【総合化学10社の比較】社風と将来性ランキングを解説!

総合化学メーカーの就職難易度・選考フロー・志望動機・年収などを解説しています。 事業内容や社風をもとに将来性を判断し、おすすめランキングも作成しました。 企業選びで「どこがいいか」志望動機の「会社比較」で悩んでいる方はぜひお役立てください。
おすすめ・人気記事
総合化学メーカーとは?
金属以外の材料で、汎用品と高機能品2つのビジネスをやる会社!

総合化学メーカーとは、「基礎原料」「誘導品」「電子材料」「最終製品」を一貫して製造する企業群を意味します。 言い換えれば、「化学品はなんでもつくっている会社」です。
石油を原料にしたあらゆる樹脂製品や産業ガスを製造していて、プラスチック・アクリルなどが代表的ですが、 半導体製造においても極めて重要な地位を占め、世界的に欠かせない役割を担っています。
「総合化学」は簡単に言えば「なんでもつくっている」というだけの意味であり、 「誘導品メーカー」「電子材料メーカー」に比べて優れているというわけではありません。
この記事では「基礎原料」を「汎用品」と呼び、「誘導品・電子材料」を「高機能品」と呼びます。 汎用品と高機能品ではビジネスモデルや強みが異なりますので、化学メーカーを売上高で比較するのはナンセンスです。
おすすめランキング
総合化学メーカーのおすすめランキングです。 主に「利益率」で評価し、「汎用品」「高機能品」それぞれの事業の将来性を考慮しています。
- 1位 東ソー
- 2位 三菱ケミカル
- 3位 三井化学
- 4位 旭化成
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5位
UBE
売上高:4682億円・平均年収:952万円・利益率:4.7%
勝ち組。「高機能品」で利益率18.9%と絶好調。「汎用品」は利益薄いが、効率化に向けた取り組みを進めている。
→UBE(旧:宇部興産)の企業研究記事 - 6位 住友化学
- 7位 レゾナック
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8位
デンカ
売上高:3892億円・平均年収:935万円・利益率:7.9%
インフルエンザワクチンやコロナ検査キットで利益率24.8%と絶好調。半導体・EV向け高機能品にも強いが、主力のクロロプレンゴムが赤字。
→デンカの企業研究記事 - 9位 トクヤマ
- 10位 カネカ
※平均年収は就職四季報の総合職平均年収を採用しています。
勝ち組?負け組?
基本的に負け組!
MY就活ネットでは、総合化学メーカーは基本的に負け組だと考えています。理由は次の3点です。
- 汎用品事業は利益が薄く、赤字転落しやすい
- 石油化学は「脱炭素」の流れに合わない
- 医薬品はリスク性が高く、切り離しが急務(→製薬会社がやばい!|就職は勝ち組どころか「やめとけ」)
「総合化学」とは「基礎化学品(汎用品)」「誘導品(高機能品)」「最終製品」まで一貫して手掛ける企業を指しますが、 このうち汎用品事業は「薄利多売の商売」です。原則として利益は薄く、1位以外は負けの厳しい世界です。 「総合化学」たらしめているコア事業が、「資源価格の高騰」「競争激化」「通貨変動」により重荷になっているのが現実です。
「汎用品」は東ソー・三菱ケミカル・トクヤマを除くと全体的に利益が低水準または赤字です。 一方で、信越化学工業は塩化ビニル樹脂という「汎用品」で30%の利益を誇っており、 総合化学でない信越化学工業の圧勝です。
ただし、東ソー・三菱ケミカルに加えて三井化学は「高機能品」、旭化成は「住宅関連」が強く、「汎用品」の事業整理ができれば十分「勝ち組」と言えます。
以上より、「汎用品」「医薬品」の事業を行っていない総合以外の化学メーカーのほうがおすすめです。
将来性
東ソー・三井化学は将来性が高い!
化学メーカーの将来性は、「高機能品」の商品開発力によります。 この意味で東ソー・三井化学の2社は特に将来性が高いと言えます。
高機能品とは、簡単に言えば「高い技術力を要する特注品」のことですが、 例えば半導体材料の場合、スマホやパソコンの「性能」「不良品率」に直結するため他社への乗り換えが不可能であり、 高くてもそれを買うしかないという強力な商品群です。
この業界で高い利益率を誇る企業は「高機能品が強い」という特徴があり、 はっきり言って「オワコンの汎用品」より「高機能品に注力している会社」のほうがよっぽど将来性が高いです。
この業界を含めた素材メーカーは「儲かる高機能品」をどれだけ持っているかで評価しましょう。 これについて詳しくは、次の関連記事で解説しています。
また、化学メーカーに限った「将来性」については、次の関連記事で詳しく考察しています。
就職難易度
就職難易度 | 高い |
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総合化学メーカーの就職難易度・採用倍率・学歴フィルターを一覧にしました。
東ソー | 就職難易度: 4.5 採用倍率100倍以上。採用人数は文系20人・理系50人。 学歴フィルターは「地方国公立以上」 |
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三菱ケミカル | 就職難易度: 4.6 採用倍率は文系61倍・理系34倍。採用人数は文系25人・理系60人。 学歴フィルターは「地方国公立以上」 |
三井化学 | 就職難易度: 4.6 採用倍率は文系68倍・理系13倍。採用人数は文系25人・理系75人。 学歴フィルターは文系「MARCH・関関同立以上」理系「地方国公立以上」 |
旭化成 | 就職難易度: 4.8 採用倍率は文系80倍・理系25倍。採用人数は文系25人・理系105人。 学歴フィルターは「地方国公立以上」 |
UBE | 就職難易度: 0.5 採用倍率は文系16倍・理系9倍。採用人数は文系11人・理系25人。 学歴フィルターなし |
住友化学 | 就職難易度: 4.4 採用倍率は文系80倍・理系25倍。採用人数は文系30人・理系115人。 学歴フィルターは文系「MARCH・関関同立以上」理系「地方国公立以上」 |
レゾナック | 就職難易度: 2.7 採用倍率は文系45倍・理系23倍。採用人数は文系15人・理系70人。 学歴フィルターなし |
デンカ | 就職難易度: 2.7 採用倍率は文系47倍・理系15倍。採用人数は文系10人・理系30人。 学歴フィルターなし |
トクヤマ | 就職難易度: 1.7 採用倍率は文系33倍・理系7倍。採用人数は文系10人・理系40人。 学歴フィルターなし |
カネカ | 就職難易度: 3.1 採用倍率は文系63倍・理系17倍。採用人数は文系20人・理系30人。 学歴フィルターは「日東駒専以上」 |
業績・将来性に対して難易度が高く、お買い損業界だと言えます。 その理由は「財閥の名を冠していること」「売上高だけで企業を比較してしまうこと」にあると考えられます。 賃上げ・ボーナスは利益から出るため「売上高」ではなく「利益率」を重視して企業選びをしましょう。
選考フロー
インターン優遇を狙おう!
東ソー | インターン優遇なし。 3月開始。ES・WEBテスト→面接2回→内々定 |
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三菱ケミカル | インターン優遇の早期選考あり。面接回数は変わらず。 11月開始。ES・WEBテスト→面接3回→内々定 |
三井化学 | インターン優遇の早期選考あり。面接が2回に減少。 2月開始。ES・WEBテスト→録画面接→リクルーター面接1回→面接2回→内々定 |
旭化成 | インターン優遇の早期選考あり。面接が2回に減少。 1月開始。ES・WEBテスト→面接3回→内々定 |
UBE | インターン優遇の早期選考あり。 文系4月・理系3月開始。ES・WEBテスト→面接2回→内々定 |
住友化学 | インターン優遇なし。ただし高学歴を対象にリクルーター面接を1回実施。 3月開始。ES・WEBテスト→録画面接1回→面接3回→内々定 |
レゾナック | インターン優遇の早期選考あり。GD・一次面接が免除。 3月開始。ES・WEBテスト→GD→面接3回→内々定 |
デンカ | インターン優遇は理系のみ、文理ともOB訪問経由の早期選考あり。 3月開始。ES・WEBテスト→面接3回→内々定 |
トクヤマ | インターン優遇は理系のみ。 文系3月・理系2月開始。説明会(必須)→ES・WEBテスト→文系のみリクルーター面接2回→面接2回→内々定 |
カネカ | インターン優遇の早期選考あり。一次面接が免除。 1月開始。ES・WEBテスト→面接3回→内々定 |
住友化学は、MARCH・関関同立以上の学歴を対象としたリクルーター面接を1回実施しています。 こちらは録画面接合格後に「面接の不安解消」のために行われるもので、選考ではありません。 「仕事理解」や「社風」に関する質問をして「志望動機の補強」に利用しましょう。
トクヤマのリクルーター面接は文系のみで、書類選考に合格すると全員が対象です。 こちらは選考そのもので、失敗すると落ちます。逆質問の時間が30分ほどありますので質問を10個用意しておきましょう。
志望動機
「社風への共感」がおすすめ!
「総合化学メーカーを選ぶ理由」については、次のような回答が考えられます。
多様な事業領域への挑戦 | 石油化学、合成樹脂、機能性化学品、電子材料、医薬品、農薬など、幅広い事業領域を持っています。この多様性により、自分の関心や能力を生かせる多様なキャリアパスが期待できます。 |
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総合力を生かしたソリューション提供 | 各分野の技術やノウハウを統合し、顧客に対して包括的なソリューションを提供できる点が魅力です。これにより、さまざまな社会課題に対して柔軟かつ効果的に対応できると考えています。 |
研究開発とイノベーションの推進 | 研究開発に積極的に投資し、次世代の技術や素材の開発に取り組んでいます。この革新的な環境で、新しい価値を創造する仕事に挑戦したいと考えました。 |
幅広い顧客層と市場へのアクセス | 幅広い業界の顧客と取引があり、多様な市場にアクセスできます。これにより、さまざまな業界のニーズに応える製品開発に携われる点が魅力です。 |
社会インフラを支える役割 | エネルギー、医療、農業、交通など、社会インフラの基盤となる分野に製品を提供しています。これにより、社会の安定と発展に貢献する仕事に関わりたいと考えました。 |
一方で「なぜ当社を選ぶのか」については、「社風への共感」を理由にするのがおすすめです。 なぜなら、どの企業も「儲からない汎用品」をいかに「儲かる高機能品」でカバーするかに注力しており、 汎用品は事業整理・医薬品事業は切り離しを画策するなど事業内容での比較が困難だからです。
以下に、MY就活ネットが独自調査した各社の社風について解説します。
東ソー | ハイブリッドカンパニーを目指す社風。 ソーダ工業と合成ゴムに強い。「汎用品」で社会的使命を果たしながら、「高機能品」で利益を追う。総合化学では利益率が1位。 |
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三菱ケミカル | 未来を見通す社風。 アクリルガラスと産業ガスに強い。環境問題が取り上げられるずっと以前から赤字でも「生分解性プラスチック」の研究を続けており、ESG経営を宣言する・人工光合成を研究するなど環境意識が非常に高い。 |
三井化学 | 多様性を愛する社風。 自動車部品用材料・メガネレンズ材料・食品包装用高機能フィルムなど高機能品が豊富。リスク性の高い医薬品事業は分社済み。「出勤は出国と思え」と言われるほど多様な人材。多様な「高機能品」を生み出すことにつながっている。 |
旭化成 | 高付加価値を目指す社風。 リチウムイオン電池関係の高機能品に強い。住宅・建設資材・医薬品・医療機器と幅広い事業展開を行っており、サランラップ・ジップロック・へーベルハウスで消費者向けでもマーケティングの実績がある。好景気の恩恵を受けやすい。 |
UBE | スペシャリティを重視する社風。 スペシャリティ(高機能品)で利益率18.9%を誇り、この分野に限ると業界屈指の高収益体質。CO2分離膜は環境保護にマッチした将来性の高い機能材料。 |
住友化学 | チャレンジ精神のある社風。 農薬と電子材料に強い。液晶ディスプレイ関連を中心に高機能品を揃えている。常識を無視した「ありえない」研究開発を認め、「高く売れる新商品(ダイブライト)」を開発。 |
レゾナック | イノベーションを目指す社風。 半導体向け高機能品に強い。基板材料・パワー半導体材料・エッチングガス・感光性フィルムなどで世界首位。電炉に使用する「黒鉛電極」や最終製品の「ハードディスク」などで世界展開中。汎用品の比重を下げて高機能品の開発に注力している。イノベーションに貢献する新素材の創出を目指しており、この新規事業が好調。 |
デンカ | メガトレンドを追う社風。 インフルエンザワクチン・コロナ検査キットで高収益を誇り、半導体向け・EV向け高機能品も強い。今後もICT・エネルギー・医療・食料などメガトレンドを追う姿勢。 |
トクヤマ | マーケティング重視の社風。 塩ビやセメントなど「汎用品」で10%の高収益。化粧品材料・医薬品材料など「高機能品」では20%を誇る。マーケティングによる顧客理解・顧客満足を重視。 |
カネカ | 新規事業に積極的な社風。 BtoC分野の機能性食品「コエンザイムQ10」やファッションウィッグの「カネカロン」で高シェアを誇る。主に高機能品への取り組みを進めており、各事業部門ごとに新規事業への取り組みがある。 |
志望動機では「就職活動の軸」を初めにつくり、「軸の実現のため」という視点で「ガクチカ」「志望動機」「入社後挑戦したいこと」を統一する必要があります。 MY就活ネットでは、これを「ESのストーリー化」と呼んでいます。詳しいやり方は次の関連記事で解説しているほか、各社の企業研究記事でも例文付きで解説しています。
また、次の関連記事でも化学メーカーの志望動機の書き方について、詳しく解説しています。
年収は高い
年収1000万円が可能!
総合化学メーカーの年収は900~1000万円と非常に高く、30代後半~40代で年収は1000万円に到達します。
東ソー | 総合職平均925万円。30歳年収689万円。ボーナス6.07ヶ月分。 |
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三菱ケミカル | 総合職平均851万円。30歳年収642万円。ボーナス4.15ヶ月分。 |
三井化学 | 総合職平均1068万円。30歳年収695万円。ボーナス5.8ヶ月分。 |
旭化成 | 総合職平均904万円。30歳年収633万円。ボーナス5.04ヶ月分。 |
UBE | 総合職平均952万円。30歳年収673万円。ボーナス不明。 |
住友化学 | 総合職平均904万円。30歳年収625万円。ボーナス不明。 |
レゾナック | 総合職平均959万円。30歳年収726万円。ボーナス不明。 |
デンカ | 総合職平均935万円。30歳年収603万円。ボーナス4.95ヶ月分。 |
トクヤマ | 総合職平均790万円。30歳年収549万円。ボーナス4.4ヶ月分。 |
カネカ | 総合職平均855万円。30歳年収577万円。ボーナス5.0ヶ月分。 |
30歳時点では700万円前後の高い年収が実現でき、これは大手電機メーカー(NECや京セラなど)や自動車メーカー(トヨタ以外)に匹敵します。 ただし、東レ・富士フイルム・三菱ガス化学・クラレ・東京応化工業なども700万円前後ありますので、 「総合化学が特別に年収が高い」というわけではありません。
年収はおおむね「高機能品の強さ」に比例しており、利益率が高い会社ほど賃上げ・ボーナスも高いと言えます。 また、この業界はメーカーの中でも年収が比較的高水準です。これについては次の関連記事で詳しく解説しています。
MY就活ネットでは、この他にも多数の業界研究記事を用意しています。 優良企業の見落としを防ぐため、さまざまな業界を調べてみましょう。