価値の高い分野へのシフトが進んでいる証とも捉えられます。

 

中国のダンピングと価格競争の限界

 中国の鉄鋼業界は過剰な設備投資により生産過剰に陥り、世界市場に不当に安い価格で製品を輸出するダンピングが横行しています。 しかしこのような「薄利多売」の大量生産モデルは持続可能性に限界があり、資源価格の高騰や環境規制強化といった要因の影響を受けやすい側面があります。

 

高炉から電炉・高付加価値製品への転換

 高炉による粗鋼生産は多くのエネルギーを必要とし、CO₂排出量も多いため、カーボンニュートラルを目指す社会においては縮小傾向にあります。 その代替として注目されているのが、電炉による再生鉄の活用や、自動車・航空機向けの高機能鋼材など、加工技術を活かした製品分野です。

 たとえば、日本製鉄やJFEスチールなどは、超高張力鋼板(ハイテン)や電磁鋼板など、海外メーカーでは模倣が難しい分野に注力しています。こうした製品は自動車の軽量化やEV化に欠かせない要素であり、今後の成長が期待されています。

 

結論:鉄鋼業界は「量から質」への転換期にある

 以上のように、表面的な生産量やニュースだけをもとに「鉄鋼業界はオワコン」と断ずるのは早計です。 むしろ現在は、従来型の大量生産から、技術力と環境対応力を武器とした高付加価値製品への転換期にあると言えるでしょう。

 

将来性が高い理由

特殊鋼・高級鋼が絶好調

 鉄鋼業界の今後の将来性は高いです。その理由は次の3点です。

 

1.高級鋼に強いから

理由1高級鋼に強い

 1つ目の理由が、「高級鋼に強いから」という理由です。

 鉄鋼メーカーでは「普通鋼」と「高級鋼」の2つのビジネスを持ちます。

 普通鋼とは「単なる鉄(汎用品)」で、「粗鋼生産量」の「粗鋼」のことです。 特別な技術は必要なく、高くは売れません。「薄利多売の商売」になるため、あまり利益を取ることができない製品です。

 一方の高級鋼は炭素・ニッケル・クロム・マンガンなどの「混合物」によって特徴を出した製品で、簡単に言い換えれば「高度な技術を要する特注品」です。 高度な技術に加え、特許権によって独占可能なこと、さらに顧客メーカーの不良品率や品質に影響するため他社への乗り換えが難しく高い利益を取ることができます。

 例えば日本製鉄による「トヨタ自動車に対する値上げ交渉」では、トヨタ側が「外国企業に乗り換える」と発言するなど抵抗を試みたのですが、 結局は値上げが実現したというエピソードがあります。トヨタが値上げを受け入れるのはビジネス界にとってかなり衝撃的で、大きなニュースになりました。 鉄鋼メーカーは「他社への乗り換えが不可能」なほど高い競争力を持つことが伺えます。

参照:トヨタがのんだ大幅値上げ 負け犬体質変えた日本製鉄の改革

 

2.国産鋼材への信頼性が高いから

理由2国産鋼材の信頼性

 2つ目の理由に、国産鋼材への信頼性が高いというものがあります。

 筆者の私は建設系のメーカーで働いていましたが、公共工事・民間工事ともに国産の鋼材しか取り扱ったことがありません。 中には顧客が「鉄鋼メーカーの工場にまで来て鋼材を確認する」場合もあるほどの徹底ぶりで、 そうでなくとも「どこのメーカーの鋼材を使うのか」を聞いてくる顧客が非常に多かったです。

 このような風潮の背景にはやはり「国内鉄鋼メーカーの技術力の高さ」があり、「同じ規格の鋼材」であっても、 「粗悪品をつかまされたくない」という顧客が「国産品を求める」という傾向にありました。

 

3.環境意識の高まりで電炉が脚光を浴びているから

理由3環境意識の高まり

 3つ目の理由に、環境意識の高まりで電炉が脚光を浴びているというものがあります。

 前述の通り、電炉は「電気」で「リサイクル鉄をつくる」という点で環境負荷が小さく、近年注目を集めています。 自動車や建設業界など鉄鋼メーカーの主要顧客が「環境負荷低減」を重視している現状で、石炭を利用する高炉が相応しくないという風潮です。

 これにより電炉メーカーも十分な利益を出せており、各社平均年収が700~800万円ほどと高めの水準になっています。

 一方で日本製鉄・JFE・神戸製鋼所の3社は「電炉への切り替え」に伴い「高炉を閉鎖」しています。 これは景気の悪いニュースなどではなく、環境負荷軽減の取り組みの1つです。


 将来性の解説は以上となりますが、鉄鋼業界は日本製鉄・JFEスチールに人気が集中して、 残りの企業は高待遇の割に就職難易度の低い穴場になっています。

まとめ:鉄鋼業界とは?

 鉄鋼業界は、「高炉」「電炉」という製造法で分類され、また商品も「普通鋼」「特殊鋼」に分類されます。

 就活では「儲かる特殊鋼」をどれだけ商品として持っているかを重視しましょう。

 次の関連記事では「勝ち組ランキング」「就職難易度」「選考」「志望動機」について解説していますので、 志望度が高まったらぜひご覧ください。

プロフィール写真

著者:村田 泰基(むらた やすき)
 合同会社レセンザ代表社員。大阪大学法学部卒。13卒として就活をし、某上場企業(メーカー事務系総合職)に入社。 その後ビジネスの面白さに目覚め、法人設立。会社経営者としての経験や建設業経理士2級の知識、自身の失敗経験、300冊以上のビジネス書・日経ビジネスを元に、12年間に渡り学生の就職活動を支援している。 →Xのアカウントページ




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