【化学製品の具体例】身の回りの用途例を分かりやすく解説!

化学製品とは、化学反応や加工によって作られる物質のことです。 私たちの生活のあらゆる場面で使われており、身の回りの製品やプラスチック製品として欠かせません。 本記事では具体例や日常での活用法をわかりやすく解説します。
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化学製品の代表的な例
金属以外はおよそ化学製品!
化学製品は日常生活から産業の現場まで幅広く使われており、私たちの暮らしを支える重要な存在です。 ここでは、主に原料として使われる「基礎化学品」、先端技術に欠かせない「高機能化学品」、そして私たちが日常で直接手にする「最終製品」の3つに分類し、それぞれの代表例と用途を一覧形式で紹介します。
基礎化学品の例

基礎化学品は、さまざまな製品の原料や中間素材として幅広く使われる、化学産業の基盤となる重要な化学製品です。代表的なものに「エチレン」「ベンゼン」「塩化ビニル樹脂」があります。
化学品名 | 用途例 |
---|---|
エチレン | レジ袋、食品ラップ、パイプ、容器 |
ベンゼン | 発泡スチロール箱、プラスチック容器、接着剤 |
塩化ビニル樹脂 | 配管・雨どい・窓枠などの建材、点滴チューブや医療用バッグ |
これら基礎化学品は、その後の加工や合成によってさまざまな製品に変わり、私たちの生活や産業の根幹を支えています。
ただし、この分野は競争が激しく、あまり将来性の高い分野ではありません。 詳しくは次の関連記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
高機能化学品の例

高機能化学品は、特定の機能や性能を持ち、主にハイテク分野や先端産業で使われる化学製品です。情報通信機器や医療機器、エネルギー関連など、高度な技術要求に応える最先端の素材が数多くあります。
化学品名 | 用途例と概要 |
---|---|
フォトレジスト | 半導体の微細加工に不可欠な材料で、紫外線を照射することで感光し、パターン形成に使用されます。スマートフォンやPCなどの高性能デバイスの製造に欠かせません。 |
偏光フィルム | 液晶ディスプレイ(LCD)の画面に使われ、光の方向を制御して視認性を高めます。テレビ、スマートフォン、車載ディスプレイなどに広く使用されています。 |
電池材料 | リチウムイオン電池の正極材・負極材・電解液などを構成する素材。EV(電気自動車)やスマートフォン、ノートPCなどの蓄電・電源技術に欠かせない要素です。 |
これらの高機能化学品は、日本企業が世界的に高いシェアを持つ分野も多く、最先端技術を支える「縁の下の力持ち」として活躍しています。
特に半導体向けは需要が爆発的に拡大しており、将来性の高い分野です。 半導体産業については次の関連記事で解説していますので、併せてご覧ください。
最終製品としての化学品

最終製品としての化学品は、消費者が直接使用・購入する完成品です。原料や中間素材としての化学品とは異なり、私たちの身近で日々使われている製品に姿を変えて提供されています。
製品名 | 用途例と概要 |
---|---|
タイヤ | 合成ゴムや補強材、添加剤などの化学製品によって作られる自動車部品。耐久性やグリップ性能を高めるため、化学技術が多く使われています。 |
化粧品 | 乳化剤、防腐剤、香料、色素など多様な化学成分を配合。肌にやさしく効果的な製品を実現するため、高度な化学技術が活用されています。 |
農薬 | 殺虫剤・除草剤・殺菌剤などに分類され、農作物の品質や収量を守るために使われます。環境や人体への安全性にも配慮された設計が求められます。 |
このように、化学製品は最終製品として私たちの手に届き、暮らしのあらゆる場面で役立っています。
この分野で活躍するには、「消費者心理をつかむ」というスキルが必須です。 これをマーケティングと言いますが、詳しくは次の関連記事で解説しています。
身の回りにある化学製品
化学製品は、私たちの生活空間のあらゆる場所に存在しています。 ここでは、「家の中」「学校・職場」「自動車やスマートフォン」といったシーンごとに、意外と知られていない化学製品の例を紹介します。 「実はこれも化学製品だったのか!」という発見を通じて、化学の身近さと重要性を感じてみてください。
家の中にある化学製品

「化学製品」と聞くと工場や研究室を思い浮かべるかもしれませんが、実は私たちの家の中にも数えきれないほどの化学製品が使われています。ここでは、身近な例を取り上げて解説します。
- 洗剤: 衣類用や食器用の洗剤には、界面活性剤や酵素などの化学成分が含まれており、汚れを浮かせて落とす役割を果たしています。
- ラップ: 食品保存用のラップフィルムは、ポリエチレンやポリ塩化ビニリデンといった合成樹脂で作られています。密閉性・柔軟性に優れた典型的な化学製品です。
- ペットボトル: 飲料の容器として使われるPET(ポリエチレンテレフタレート)は、軽くて丈夫なプラスチック。石油由来の高分子化合物で、リサイクルもしやすい素材です。
- 合成繊維の衣類: ポリエステルやナイロンなどの合成繊維は、速乾性・耐久性・シワになりにくいといった特性を持ち、日常着からスポーツウェアまで幅広く使われています。
このように、私たちの生活のあらゆる場面に化学製品が活躍しており、「実はこれも化学製品!」という驚きが家の中にもたくさん隠れています。
学校・職場にある化学製品

学校やオフィスにも、さまざまな化学製品が当たり前のように使われています。意識せずに使っている文具や機器の多くに、化学の力が詰まっています。
- ボールペンのインク: 滑らかな書き心地を生み出すインクには、色素や溶剤、樹脂などが配合されています。乾きやすさやにじみにくさも化学処方によって調整されています。
- ホワイトボード: 表面にはポリエステルやアクリル系のコーティングが施されており、マーカーのインクが付いても消しやすくなっています。マーカー自体もアルコール系溶剤などの化学成分を含みます。
- パソコンのディスプレイ: 液晶パネルには偏光フィルムや配向膜、光拡散フィルムなどの高機能化学素材が使われています。これらの素材が映像の鮮明さや視野角の広さを支えています。
このように、教育やビジネスの現場を支える多くの道具が、化学製品によって高性能化・高効率化されているのです。
自動車・スマートフォンに使われる化学品

現代の自動車やスマートフォンには、最先端の化学技術が惜しみなく活用されています。機能性・安全性・快適性を支える素材の多くは、化学製品によって実現されています。
- タイヤのゴム: タイヤには天然ゴムだけでなく、合成ゴムやカーボンブラック、老化防止剤などが使われています。これにより耐久性・グリップ力・燃費性能が向上します。
- 液晶画面: スマートフォンや車載モニターの液晶には、偏光フィルムや光拡散フィルム、配向膜などの高機能化学品が使われ、鮮明で省電力な表示を可能にしています。
- バッテリー部材: リチウムイオン電池の正極材・負極材・電解液・セパレーターなどもすべて化学製品。高エネルギー密度・長寿命・安全性の実現に欠かせない素材です。
モビリティと通信の進化は、こうした化学素材の革新に支えられています。目には見えにくい部分で、化学が最前線の技術を支えているのです。
プラスチック製品と化学の関係
私たちの生活に欠かせないプラスチックは、実はすべて化学製品です。 このパートでは、プラスチックの種類や用途、優れた特性に加え、リサイクルや環境対策といった最新の取り組みについて紹介します。プラスチックと化学の深い関わりを理解しましょう。
プラスチックはすべて化学製品
プラスチックは、石油や天然ガスを原料に化学反応によって作られる「合成樹脂」です。 つまり、すべてが化学製品の一種です。日常生活で目にするほとんどのプラスチックは、以下のような化学物質からできています。
- ポリエチレン(PE): 軽くて柔らかく、レジ袋・食品ラップ・容器などに使用。
- ポリプロピレン(PP): 耐熱性に優れ、電子レンジ対応容器やストロー、医療器具に使われます。
- ポリエチレンテレフタレート(PET): 強度と透明性があり、主にペットボトルや食品パッケージに使われます。
これらのプラスチックは、軽量性、加工しやすさ、耐薬品性、耐熱性などの特性に応じて使い分けられており、生活のあらゆる場面で利便性を提供しています。
リサイクルや環境との関わり
プラスチックは便利な反面、環境問題とも深く関係しています。そのため、化学業界では持続可能な素材開発やリサイクル技術の革新が進められています。
- バイオマスプラスチック: 植物由来の原料で作られたプラスチック。化石燃料の使用量削減に貢献します。
- ケミカルリサイクル: 使用済みプラスチックを化学的に分解して再利用する技術。何度でも資源に戻せるのが利点です。
私たちにできることとしても、マイバッグやマイボトルの活用、過剰包装の見直し、分別リサイクルといった行動が挙げられます。 化学製品としてのプラスチックは、工夫次第で環境負荷を抑えながら使っていくことができるのです。
化学製品を生み出す主な企業
私たちの身の回りの化学製品は、日本を代表する化学メーカーによって支えられています。 以下では、注目すべき企業とその得意分野を紹介します。
信越化学工業
世界有数の塩ビ(PVC)メーカーであり、シリコーンや半導体用シリコンウエハーでも高いシェアを持つ。建材や電子材料など多分野で活躍。
日産化学
農薬・医薬品に加え、半導体材料(フォトレジスト)でも強みを発揮。高機能化学品に特化した先端素材メーカー。
日東電工
偏光フィルムや電子部材で世界的な競争力を誇る。スマートフォンやディスプレイに欠かせない製品を数多く手がける。
クラレ
合成繊維「クラリーノ」や、耐熱・高強度のポバール樹脂など独自素材に強み。環境対応製品の開発にも注力。
東亞合成
アロンアルファ(瞬間接着剤)で有名。無機・有機化学製品をバランス良く展開し、暮らしと産業に幅広く貢献。
まとめ:化学製品とは
化学製品は、衣食住から産業、そして先端技術に至るまで、私たちの生活のあらゆる場面を支える“縁の下の力持ち”です。 金属や木材のように見えなくても、プラスチック、接着剤、洗剤、電池素材など、実は驚くほど多くの製品が化学の力によって生まれています。
この記事では、基礎化学品から最終製品まで、そして身の回りのシーン別や企業例に至るまで、化学製品の幅広さを紹介してきました。 身の回りにある製品がどのような化学素材でできているのかを意識することで、その理解はぐっと深まります。
今後は、リサイクルやバイオ素材といった環境配慮型技術も進み、化学製品はよりサステナブルな形で社会に貢献していくでしょう。生活と産業を支える「化学」の進化に、これからも注目していきましょう。